こんにちは。1分トークコンサルタントの沖本るり子です。円滑な人間関係を目指すのならば、コミュニケーションスキルは必要不可欠。

コミュニケーションとは、一言でいえば「伝える」という意味で、コミュニケーションスキルは「伝える技術」と解釈すると相手とのかかわりがよりうまく対応できるはずです。

そこで、円滑な人間関係を作るためのちょっとした伝え方のコツをお話しましょう。

謙虚? 実は相手を嫌な気持ちにさせているかも

コミュニケーションのピース
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謙虚なつもりで伝えた言葉が相手に対して嫌な気持ちにさせてしまうことがあります。

その言葉、どうしても必要ですか?

知っていることが当たり前?

「ご存じかと思いますが…」

「ご存じの通り…」

こう言われてしまうと、知っているのが常識前提なので、もし知らなくても、そうとはなかなか言えなくなってしまいます。

わからないことを人前で質問するのは恥ずかしいと感じる人も多く、さらに、知らない=とても恥ずかしいと言われているように解釈しがち。

そこで、ますますわかったフリをするようになってしまい、齟齬が生じることも。

「ご存知かと〜」を使う理由は、「すでに知っているのに、また、あえてお話するのは気が引けますが…」のような気持ちからかもしれません。

「他の人は知らなくてもあなたはいろいろよく知っている人です」と持ち上げているのかもしれません。

あるいは、特に意図せず、何気なく使っているかもしれません。

しかし、知らない場合、知らないとは、言えなくなるというその場の環境を作ってしまっているのです。

あなたにとって、知っていることが当たり前でも、相手にとって恥ずかしく嫌な気持ちにさせる場合もあるので、極力避けてみてはいかがでしょうか?

そもそも、その言葉、どうしても必要ですか? ご存じかもしれませんが…(笑)無駄に話が長くなる元は削って伝えましょう。

一対一か、一対複数なのかで伝え方を変える

コミュニーケション
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伝え方次第で、ざんねんな環境を作ってしまう例をお話しします。

自分を卑下すると周囲を見下すことになる

「勉強不足でお恥ずかしいのですが…」

「不勉強でお恥ずかしい話なのですが…」

一対一の場合は、自分を卑下して自分を少し落とすことで、相手を立てた姿勢になり、対人応対もうまくいきやすいものです。

しかし、これが複数の場合は、他の人たちの気持ちを不快にさせる場合があることを覚えておきましょう。

自分一人が、知らないならそれでもよいのですが、中には相手が知らないこともあります。

「勉強不足でお恥ずかしいのですが…」と伝えた瞬間、(同様に知らない)他の人も恥ずかしい人だと感じてしまうのです。

物事、全てを知っている人なんて世の中にはいません。

「知らないこと=恥ずかしい」と感じることは確かにあるかもしれません。ただ、「知らないこと=恥ずかしい」環境を作ってしまうと正直に「わからない」と言えない、質問できなくなってしまうのです。

「勉強不足でお恥ずかしいのですが…」

と伝えると、他の人に対しても、“あなたは恥ずかしい人”と感じさせてしまうことに気づきましょう。

そもそも、その言葉、どうしても必要ですか?

素直に直球で、知らなかったと言えばすむ話です。

実は、他をけなしている

ほめるのが、とても苦手な私は、とてもすばらしい!と思い、一生懸命ほめたはずなのに、大変な失敗になっていることがたまにあります。

例えばこんな場面。

今までで一番良かったです。最高です!

「今まで受講したセミナーの中で、Aさんのこのセミナーが一番良かったです。最高です」

本当に素晴らしいと思って、多くの人にこの素晴らしさを知ってもらいたい、人に薦めたいと言う気持ちから出た言葉。

ところが、周囲の目はどうでしょうか? Aさんのセミナーをほめれば、ほめるほど、他のセミナーをけなしている形になっていたのです。

最高です!だけでは、周囲をけなしていると解釈されることはありません。

しかし、「今まで受講した中で…」という言い方は、他と比較し、優劣をつけた形です。Aさんのセミナーと比較されている側は劣の扱いになりますので、良い気はしません。

そんな時は比較をせず「Aさんのこのセミナーとてもよかったです。最高です」程度にとどめておきましょう。

無意識でしている比較に気をつける

「今まで食べたたこ焼きの中で、このお店のたこ焼きが一番おいしいです。こんなにおいしいたこ焼きは食べたことがありません」

直接伝えるなら、お店にとってどんどん伝えてほしい最高の誉め言葉です。

例えば、これをネット上など他の人にも見えるところに書いたとして、もし、お知り合いや友人がたこ焼き店を経営していたら、これを読んで、どう思うでしょうか?

「うちのはおいしくないということか」「うちはまずいのか」など比較されて、うちよりそっちがいいのか…などと考えられてしまうかもしれません。

円滑な人間関係を、壊したくないのであれば、他との比較でその良さを伝えるのは控えた方が良さそうです。

「このお店のたこ焼き、すごくおいしいです。またすぐ食べに行きたいくらい」

これなら誰とも比較せず、傷つけず、円滑な人間関係が築けるはずです。一方をほめすぎて、他方を敵にまわさないよう気をつけましょう。


よりよい人間関係を築いていくために、ちょっとした一言でも「相手を嫌な気持ちにさせていないか」を意識して、工夫して伝えてみましょう。

沖本るり子(おきもと るりこ)

沖本るり子

株式会社CHEERFUL 代表。1分トークコンサルタント。「5分会議」®で、人と組織を育てる専門家。江崎グリコなどを経て、聞き手が「内容をつかみやすい」「行動に移しやすい」伝え方を研究。現在、企業向けコンサルタントや研修講師を務めている。「5分会議」®はRKB毎日放送「今日感テレビ」で紹介された。著書に『期待以上に部下が育つ高速会議』(かんき出版)、『生産性アップ!短時間で成果が上がる「ミーティング」と「会議」』(明日香出版社)、『期待以上に人を動かす伝え方』(かんき出版)などがある。

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