【米大統領選2024】バイデン氏、撤退するよう自分を説得できるのは「全能の主」だけ

 5日夜のゴールデンタイムに放送されたABCインタビューに応じるバイデン米大統領

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ジョー・バイデン米大統領(81)は5日夜、再選を目指す選挙戦から撤退するよう自分を説得できるのは「全能の主」だけだと述べた。米ABCニュースのインタビューで発言した。

ABCニュースのジョージ・ステファノプロス司会者によるインタビューで大統領は、二期目を務める能力があると有権者を安心させるために、認知機能テストを受けてその結果を公表するつもりはあるかという質問に対し、そのつもりはないと���えた。

6月27日に行われたドナルド・トランプ前大統領との討論会で精彩を欠いた様子に、民主党関係者や大口献金者の一部から、撤退を促されているバイデン氏は、撤退するつもりはないとあらためて繰り返した。

ステファノプロス氏は繰り返し、二期目を務める能力について大統領に尋ね、自分の健康状態や選挙の勝算について、正直に向き合っていないのではないかと質問した。

これに対してバイデン氏は、「私ほど大統領になる資格のある者はいないし、この選挙に勝つ資格のある者もいないと思う」と述べ、討論会での自分は疲れていて「ひどい風邪」をひいていたのだと説明した。

22分間のインタビューで、バイデン氏が述べた主な内容は次の通り。

討論会以降、劣勢に立たされているという民主党支持者の懸念を和らげようとする発言を重ねた。陣営の世論調査担当によると、自分とトランプ前大統領は競り合っているとのことだと述べた。

民主党内の側近たちが、自分に身を引くよう求めるのではないかとの質問には、「それはあり得ない」と否定した。

何がどうなれば撤退するのかと再三質問され、「もしも全能の主が降りてきて、『ジョー、レースから降りろ』と言われたら、レースから降りる」、「しかし、全能の主は降りてきたりしない」と答えた。

大統領は、討論会の時よりもはっきりと質問に答えたが、その声はこの日も弱々しく、時折かすれていた。

民主党内や献金者の不安

自分は戦い続けて「また勝つ」と支持者に訴えたバイデン大統領(5日、ウィスコンシン州マディソン)

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画像説明, 自分は戦い続けて「また勝つ」と支持者に訴えたバイデン大統領(5日、ウィスコンシン州マディソン)

インタビューの放送に先立ち、激戦州ウィスコンシン州のマディソンで行われた支持者集会では非常に元気な様子で、討論会での惨状を認めたうえで「あれ以来、憶測がたくさん飛び交っている。 ジョーはどうするつもりなんだ? と言わている」と観衆に語り掛けた。

「これが私の答えだ。 私は選挙戦を戦い続けて、再び勝利する」とバイデン氏は語り、支持者たちはその名前を連呼した。

バイデン氏の選挙戦は現在、重要な局面を迎えており、大口献金者や民主党内の支援者たちは大統領を候補としてこのまま支持するかどうかを検討している。

米メディアの複数報道によると、今後数日間が今後の展開を変える可能性があることをバイデン陣営は認識しているという。

民主党の主要な献金者の中には、バイデン氏に党の候補から退くよう働きかけ始め、彼の後任が決まらない限り資金を差し控えると公然と警告している人もいる。

これに対して、バイデン陣営は積極的な巻き返し策を予定している。 妻のジル・バイデン氏とカマラ・ハリス副大統領は、今月中にすべての激戦州を訪れる予定。

もしもバイデン氏が撤退する事態になった場合、ハリス副大統領がその代わりに民主党の大統領候補になる可能性が注目されている。

米紙ワシントン・ポストによると、民主党のハキーム・ジェフリーズ下院少数党院内総務がバイデン大統領と党の候補指名について話し合うため、下院の民主党議員団幹部との会合を7日にも予定している。

これまでにすでに、下院の民主党議員4人が表立って、バイデン氏に撤退を求める発言をしている。

ただし、民主党幹部からのそうした発言はないと、バイデン陣営は指摘している。

しかし複数報道によると、民主党ベテランのマーク・ワーナー上院議員(情報委委員長、元ヴァージニア州知事)がバイデン氏に選挙戦からの離脱を求めるため、民主党議員団を作ろうとしているという。

バイデン氏はこの報道について5日、「それを考えているのはワーナー氏だけ」だと記者団に述べた。

他方、バイデン氏を支持してきたマサチューセッツ州のモーラ・ヒーリー知事(民主党)は、民主党の大統領候補に留まるのかどうかを「慎重に判断」するようバイデン氏に促す声明を発表した。

「バイデン大統領がどのような決断を下そうと、私はドナルド・トランプを倒すために全力を尽くす」と、ヒーリー知事は述べた。

民主党を支持する一部の有権者も、バイデン氏が大統領候補として適格かどうか、信用を失いつつある。米紙ウォール・ストリート・ジャーナルが5日に発表した世論調査では、民主党員の86%がバイデン氏を支持すると答えた。今年2月の同様の回答は93%だった。