こんにちは。「5分会議」(R)で人と組織を育成する専門家の沖本るり子です。

最近は、初対面の相手だけでなく、普段一緒に仕事をしている職場の人たちと上手く会話をするのが難しい・苦手だと感じている人が多いようです。

特に会議中、このままではいけないと思いつつも発言できず、それといって意見もない。上司から何かある?と催促されても、何も答えられないこともしばしば…。

もしかして「仕事ができない人」と思われているかも、と不安になっていませんか?

そんなお悩みを持つビジネスパーソンに向けて、簡単な伝え方・コミュニケーションスキルを使って、日常的な会話や会議での発言をスムーズに「仕事ができる人」だと感じてもらえるコツをお話しましょう。

情報や知識が少なくても会話を成立させるには?

会議をする若者
Image: Shutterstock.com

たとえば、これまで経験したことのない業務や部署に異動になったときや、慣れない仕事をしているとき。

専門的知識はもちろん、その部署では当たり前のことでも理解できない場合が多いもの。周りと同じくらいの情報や知識をつけるには相当な時間がかかります。毎日、与えられた仕事をこなすのが精いっぱい。

そんな状態にも関わらず、上司から「企画を考えて」「もっと意見をだして」などと言われても、そう簡単にはできません。

会議中も、理解しようと話を聞くことに集中し、メモをとるのに一生懸命なので、自ら何か意見を言ったり、積極的に話したりすることは難しいでしょう。

それなのに「何かないの?来たばかりだからこそ、新鮮な意見を期待していたのに」などと、期待の眼を向けられてしまうことも。

そこで意見を言えなければ、期待との落差が大きく「仕事ができない」と思われてしまうかもしれません。

そんなとき、ちゃんと会話に参加するにはどうしたらいいのでしょうか。

情報や知識がなくても発言する

人は、黙っているより、何かしら話している人のことを、情報や知識が盛りだくさんで、「仕事ができそうな人」だと解釈しやすいもの。

「仕事ができる人」にみられたいなら、まずは話せばいいのです。でも、情報も、知識もないのに、何を話せばいいのか。

聞く(質問)に徹する

自分の情報や知識を伝えるだけが会話ではありません。困ったら聞けばいいのです。

『聞く』は、「質問の訊く」と「話を聴く」と2通りを含んでいます。たとえ自分に引き出しがなくても、人の話に質問をすれば、自然に会話に入ることができます。

質問は、相手の話から5W1Hのどれかを使うと考えておきましょう。

  • Who(だれが)
  • When(いつ)
  • Where(どこで)
  • What(なにを)
  • Why(なぜ)
  • How(どのように)

5W1Hを使った具体的な会話例

「ところで、そのご意見は、お客様にとってどのように効果があるのですか?」

「ちなみに、そのアイデアは、いつ思いついたのですか?」

「○○さんのご意見はすごく納得しました。ただ、1つ、わからないのは、その意見にリスクがあるとしたらどのようなリスクですか?」

「その○○は、誰が対応したのですか?」

「そのイベントは、どこで開催する予定ですか?」

など、相手の話に、質問しまくるのです。

たった、ひと言の質問で、話をどんどん広げ、さらに話の展開は、質問された相手が行ってくれます。

あなたは、自分の情報や知識を発信する必要はないのです。ただ、質問をするだけで上手く会話に参加できます。

会話のキャッチボールをする

相手(A)が答えてくれたら「私(B)はしっかりあなたの話を聴いている」と相手に伝えることも重要です。

A「お客様には、保温効果で、肌にもいいです」

B「肌にいい!?」

A「先日お客様のクレームを言われた時にこのアイデアを思いついただけですが…」

B「思いついたんですね?」

A「リスクは、あまり考えたことはなかったのですが、今考えると、大きさでしょうか。A4サイズではないので持ち運びには不便かもしれません」

B「持ち運びが不便ということですか!」

などと、質問に対して相手の答える話の内容の語尾をひと言だけ繰り返してみます。こうすると、自分の質問に対する相手の答えを否定せず認めていることになるのです。

「あなたの話を聴いている」と伝えたら、会話のキャッチボールができるようになります。

会話のキャッチボールが上手にできれば、質問スキル、聴くスキルがあり、コミュニケーションスキルが高い印象に。

仕事ができる人=コミュニケーションスキルが高い人でもあるので、仕事ができる人だと解釈されるはずです。

「私は理解力が低い」と自分を下げて相手を立てる

ただ最初に仕事ができると思われるとハードルが上がってしまいます。そうすると些細なことができないだけでも、すごく仕事ができない人だと思われてしまうことも。

そのため、最初は、謙虚に自分を下げておくのもコツです(自分を卑下するのではありません)

質問をする前にひと言、添えてみましょう。

「私は、まだ理解力が低いので教えてください…」

「ちょっと気になったので教えてください」

「私、知識不足で申し訳ないのですが、教えてください」

などと最初に口を開きます。

続けて、質問に入るといいでしょう。

B「私は、まだ理解力が低いので教えてください。そのご意見は、お客様にとってどんな効果があるのですか?」

A「お客様には、保温効果で、肌にもいいですよ」

こんなちょっとした工夫で、会話はよりスムーズに展開します。

会議などで発言できれば、コミュニケーションスキルの高さもアピールでき、仕事ができる人という印象も与えられるはずです。ぜひ試してみてください。

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沖本るり子(おきもと るりこ)

沖本るり子

株式会社CHEERFUL 代表。1分トークコンサルタント。「5分会議」®で、人と組織を育てる専門家。江崎グリコなどを経て、聞き手が「内容をつかみやすい」「行動に移しやすい」伝え方を研究。現在、企業向けコンサルタントや研修講師を務めている。明治大学履修証明プログラムでも登壇中。著書に『相手が期待以上に動いてくれる!リーダーのコミュニケーションの教科書』(同文舘)、『生産性アップ!短時間で成果が上がる「ミーティング」と「会議」』(明日香出版社)、『期待以上に人を動かす伝え方』(かんき出版)などがある。

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