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- 2025年初頭までに景気後退が起これば、株価は30%下落する可能性があると、BCAのストラテジスト、ルカイヤ・イブラヒムは言う。
- 失業の継続と中国経済の低迷による逆風が、景気後退の要因となるだろう。
- ウォール街のベテラン、ゲイリー・シリングも同様の予想をしていると、Business Insiderに語った。
インドネシア最大の民間商業銀行であるバンク・セントラル・アジア(Bank Central Asia:BCA)のストラテジスト、ルカイヤ・イブラヒム(Roukaya Ibrahim)によると、2024年末から2025年初頭にかけての景気後退を示唆する2つの要因があり、景気後退によって株価が30%調整される可能性があるという。
イブラヒムが5月6日のブルームバーグTVで語ったところによると、現在のアメリカの株式市場は高く��価されており、株価収益率が予想する成長率はパンデミック前の5年間の水準まで低下するという。
「このことは、S&P500が下振れしやすくなる可能性を高めている。2024年後半から2025年前半にかけて景気後退が起これば、S&P500種株価指数は3600前後まで下落する可能性が高い」
5月3日に発表された4月のアメリカ雇用統計によると、雇用者数が17万5000人増加し、景気のソフトランディング説への期待が高まったが、実際には景気低迷の懸念すべきサインが含まれているという。雇用統計の詳細を見ると、求人数、雇用者数、離職率が減少しており、景気後退へのシナリオ転換を示唆しているのだ。
「ソフトランディングのシナリオが今後数カ月は続くと思う」とイブラヒムは言う。
「しかし、最終的には失業率が上昇し、景気後退の懸念につながるだろう」
もうひとつの大きな逆風は中国から吹きつけるという。中国は1兆元(約21兆5000億円)相当の超長期特別国債の発行を17日に開始すると発表した。しかし、その効果はまだわからない。
「世界の製造業サイクルに関して、短期的にいかなる回復が見られたとしても、それは短命に終わるだろう」
一方、アメリカ経済に対する中国の影響は、ヨーロッパへの影響に比べれば小さいが、ヨーロッパ諸国が困難に直面することで、世界の製造業の持続的な回復が妨げられるだろうとイブラヒムは指摘している。
「アメリカが不況に陥れば、ユーロ圏も不況から逃れられない。世界的な現象になるだろう」
景気後退と株価の急落を予測しているのはイブラヒムだけではない。
2000年代半ばの住宅ローンバブルを予測したことで知られるウォール街のベテラン、ゲーリー・シリング(Gary Shilling)も、2024年末までに株式市場が30%暴落すると予測している。景気後退により、近年積み上げられてきた投機的な賭けが押しつぶされる可能性が高いからだ。