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- トランスユニオンの最新調査によると、Z世代は経済的見通しについて最も楽観的であること��わかった。
- すべての世代でインフレが最大の懸念事項となっているのにもかかわらずだ。
- Z世代は仕事の柔軟性が高く、賃金の上昇率で他の世代を上回っていることも、そう考えることのできる一因だという。
Z世代は今、自分たちの経済状況をかなり良いと思っているようだ。彼らより年上の世代は、同じようには思っていないけれど。
2024年5月のインフレ率は前年同月比でやや低下したものの、依然として高水準であり、アメリカ連邦準備制度理事会(FRB)が2024年6月12日に金利を再び据え置いたことで、多くの消費者はストレスを感じている。
しかし、信用調査会社トランスユニオン(TransUnion)の新しい調査によると、さまざまな経済的なストレス要因があるにもかかわらず、一部のアメリカ人は2025年の自分自身の状況について楽観視しているようだ。トランスユニオンが2024年4月29日から5月8日にかけて成人3000人を対象に実施した2024年第2四半期の消費者動向調査によると、55%の消費者が今後1年間の経済状況を楽観視しており、賃金の上昇を期待していると回答している。
特に若い世代がそう回答している。Z世代とミレニアル世代では60%以上が楽観的と回答していたのに対し、X世代とベビーブーマーで同じ回答をしたのは50%以下だった。
Z世代が楽観的になるのには十分な理由がある。雇用市場が活況であるため、Z世代はより高い賃金を求めて現在の職場を離れられる柔軟性がある。さらに彼らは他の世代が同年齢で行っていたよりも早く退職に備えて投資や貯蓄を始めているのだ。
トランスユニオンのシニアバイスプレジデント兼グローバル・リサーチ・コンサルティング責任者であるチャーリー・ワイズ(Charlie Wise)は「その楽観的な見方の多くは、非常に好調な雇用市場から来ている」とBusiness Insiderに語った。
「働きたいと希望する人にはたくさんの仕事がある。それによって最も良い影響を受けるのは若い消費者だ。彼らは『今働いている場所や収入が気に入らないときは、渡り歩いていけばおそらくうまくやれるだろう』と言う柔軟性を持っている」とワイズは話している。
このような楽観的な見方があるにも関わらず、物価上昇は依然としてアメリカ人を悩ませている。回答者の84%は、インフレを上位3位以内の懸念事項として挙げており、2023年第2四半期より5%上昇している。
さらに、この調査によると、物価上昇に関して消費者が最も気にしているのは、食料品、ガス、光熱費といった日常的な支出であり、その他の懸念事項の上位2つは住宅価格と金利だった。
Z世代は物価高についても特有の悩みを抱えている。学生ローンのために大学を中退する人も多く、特に親やルームメイトと同居していない場合には高い家賃が彼らの多くを苦しめている。
しかし、Z世代は賃金、退職後の貯蓄、持ち家に関しては他の世代を上回っており、ストレスの多い今の経済状況の中でも、自分たちの経済的な将来に楽観的な理由になっている。
「インフレは依然として多くの人々の関心事ではあるが、2022年当時の水準からは大幅に後退している」とワイズは言う。
「同時に、消費者は自分の経済的な将来に比較的自信を持っていることも分かる」とし、「大多数の人は『個人的にはかなり良いと感じているが、このインフレの問題は人々の重荷になっている』と述べている」と彼は付け加えた。
Z世代は自分に満足しているが、物価高は心配
Business Insiderは以前、多くの高齢化したブーマーやX世代が退職できないか、退職後に経済的苦境に立たされていると報じた。
生涯収入連合(Alliance for Lifetime Income)の退職所得研究所(Retirement Income Institute)が最近発表したレポートによると、今年65歳になる最後のベビーブーマーである「ピークブーマー」の半数以上は25万ドル(約3940万円)以下の資産しかなく、老後は貯蓄を切り崩しつつ社会保障に頼らざるを得ないという。
老後の備えに関しては、Z世代の方が先を行っているかもしれない。CFA研究所(CFA Institute)の2023年の調査によると、Z世代の回答者の半数以上がすでに投資をしていると回答しており、そのうちの82%が21歳になる前から投資を始めていたという。
さらに、アメリカン・エンタープライズ研究所(American Enterprise Institute)とFRBのエコノミストによる論文によると、典型的な25歳の年収は4万ドル(約630万円)を超えており、インフレ調整後のベビーブーマーの同年齢時の年収を50%以上上回っている。
ただ、Z世代は収入が増えたとはいえ、上の世代が同じ年齢では経験しなかった経済的なストレスにも直面している。2024年1月に発表されたピュー研究所(Pew Research Center)の報告書によると、今のZ世代は1992年の若者と比較すると、学生ローンを抱えている可能性がはるかに高く、住宅ローンの負債も多い。
トランスユニオンの報告書によると、全体として、Z世代は2024年の第2四半期に、「どの世代よりも安定している」とし、45%が過去3カ月間に賃金が上昇したと回答した。だが彼らはまだより広範な経済状況に不安を感じている可能性がある。
「消費者の個人的な財政状況に対する感情を見ると、多くの消費者にとって、賃金上昇は当然の報いと感じられる。私は一生懸命働いたのだからそれに値している、昇給したのは自分で稼いだからだ、と。インフレは彼らに押し付けられるもので、彼らのコントロール外にある。彼らにはどうすることもできない」とワイズは語った。
「だから物価が5%上昇し、賃金も5%上昇したとしても、自分が稼いだ5%に満足していてもインフレという形で誰かに奪われてしまったように感じる」と同氏は付け加えた。
「そして、それは人々を不安にさせるだけでなく、多くの場合、かなり動揺させるものになっている」