イラン大統領選 改革派ペゼシュキアン氏が当選

イラン大統領選の選挙集会に臨んだペゼシュキアン元保健相

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画像説明, イラン大統領選の選挙集会に臨んだペゼシュキアン元保健相(3日、テヘラン)

カスラ・ナジ、BBCペルシャ語特別特派員  トム・ベネット、BBCニュース

9年ぶりに行われたイラン大統領選の決選投票で内務省は6日、改革派のマスード・ペゼシュキアン元保健相が、当選したと発表した。

内務省によると、開票された3000万以上の票のうち、ペゼシュキアン氏が53.3%を獲得した。一騎打ちとなった保守強硬派のサイード・ジャリリ元最高安全保障委員会事務局長の得票率は、44.3%だった。

6月28日に行われた1回目の投票では過半数を確保した候補者がいなかったため、今回の決選投票に至った。

この選挙は、エブラヒム・ライシ前大統領が5月にヘリコプター墜落事故で死亡したことを受けて、行われた。墜落事故ではほかに7人が死亡している。

中国、インド、ロシアの首脳はいずれも、ペゼシュキアン医師の勝利を祝福した。

イラン内務省が最終結果を発表する前から、ペゼシュキアン氏の支持者たちはテヘランをはじめとする多くの都市の街頭に集まり、祝っていた。

ソーシャルメディアに投稿された動画では、通り過ぎる車が次々とクラクションを鳴らし、多くの若者がペゼシュキアン陣営を表す緑色の旗を振りながら踊っていた。

ペゼシュキアン医師は71歳の心臓外科医で、イランの国会議員。イランの悪名高い道徳警察に批判的で、イランの世界からの「孤立」解消と「団結と結束」を約束し、波紋を呼んだ。

ペゼシュキアン氏はさらに、イランの核開発をめぐり西側諸国と「建設的な交渉」を呼びかけた。イランと西側諸国は2015年、西側の制裁緩和を条件にイランが核開発計画で譲歩すると合意したものの、3年後に米トランプ政権が一方的に離脱して対イラン制裁を再開したことから、この合意枠組みは停滞している。ペゼシュキアン氏は枠組みの再建を目指すとしている。

対抗馬のジャリリ氏は強硬な反欧米姿勢で知られ、核合意再建に反対し、現状維持を呼び掛けていた。同氏は、宗���関係者の支持を得ていた。

決選投票の投票率は約50%。第1回投票の投票率は、1979年のイスラム革命以来最低の40%だった。

1回目の投票では、ほとんどの候補者がイスラム教強硬派だったことや、最高指導者が政策を厳しく統制する限り本当の変革はありえないという認識が、国民の不満に拍車をかけた。

ジャリリ氏の当選を防ぐため、第1回投票で投票しなかった人はペゼシュキアン氏に投票するよう呼びかける声もあった。

ジャリリ氏が当選すれば、イランは諸外国との対立を深め、その結果、制裁と孤立が悪化するという懸念が多くの国民の間にあったとされる。