【米大統領選2024】 バイデン氏が病気との観測、報道官が否定 大統領も朝の番組で撤退論退ける

米ホワイトハウスのカリーン・ジャン=ピエール報道官

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画像説明, バイデン米大統領の健康状態などについて質問を受けるホワイトハウスのカリーン・ジャン=ピエール報道官(8日)

米大統領選挙からの撤退を求める声が出ているジョー・バイデン大統領(81)は8日、テレビ番組で改めて選挙戦からの離脱を否定し、身内の民主党員らに向け、批判をやめる時だと訴えた。一方、ホワイトハウス報道官は同日、バイデン氏が未公表の病気を患っているのではないかとの見方を否定した。

バイデン氏をめぐっては、6月27日のドナルド・トランプ前大統領との討論会で精彩を欠いて以来、認知機能などを疑問視する声が高まっている。今週、ワシントンで北大西洋条約機構(NATO)首脳会議でホスト役を務める予定があるなか、バイデン氏の健康状態などに関する詮索は弱まりそうにはない。

そうした状況でバイデン氏は、8日朝に左派寄りの米MSNBCの番組「モーニング・ジョー」に電話で出演するという異例の行動を見せた。

バイデン氏は「私は��こにも行かない」と強調。そして、自らに批判的な党内の人々に対し、来月の「党大会で私に挑戦する」か、トランプ前大統領に対抗するため自分を支えるよう迫った。

一方、この日のホワイトハウスの記者会見では、カリーン・ジャン=ピエール報道官が、バイデン氏はパーキンソン病の治療を受けているとの憶測を否定した。パーキンソン病を患うと身体の動きが硬くなり、言葉が不明瞭になることがある。

同報道官は、「大統領はパーキンソン病の治療を受けたことがあるのか? ノーだ。パーキンソン病の治療を受けているのか? ノーだ」と述べた。

パーキンソン病をめぐっては、ワシントン近郊のウォルター・リード米軍医療センターの専門医が、昨年から8回ホワイトハウスを訪れていると、米紙ニューヨーク・タイムズが報じた。

ただ、ホワイトハウスの記録によると、2012~16年のバラク・オバマ政権でも、同じ医師が何度もホワイトハウスを訪れていた。

ジャン=ピエール報道官は、医師のプライバシーとセキュリティーを理由に、この件についてはコメントしないとした。

バイデン氏が党内議員に書簡

バイデン氏はこの日さらに、民主党議員に書簡を送り、11月の大統領選でトランプ前大統領に勝てると「確信していないなら、再選を目指して立候補はしていない」と訴えた。

書簡ではまた、「人々の懸念は受け止めている」とし、「それらに目をつぶっているわけではない」と説明。だが、民主党の有権者らが予備選で、自らを党の指名候補にすべきだと「明確かつ断固として表明した」とした。

その上で、「この経緯は意味がなかったと言うのか?」、「有権者には発言権がないと(中略)。私はそれを拒む。党内で民主主義を無視して、国の民主主義を守ることなどできるのか? 私はそんなことできないし、これからもしない」と主張した。

撤退求める民主党議員ら

米メディアによると、前日の7日には民主党のハキーム・ジェフリーズ下院院内総務が、バイデン氏の退陣を強く求める党内の下院議員3人と電話で協議した。3人は、ジェリー・ナドラー(ニューヨーク州)、マーク・タカノ(カリフォルニア州)、アダム・スミス(ワシントン州)の各議員とされる。

このうちスミス下院議員は8日、声明を発表。「米国民はもはやバイデン氏を、もう4年間大統領を務めるのに適した、信頼に値する候補者とはみていないと明確にした」と主張し、バイデン氏の撤退を公に求めた。

民主党の下院議員では、ロイド・ドゲット議員(テキサス州)が先週、バイデン氏の撤退を求めた最初となった