その取引が理にかなう場合、借金は役に立ちます。

HubSpotの共同創設者であるダーメッシュ・シャーが「文化的負債」と呼ぶものがあります。

「ああ、この人はちょっと嫌な奴だけど、とても優秀だ。デザイナーの採用募集を開始してからもう2か月半も経っている。今まで見た中で彼らが一番優秀だ。それに本当に優秀な人が次いつ現れるかわからない…でも、本当は彼らの近くにいたくない。

そしてあなたはこう合理的に考えます。「彼らはリモートで働く。だから大丈夫だ」

たいていの場合、大丈夫ではありません。

技術力があって採用したとしても、その後、有害な従業員を解雇したとしても、彼らの行動の影響や、彼らが残した有害性も完全に取り除く時がいつ来るかはわかりません。

ウォーレン・バフェットの教え

これをたどると、ウォーレン・バフェットに行きつきます。

バフェットが銘柄を選ぶことについてこのように言っています。

「株を10年間所有する気がないのなら、10分でさえ考えるな」

これを便宜的決定の借金と考えてみてください。たとえば今すぐ���ザイナーが必要だとしましょう。あなたは1年後にも、同じ人を雇いますか?10年後はどうでしょう。同じ人を雇いますか? そんなことはないと思います。

ですから、今その人を雇わないでください。

加えて、将来この便宜的決定の負債を返済しようとする可能性もあまり高くありません。

ノーベル経済学賞を受賞した故ダニエル・カーネマン(私の愛読書のひとつである『Thinking, Fast and Slow(ファスト&スロー)』の著者でもある)が行った一連の研究によると、私たちは損をしたときの痛みを、得をしたときの喜びの2倍以上感じる傾向があるといいます。要するに、私たちはもともと損失を嫌うようにできているのです。

投資の観点から見ると、業績が振るわない株を売らないことは損失を回避することを意味します。しかし、その株を保有し続けることは最終的な損失を遅らせるだけであり、別の投資からの潜在的な利益を逃すことを意味します。

有害な従業員を解雇しないことは、損失を回避するのに役立ちますが、その一方で同じ職種でスーパースターとなる従業員を雇えるチャンスを逃すことも意味します。

便宜的決定の借金とは何か?

便宜的決定において、支払う借金は痛みだけではありません。便宜的決定の借金は、それを返済しはじめることさえ苦痛です。

これには主に2つのポイントがあります。

まず一つ目。これはあなたが思っている以上に可能なことなのですが、可能な限り、明日ではなく、10年先を見据えた解決策を講じることです。

10年後も一緒に働きたいと思う人を採用してください。10年後も取引をしたいと思うサプライヤーを見つけてください。

お金の使い方、時間の使い方、人間関係の築き方と人間関係の維持の仕方、これらすべてにおいて、10年後にやってよかったと思えるような投資をしましょう。

できる限り、便宜的決定を避けてください。ただ今日問題を解決する解決策だけを求めるのではありません。問題を永遠に解決する解決策を模索してください。

決定をひっくり返す必要もある

二つ目は、便宜的決定の借金をできるだけ早く返済することに徹底することです。

株を「買って持ち続ける」典型的な投資家であるバフェットを例にとると、彼はこう言っています

「優れた経営陣を持つ優れた企業の株を保有する場合、その会社を永遠に持ち続けたいと思う」

しかし、これは一度決定を下したら、その決定に関する評価を行うことを止めるという意味ではありません。バフェットには、アメリカン・エキスプレスのように、何十年も保有している銘柄もあれば1、2年で売却した銘柄がたくさんあります。なぜでしょうか。

バフェットの理由はシンプルです。もし今日、その株を買わないと思うなら、今日その株を保有する必要はありません。

元の決定が何であろうとも。便宜的決定を変更することが「損失」のようには感じられるかもしれませんが、自分が作った借金を引き続き背負うことで状況を悪化させないでください。

なぜなら、そうすることで悪い状況を好転させるチャンスも逃してしまうからです。

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