仕事で手がけるクライアントのうち、およそ半数は男性だというヘア&メイクアップアーティストのKUBOKIさん。自身も年齢を重ねる中でメンズ美容への意識が高まり、メディアで発信することはもちろん、自身のサロンでも印象アップにつながるトータルケアを提案しているそう。
中でも、働き盛りの30代・40代のビジネスパーソンに向けたビューティが大切ということで始まったのが、この連載「30代からのケアのトリセツ」。
第3回となる今回は、美容好きも、そうでない人も取り組まざるを得ない「男性の髭」について、正しいお手入れ方法やおすすめアイテムを教えてもらいました。
美容やケアというと「男がキレイになっても仕方ないでしょ」という意識の人もまだ少なくないかもしれません。しかしKUBOKIさんは、街中や電車などでビジネスパーソンを見かけるたびに、その髭ケアが気になって仕方ないと語ります。
そり残しはもちろんですが、肌が赤くなってしまったり、そるのに失敗して血がにじんだ跡がある人もちらほら見かけます。
ちょっとしたポイントに気をつけるだけで防げるものですし、正しくケアして肌も心も快適に過ごせるなら、こだわったほうが絶対いいと思います。
電気シェーバーの進化に驚き
髭そりでまずポイントとなるのは、電気シェーバーを使うのか、カミソリを使うのか、ということ。KUBOKIさんはずっと電気シェーバーは苦手と思っていたそうですが、最近、きっかけがあってシェーバーを使い、その進化に驚かされたそう。
仕事でよく3枚刃のものを使っていたのですが、ちょっとそり残しが気になるなと思っていたんです。ところが、最新式のシェーバーは5枚刃だったりするんですよね。
試してみたら、そられている感覚はほとんどないのにツルツルになったので、ビックリしました!
それからというもの、カミソリ派から一転。電動シェーバーも使うようになったKUBOKIさん。
シェーバーでもカミソリでも、自分が使いやすいほうでいいそうですが、いずれにせよポイントになるのは「刃を替える」ことなのだとか。
みんな忘れがちなのが、電動シェーバーも刃を使っているから、使えば使うほど欠けるということ。
カミソリはそりにくくなったら替えますが、電動シェーバーってついそのままにしがちなんです。それに、急にそれなくなるわけじゃなく、徐々に切れ味が悪くなってくるから、その変化にも気づきにくい。
最初の切れ味の良さを忘れて、ついそのまま使い続けてしまうんです。
メーカーが推奨する替え刃のタイミングは半年から1年ですが、髭の濃い人ならもっと早くに替え時が訪れます。切れ味が悪いものをそのまま使っているとどんどん肌が荒れてくるので、メーカー推奨の使用期限内で使うのがポイントです。
どんな高価なシェーバーでも、使い続ければ切れ味が落ちてくるので早め交換が鉄則だそう。
肌の負担軽減に。床屋さんのノウハウが使える
「T字カミソリでそると肌が負けてしまう」という人にKUBOKIさんがおすすめしているのが、スチームタオルのワザ。シェービング前にスチームタオルで温めて毛を柔らかくすると、肌への負担が激減するのだとか。
肌が冷えていると毛穴が締まるし、肌も毛も硬くなります。そうすると肌が負けやすくなるし、深ぞりできなくなるというデメリットも。
床屋さんではそる時にスチームタオルを当てますが、その後にそると気持ちもいいし、ツルツルになりますよね。
スチームタオルといっても難しいテクニックは不要で、水道のお湯でタオルを濡らし、絞ったものを20秒くらい肌に押し当てるだけ。
それからフォームやジェルをつけると負担が少なく、肌も荒れにくいというからぜひ真似してみてください。
<髭ケアのポイント>
●電動シェーバーでもカミソリでも、古くなった刃は禁物!
●スチームタオルや専用フォームがあると、肌荒れが防げてツルツルに
●シェーバーもカミソリも進化中。替えるなら新しいものにトライ
アイテム選びのポイント解説付き! シェービング剤&シェーバー
KUBOKIさんがまず力説するのが、シェービング剤を使うこと。
洗顔フォームでそっている人も少なくないのですが、これはシェービング剤とは全く違うのでおすすめできません。
刃の滑りをよくする効果はあるので肌が強い人ならいいのですが、洗顔フォームや石鹸は界面活性剤が主成分。界面活性剤は汚れを浮かせるための役割があり、使い方によっては肌に必要な皮脂まで奪ってしまう可能性もあります。
キメの細かいシェービング剤なら、肌に負担がかかりにくく、仕上がりも全く違うといいます。
高級なものでももちろんいいのですが、シェービング剤は消耗が早いので、ドラッグストア系のもので十分。シックやニベアなど、日々たっぷり使えるものを選んでください。
こだわりたければデパート系のコスメで、香りやテクスチャーから高級感を感じられるものを選んでもいいでしょう。
アイテム1:ハードな消耗に耐える、おすすめドラッグストア系
「ハイドロ シェービングジェルフォーム199g」 (シック・ジャパン)
最初は髭に密着しやすいジェル状で、なじませるとフォームに変わるユニークなタイプ。髭を根本から柔らかくできるので、そり残しが気になる人には特におすすめ。
2種のヒアルロン酸入りで、肌をきちんと潤す働きも。テクスチャーの変化も楽しく、肌に密着するから深ぞりできて、すべすべに。
アイテム2:KUBOKIさんも愛用! お手軽価格とは思えない濃密泡
「ニベアメン シェービングフォーム スムース」 (花王)
KUBOKIさんが「泡の濃密さが違う」と愛用中なのがこちら。分厚い泡だから深ぞりも滑らかで、すべすべに。リーズナブルで、しかもドラッグストアで買えるとあってヘビロテしているそう。
容器を振ってからプッシュすると、瞬時に濃密泡が出現。グリセリンやカミツレ花エキスなどの保湿成分配合入りで、肌荒れが気になる人も使いやすいしっとり感が。
アイテム3:抜群の心地よさ。デパコスから選ぶならコレ
「クリーム シェーブ」(クリニーク)
「ドラッグストア系もよく使っていますが、パッケージやテクスチャーで気分が上がるもの、歴史やストーリーのあるアイテムを使いたいという人はぜひ“デパコス”を」とKUBOKIさん。
クリニークのようなシンプルなパッケージなら、デパコスに慣れていない人も使いやすく、シェービングタイムをランクアップできること間違いなし。
アロエベラ果汁やアルギン酸などを入れ込んだ高保湿タイプのクリームで、肌も髭もしなやかに。ドクターとの共同開発から生まれたブランドで、肌の上でするすると伸びて密着するなめらかさ、心地よさは別格。
シェーバー:進化を実感する、電動シェーバーの最新型
多くの俳優やミュージシャンのヘアメイクを担当し、必要であれば髭ケアもしてきたKUBOKIさん。
その結論として「電動シェーバーでもカミソリでも、自分が使いやすいと思うほうでOK。ただ、最新の電動シェーバーはすごく進化しているので、迷っている人は試す価値あり」と語ります。
「リニアシェーバー ラムダッシュ 6枚刃 ES-LS9AX」(パナソニック)
KUBOKIさんをして「髭をそるためだけにここまで研究したんだ!と、本当に関心しました。スタンディングオベーションものですよ」と言わしめた、肌に吸い付いてすっきりそれる電動シェーバー。
そり残しもなく、そっている感覚すらほとんどない心地よさ。髭が濃い人でもすっきり気持ちよく使えます。お風呂場でも使え、あご下のくせ髭までカットできる刃のこだわりは見事の一言。
「アフターシェーブローション」選びのポイント
「そこまでこだわりはないんですが」と前置きしつつもKUBOKIさんが教えてくれたのは、専用のローションではなく、普通の化粧品をアフターシェーブローションがわりに使うという知恵。
アフターシェーブローションには、肌を引き締めるタイプのものもあります。アルコールが入っているものも多く、肌タイプによってはしみる可能性があるんです。
特にトラブルのない人であれば専用のアフターシェーブローションで問題ないのですが、肌が敏感な人、カミソリ負けしやすい人は普通のスキンケア化粧品を使うほうがいいでしょう。
化粧水やオールインワンジェル、オイルなどから好みのものを選んでください。刺激になりやすいアルコールは入っていないものがいいですね。
そもそも、髭そり後の肌を鎮静化させ保湿するのが目的なので、自分の肌に合っていれば普通のコスメで問題なし。顔全体のスキンケアを髭そり後にも流用するアイデア、ぜひ試してみてください。
アイテム1:ミスト化粧水で、潤いをまんべんなくチャージ!
「アベンヌ ウォーター」(ピエール ファーブル ジャポン)
「スプレー式でムラなくつけられて、肌温度が下がるので鎮静効果もあります」とKUBOKIさん。ミネラル豊富な天然水を選べば刺激もなく、心地よく保湿が可能に。
敏感肌の治療施設もあるアベンヌの、天然温泉水100%のスプレー化粧水。源泉から無菌状態でボトリングしているので、防腐剤なども無配合。
アイテム2:敏感肌でも安心なオールインワンでしっとり
「カルテHD モイスチュア インストール 高保湿オールインワンゲル」(コーセーマルホファーマ)
KUBOKIさんは「乾燥肌や敏感肌をいい状態に整えてくれるから、髭そりで肌がひりつきやすい人には特におすすめ」と話します。乳液なども兼ねられるため、化粧水の後にこれだけで済ませてもいいそうです。
肌に潤いを保つ働きが認められているヘパリン類似物質HD配合。みずみずしいゲル状でありながら、化粧水に美容液、乳液やクリームまで兼ねられるマルチぶりが◎。
アイテム3:乾きが気になる季節はオイルもプラス
「高品位『スクワラン』15ml」(ハーバー)
空気が乾くこれからの季節、さらなる保湿力を求めるならオイルもあり。
「ひりつきがあるような肌は、ぜひオイルを。2滴くらい垂らしてさっと伸ばすだけでも、肌の守られ感が違いますよ」とKUBOKIさん。
肌本来の皮脂膜に酷似した成分・スクワランを精製し純度99.9%に。ベタつかずに柔らかい肌に整えてくれるのでとても使いやすい。
いかがでしょうか?
なかなか「正しい髭そり」について教わる機会もあまりないように思いますので、これを機会に髭そりについて振り返ってみてはどうでしょうか。
驚くほど肌が違ってくるかもしれませんよ。