中古EV価格が暴落中…需要低迷でガソリン車よりも安くなっている

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Justin Sullivan/Getty

  • 電気自動車の中古価格はガソリン車よりも安くなっており、その差は2023年2月以降拡大している。
  • 電気自動車を購入する可能性があると答えた消費者はわずか18%で、数年ぶりの低水準となった。
  • 新たな報告書によると、電気自動車の需要低迷は生産に「大混乱をもたらしている」という。

電気自動車(EV)の需要にブレーキをかかっているのは、技術的な限界によって、プレミアム価格を喜んで支払っていた消費者が消えてしまったからだ。

現状は、初めて中古EVがガソリン車より安くなっている。iSeeCarsの最近のレポートによると、価格が安くなっているだけでなく、その下落のペースもはるかに速いという。

調査によると、中古EVの平均価格は、2024年2月に一般的なガソリン車より265ドル(約4万2400円)安くなり、この傾向が始まった。同年5月時点で、その差は2657ドル(約42万5000円)にまで拡大している。


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中古車の平均価格。赤線がEV、青線がガソリン車。

ISeeCars.com

「中古車の購入者がEVにプレミアム価格を支払わなくなっているのは明らかで、実際、電動パワートレインをデメリットと見なし、従来のモデルよりも魅力を感じないために価格も低くなっている」とエグゼクティブアナリストのカール・ブラウアー(Karl Brauer)はレポートの中で述べている。

別の指標では、EVの平均価格は2023年5月から2024年の間に29.5%下落したのに対し、ガソリン車は6.1%の下落だった。

BMW 3シリーズとテスラ モデル3(Tesla Model 3)を比較した例では、テスラの価格は2023年6月にはBMWより2635ドル(約42万1600円)高かったが、2024年5月にはBMWより4806ドル(約76万8900円)安くなっている。

この価格の変動は自動車業界全体では簡単に説明できる。新型コロナウイルスのパンデミック後のサプライチェーンの改善が価格の低下につながっているのだ。

しかし、これはEVを取り巻くほんの一部の現象に過ぎず、EV市場にはニッチな逆風が次々と襲いかかっている。

2024年6月にAAA(トリプルエー)が実施した調査では、EVを購入する可能性があると回答した消費者はわずか18%で、ここ数年で最低となっている。購入をためらう理由としては、コストの高さ、充電ステーションへのアクセスが限られていること、充電せずにどれだけの距離を走行できるかが心配なことなどがあった。

その代わり、消費者の関心はガソリンと電気モーターの両方を搭載したハイブリッドモデルに傾いている。実際、回答者の3分の1がこのタイプの車を購入すると回答している。

バンク・オブ・アメリカ(Bank of America)は2024年6月、EV消費の波が来ると期待していた業界関係者にとって、この需要の低迷は生産にとって何の恩恵ももたらさないと指摘している。

「過去3年間の前例のないEVのヘッドフェイクは、製品計画に大打撃を与えた。EVの発売が加速するこれまでの傾向は、(内燃機関)プログラムの延長や新しいハイブリッド車の拡大に転じている」とアナリストは分析している。

「しかし、ハイブリッド車についての話題は多いものの、実際のアクションはそれほど多くない」

消費者のEV離れは、他の面でもこの分野を苦しめている。例えば、納車台数が予想を下回っていることでテスラリビアン(Rivian)の株価は低迷しており、需要の低迷を理由に人員削減を実施する企業も少なくない。

他にも、フィスカー(Fisker)は2024年6月17日、市場問題を理由に破産を申請した。2024年初めには、レンタカー会社のハーツ(Hertz)がテスラのレンタカー2万台を売却している。その理由は、この種の自動車に対する需要が予想より高くなかったためだ。

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