花粉飛散シーズンが到来すると、憂鬱になる方も多いのではないでしょうか。屋外はともかく、室内だけでも花粉を持ち込まず、快適に過ごしたいもの。そんな方にとって、強い味方となってくれるのが、花粉症対策もできる空気清浄機です。
花粉対策においては、目的に合わせた空気清浄機のフィルター選びと、適用床面積を正しく理解し、適切な大きさのモデルを選ぶことが重要になります。
今回は、家電ライターとしてご活躍中の秋葉けんたさんにご協力いただき、花粉対策に特化した空気清浄機の選び方やメーカー別の特徴を解説しています。後半部分では花粉対策におすすめの人気モデルも紹介していますので、ぜひ参考にしてみてください。
なお、以下の表示価格は変更の可能性もありますので、販売ページをご確認ください。
■監修者
秋葉けんたさん:編集プロダクションマイカに所属。雑誌や専門誌のライターとして活躍。 家電やIT全般の執筆を得意とし、書籍、新聞、業界誌やWebコンテンツ、オウンドメディアなど多方面にコンテンツを提供。
■目次
・フィルターで選ぶ
・集塵力で選ぶ
・適用床面積で選ぶ
・+αの機能で選ぶ
・花粉対策に適した設置場所
・ダイキン
・パナソニック
・シャープ
・アイリスオーヤマ
・コスパが良い商品【1人暮らし、6畳~、コンパクトな空間用】
・コスパが良い商品【10畳以上、広い空間用】
・機能性に優れた商品【1人暮らし、6畳~、コンパクトな空間用】
・機能性に優れた商品【10畳以上、広い空間用】
花粉対策もできる空気清浄機の選び方
空気清浄機の役目は、部屋の空気をキレイにすることです。しかし、どのような仕組みで空気がキレイになるのか、よく分からないと方も多いのではないでしょうか。
空気清浄機は、周囲の空気を吸引し、ウイルスやホコリ、ハウスダスト、花粉、ダニの死骸などを取り込みます。その後、機器内のフィルターでろ過し、ファンを通してキレイな空気を部屋に送り出してくれるという仕組みです。
ここでポイントとなるのが、花粉の大きさです。一般的な花粉は20~40μmと大きく、長時間室内を浮遊することはありません。床に落ちた花粉は、一般的な空気清浄機では、吸い込みにくく残ってしまうこともあります。そのため、確実に花粉を吸引したい場合は、サーキュレーターや扇風機を併用するのがおすすめです。
また、多くの空気清浄機は、生活臭をキレイにすることは可能(製品によっては脱臭フィルターが別売りの場合もあります)ですが、タバコの一酸化炭素などの有害物質を除去することはできません。そのため、空気清浄機を使用しても、受動喫煙の予防にはつながりません。
このような空気清浄機の役割を踏まえて、選び方を詳しく見ていきましょう。
フィルターで選ぶ
フィルターの役割
フィルターは、吸い込んだ汚れた空気をろ過し、きれいに整える役割を果たしています。つまり、部屋の空気が汚れていればいるほど、フィルターには汚れが溜まりやすくなるということです。また、汚れたフィルターでは十分にろ過することができないため、空気清浄機本来の機能が発揮できません。
フィルターの種類
プレフィルター
もっとも前面に取付けられている簡易フィルターです。10μm以上の大きなゴミを除去する役割を果たしています。交換の必要がなく、掃除機での掃除や水洗いなどで何度も再利用することができます。
集塵フィルター
クリーンルームなどで使用されている「HEPAフィルター」が用いられているのが一般的です。半年~1年程度で交換必須なタイプと、日常的なお手入れは必要なものの10年間交換不要なタイプに分かれています。
脱臭フィルター
活性炭が一般的。格子状の形をしているものが多く、たばこの煙や油煙といった臭いを脱臭することが主な目的です。汚れた場合は、掃除機でフィルター表面を吸い取るメンテナンスが一般的となっています。水洗いをする場合は、乾燥が不十分な場合、ニオイの原因になる可能性があるため注意が必要です。
加湿フィルター
空気清浄機の性能には、直接影響を与えることはありません。加湿機能搭載の空気清浄機には必ず搭載されているため、メンテナンス方法や頻度はあらかじめ確認しておくのがベストです。給水口に近いため、水垢が溜まりやすく、雑菌も繁殖しやすいため注意しなければなりません。加湿トレイやタンクと一緒に掃除するのがおすすめです。
花粉対策ができるフィルター
花粉を捉えるために必要なフィルター
浮遊物は種類によって大きさが異なります。キャッチしたい浮遊物よりも細かい目のフィルターが使われているモデルを選びましょう。
花粉対策ならばHEPAフィルター
ちなみに一般的な空気清浄機に使用されているのが、HEPAフィルターです。HEPAフィルターとは、定格流量で粒径が0.3μmの 粒子に対して99.97%以上の粒子捕集率を持ち、かつ初期圧力損失が245Pa以下の 性能を持つエアフィルターのことです。 1μm=0.001mm。つまり、HEPAフィルターは、直径0.0003mmの粒子を99.97%キャッチすることが可能というわけです。30~40μmのスギ花粉であれば、確実にキャッチできます。 国内メーカーの空気清浄機では、静電気を利用した「静電HEPAフィルター」が一般的です。
フィルター交換を考えて、選ぶ
フィルターは、定期的に掃除や洗浄が必要です。掃除機での吸い取りや水洗いなど、お手入れの方法はあらかじめ確認しておきましょう。また、フィルターは、別途購入し、交換する必要があります。フィルター価格、交換ペースをチェックし、ランニングコストを確認することをおすすめします。
いくら高性能のフィルターでも、適切な時期に交換しなければ、本来の能力を発揮することができません。交換時期お知らせランプなどの機能がついているタイプであれば、取り替え時期を見逃すことがなるため、より安心といえるでしょう。
集塵力で選ぶ
ファン式
モーターでファンを回転させ、吸い込んだ空気をフィルターでろ過して汚れを除去する仕組み。国内の大手メーカーの製品で主流となっている方式です。
電気式
空気中の汚れを、静電気の力でフィルターに吸着させる仕組みです。
花粉対策としては、ファン式がおすすめです。ただし「花粉モード」搭載機能付きモデルや、フィルターで花粉を除去する機能付きモデルなどもあるため、総合的に判断すると良いでしょう。
適用床面積で選ぶ
適用床面積(目安)とは、たばこ5本分の煙に含まれている粒子やガスを30分で浄化できる部屋(天井の高さ2.4m)の広さを表しています。※(一社)日本電機工業会規格(JEMA1467)にて規定 8畳の部屋に設置する場合、適用床面積12畳であれば安心と思いがちですが、適用床面積の計算方法は、「使用する部屋の大きさ(畳数)×2」となります。8畳の場合、最低でも2倍の16畳、よりスピーディに浄化したい場合、3倍の24畳モデルを選びましょう。
一般的には適用床面積が大きいモデルを選んだ方が、空気清浄力は上がります。ただし、その分、価格も上がり、本体も大きくなるため注意が必要です。
+α機能で選ぶ
ニオイセンサー搭載
部屋に充満する生活臭をセンサーが察知し、取り除いてくれる機能です。体臭、料理臭、生ゴミ臭のほか、ペットのニオイなども素早く感知、脱臭してくれる優れもの。中には、ニオイの感度を変更できるモデルも存在します。
ホコリセンサー搭載
空気中のホコリを検知し、素早く吸収する機能です。ホコリだけでなく、花粉やダニの死骸、ハウスダストなどにも対応できます。
除湿・加湿機能搭載
空気清浄に加え、除湿・加湿で湿度を自動で整えてくれる機能です。特に乾燥が気になることの多い冬に重宝されます。
花粉対策に適した設置場所
花粉を除去するために空気清浄機を導入する場合は、設置場所も意識しましょう。 おすすめの設置場所は「玄関」です。家に持ち込まれる花粉を玄関でシャットアウトすることで、リビングや寝室をクリーンな状態に保ちます。
また、大型になればなるほど効果が高い空気清浄機ですが、玄関のような小スペースの空間であれば、小型タイプでも十分に効果を発揮するでしょう。
リビングに置く場合は、入り口に設置するのがおすすめです。エアコンと併用する場合は、気流がぶつからない場所に置くようにしましょう。
また、空気清浄機の中には、スマホに専用アプリをインストールすることで、家の空気の状態をチェックできる機能もあります。帰宅前に空気清浄機を運転予約し、あらかじめ空気をキレイにしておくことが可能です。
花粉対策におすすめのメーカー
ダイキン
ダイキン独自の「高速ストリーマ」搭載モデルや、高めの湿度で肌や喉のうるおいをキープする「のど・はだ運転」搭載モデルなど種類も豊富です。早くから空気清浄機を取り扱っているメーカーであり、フィルターと電気集塵と併用する方式が特徴的といえます。
パナソニック
独自の「ナノイー」を放出し、ウイルスや除菌の効果を高めます。イオンが長寿命で、肌への保湿効果も期待できます。スタイリッシュなコンパクトタイプが多く、バリエーションも豊富なので、より多くの選択肢から選ぶことが可能です。
シャープ
「プラズマクラスター」が有名なメーカーです。花粉などのアレル物質作用を抑えるモデルや、「Ag+イオンカートリッジ」装備モデルなど、除菌・清潔に対する機能が豊富。サイズ展開が豊富で、置く場所に合わせて選ぶことが可能です。
アイリスオーヤマ
生活用品の企画製造や家電事業を主に行っているメーカーです。リーズナブルな価格帯中心ながら、HEPAフィルター搭載モデル、静音モード搭載モデルもあるため、一人暮らしに最適といえるでしょう。
花粉対策に、おすすめの空気清浄機11選
コスパが良い、おすすめ空気清浄機(1人暮らし、6畳~、玄関や書斎などコンパクトな空間用)
●パナソニック F-VXT40
勉強を妨げない静かな運転の「勉強モード」を搭載した空気清浄機です。3つのフィルターでホコリや花粉、ニオイまでもきちんと吸着。ナノイーは、スギ、ヒノキ、カモガヤ、ブタクサの4種類の花粉に対応。カビや花粉などの汚染物質を抑制します。
●象印マホービン PU-AA50
花粉とハウスダストを360度、床上30cmから吸引・洗浄できる空気清浄機です。小さなお子さんやペットのいるご家庭でも安心して使用できるでしょう。花粉対策製品認証も取得しています。静音モードではささやき声と同様の19dB、標準運転時でも図書館程度の39dBと、低騒音設計に特化しているのも特徴のひとつです。
●アイリスオーヤマ HXF-C25-W
加湿機能と空気清浄機能を備えたモデル。活性炭フィルター+HEPAフィルター採用で、花粉やアレル物質、タバコ、カビなどに有効です。3方向吸引で汚れた空気をしっかり吸引します。床の空気まで吸引するため、ペットのいるご家庭にもおすすめです。ヒーターで水を温め、蒸気で加湿する加熱式のため、部屋を冷やさずキレイな蒸気でしっかり加湿してくれます。
コスパが良い、おすすめ空気清浄機(10畳以上、リビングや寝室など広い空間用)
●パナソニック F-VXT90
日本アトピー協会推薦品として認定、花粉対策製品認証を取得している空気清浄機です。独自の気流と独自のイオンテクノロジーで花粉を徹底的に除去します。スマホ連携で空気の汚れ具合(花粉・ハウスダスト・PM2.5・ニオイ)などを自由に設定し、自分好みの空気をつくることができます。
機能性に優れた、おすすめの空気清浄機(1人暮らし用、6~8畳、玄関や書斎など)
●ブルーエア Blue Pure 411
PM2.5やホコリ、花粉などのアレル物質を除去できる空気清浄機です。360度の空気を吸い込み、空気を清浄してくれます。もっとも運転音の静かな製品と認められた証であるQuiet Markを取得しており、寝室にも最適です。
デザイン性が高く、設置場所を選びませんし、毎日24時間使用した場合でもフィルター交換は6カ月に一度が目安となりますのでメンテナンスの手間も最小限といえるでしょう。
●ダイキン MCK40X-W
スリムタワー型のシンプルなデザインの空気清浄機です。加湿量400mL/時のパワフル加湿機能が搭載されており、加湿しても正常能力は低下しません。また、ダイキン独自のストリーマ機能も大きな特徴のひとつ。ニオイをフィルターに吸着させ分解するため、脱臭力が持続します。
●バルミューダ BALMUDA The Pure
部屋中の空気を循環させ、ウイルスや花粉を強力吸引する空気清浄機です。シンプルなデザインは、お部屋のインテリアに調和します。HEPAフィルターと活性炭フィルターがWで汚れもニオイもきれいにしてくれます。
機能性に優れた、おすすめの空気清浄機(10畳以上、リビングや寝室など広い空間用)
●ダイソン Dyson Pure Hot Cool
ヒーター・扇風機としても使える空気清浄機です。毎秒290リットルのきれいな空気を送り出してくれます。循環力が高く部屋中の空気を清浄できます。密閉性の高い360˚グラスHEPAフィルターで、花粉対策も安心。花粉対策製品として認証済の製品です。
●シャープ KC-HD70-W
空気清浄+加湿ができるため、花粉対策に有効な空気清浄機です。0.3μmの粒子を99.97%以上集じんできる「静電HEPA フィルター」は、花粉をしっかりキャッチしてくれます。さらにホコリ・ニオイ・湿度・温度・照度の5つのセンサーが部屋の状態をみはってくれるため、1年中快適。高濃度プラズマクラスター7000搭載モデルです。
●ブルーエア Classic 690i
適用床面積75畳、8畳当たり約4分でパワフルに空気を清浄してくれる空気清浄機です。0.1マイクロメートルの微粒子を99.97%除去してくれます。ニオイの除去にも効果的。フィルター交換通知機能があるため、それまではメンテナンスの必要はありません。
また、毎日24時間使用した場合のフィルターの交換は6カ月に一度となりますので、使用頻度によっては他の製品よりもフィルターのコストが高まることが考えられます。
●ダイキン MCZ70X-T
10年間交換不要で集塵力が持続するTAFUフィルターを採用した空気清浄機です。撥水・撥油効果の高い素材を使用しており、静電力が落ちにくい点は大きな魅力といえるでしょう。また、スマートフォンでお部屋の空気状況を確認したり、スマートスピーカーとの連携によって遠隔操作したりすることも可能です。除湿機能も付いているので、梅雨の時期にも重宝するでしょう。
まとめ
花粉対策は、早めの準備が大切になります。設置場所を具体的にイメージした上で、適用床面積やフィルターの機能から、ニーズに合ったモデルを選ぶと良いでしょう。
また、フィルターの交換時期や交換頻度は、空気清浄機による差が大きい分野です。ランニングコストを計算した上で、長期的に愛用できる一台を見つけてみてはいかがでしょうか。
Image: Shutterstock