ロシアに友好的なハンガリー首相、モスクワでプーチン氏と会談
![ハンガリーのオルバン・ヴィクトル首相(左)は5日、ロシア・モスクワでウラジーミル・プーチン大統領と会談した](https://cdn.statically.io/img/ichef.bbci.co.uk/ace/ws/640/cpsprodpb/c3e2/live/ea75eee0-3b4e-11ef-bdc5-41d7421c2adf.jpg.webp)
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ハンガリーのオルバン・ヴィクトル首相は5日、ロシア・モスクワでウラジーミル・プーチン大統領と会談した。プーチン氏が軍事侵攻をめぐり欧州各国の指導者やウクライナ政府から激しく批判される中での、ロシア訪問となった。
5日の会談は、オルバン首相が「平和のミッション」と呼ぶ活動の一環。同首相は3日前にはウクライナ・キーウを訪れ、ウォロディミル・ゼレンスキー大統領と会談していた。
ハンガリーは今月、欧州理事会の議長国になったばかり。しかし、欧州連合(EU)加盟国の首脳たちは、オルバン氏がEUを代表して行動しているわけではないと強調している。
オルバン氏はEU加盟国の首脳として唯一、ロシアが2022年にウクライナへの全面侵攻を開始した後もロシア政府との緊密な関係を保っている。
数時間にわたる会談を終えたオルバン氏は、和平実現において、ロシアとウクライナの考えには依然「かなりの隔たりがある」と述べた。
「この戦争を終わらせるには多くのステップが必要だが、我々は対話を回復するための最初の一歩を踏み出した」
プーチン氏は「率直で有益な」対話だったと述べた。また、ロシアが併合したと主張するウクライナ南部と東部の4州(うち1州は現在、ロシアに占領されていない)からウクライナ軍が撤退することが停戦に応じる条件だと繰り返した。この停戦案はすでに西側諸国から拒否されている。
ウクライナのゼレンスキー大統領は以前から、ロシアが2014年に一方的に併合したウクライナ南部クリミア半島を含むウクライナの全領土からロシア軍が撤退しない限り、ロシア政府との交渉には応じないとしている。
オルバン氏の訪ロ、「EUを代表したものではない」
プーチン氏は先に、オルバン氏は「長年のパートナーとしてだけでなく」、EUの代表としてロシアを訪問していると述べた。
しかし、欧州各国の指導者は、オルバン氏はEUを代表していないと強調。同氏のロシア訪問を公然と非難した。
「EUの持ち回りの議長国には、EUを代表してロシアと関与する権限はない」と、欧州理事会のシャルル・ミシェル議長はソーシャルメディアに投稿した。
「欧州理事会の立場は明確だ。ロシアは侵略者であり、ウクライナは犠牲者だ。ウクライナを抜きに、ウクライナに関するいかなる議論も成り立たない」
「宥和(ゆうわ)政策ではプーチン氏を止めることはできない」と、欧州委員会のウルズラ・フォン・デア・ライエン委員長はソーシャルメディアに書いた。
ウクライナも今回の訪問を非難した。同国外務省は声明で、「我が国にとって、『ウクライナ抜きでウクライナに関する合意は結べない』という原則は今も破られてはならないもので、すべての国がこれを厳守するよう求める」とした。
ウクライナとハンガリー、関係は冷え切り
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オルバン氏は2日、ウクライナ・キーウを訪問し、「迅速な停戦が、和平交渉の加速に役立つ可能性がある」と述べた。しかしゼレンスキー氏は、この提案に応じなかった。
昨夏のウクライナの反転攻勢を前に、オルバン氏はウクライナはこの戦争では勝てないと警告した。
オルバン氏はロシアによる侵攻が始まって以降、ロシアの資源と兵力における優位性がプーチン氏の国を無敵にしていると強調してきた。
一方で多くのウクライナ人は、いかなる停戦も、ロシアがウクライナから奪った領土に対する支配力を強めるだけだと考えている。交渉が行われるとしても、尻込みするのではなく強い立場で臨むことを望んでいる。
オルバン氏は西側諸国の対ウクライナ支援を声高に批判してきた。ウクライナの対ロシア防衛を支援する500億ユーロ(約8兆7000億円)規模のEUの支援パッケージの採択を遅らせたこともある。
オルバン氏のウクライナ訪問は12年ぶりだが、この間、プーチン氏とはたびたび会談している。
オルバン氏とゼレンスキー氏の共同記者会見では、2人が見せるボディランゲージからは友好な関係性はみられなかった。両首脳はメディアからの質問を受け��けなかった。
ただ、ハンガリーは今後、半年間にわたり欧州理事会の議長国を務める。つまりオルバン氏は、欧州の名目上の長として影響力のある役割を担っていくことになる。
ハンガリーが議長国になって2日目に、オルバン氏はキーウを訪れた。これまでの意見の相違を解決し、未来に焦点を当てる必要があると、同氏は主張している。