【解説】 フランス国民、またも極右を拒否 国民議会選
![歓喜するフランスの左派支持者たち](https://cdn.statically.io/img/ichef.bbci.co.uk/ace/ws/640/cpsprodpb/7c78/live/136017e0-3cd5-11ef-a044-9d4367d5b599.jpg.webp)
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ヒュー・スコフィールド、BBCニュース
フランス国民は再び意思を明確にした。極右政権はごめんだと。
フランス国民は欧州議会選挙で極右を大勝させた。今回の国民議会(下院、定数577)選挙でも第1回投票で極右に大勝をもたらした。
しかし本当に重要な投票では、大統領選でそうだったように、国民は瀬戸際で後ずさりした。
極右「国民連合」(RN)は1週間前、300議席近くを獲得すると予想されていた。だが実際には、150議席前後となり、3位に転落する見通しだ。この大逆転劇は、国民連合の躍進を止めようと、有権者が大挙して投票した結果にほかならない。
国民連合は、他党が協力して選挙制度を巧みに利用したため、このようなことが可能になったと主張するだろう。その主張には一定の妥当性がある。
国民連合は、左派のバラバラな政党が突然、互いの相違点を忘れ去り、反国��連合でまとまったと指摘する。また、エマニュエル・マクロン大統領の支持者らと左派に対しても、違いを脇に置いたとしている。
さらに、そうした政治家たち(中道右派のエドゥアール・フィリップ元首相からトロツキスト左派のフィリップ・プトゥ氏まで)について、国民連合への反対のみで団結していると批判する。そして、この合意の欠如は今後、悪影響をもたらすとしている。
とはいえ、事実は変わらない。大半の国民は極右を望まなかった。その思想に反対しているか、極右政権になれば避けられない混乱を恐れているかのどちらかだ。
では、国民連合のジョルダン・バルデラ党首が次の首相とならないのであれば、誰がなるのか。
それが大きな未知数となっている。そして、過去の仏国民議会選の慣例と異なり、その答えが出るまで数週間かかるかもしれない。
なぜなら、この緊迫した数週間で、フランスの政治システムの本質を変えることが起きたからだ。
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ベテラン政治評論家のアラン・デュアメル氏は、「もはや圧倒的な政党は存在しない。7年前にマクロンが政権を握って以来、フランスは政治勢力の解体期にあった」、「そしておそらく今、再構築の時期を迎えている」と説明した。
同氏が言っているのは、現在3大ブロック(左派、極右、中道)と中道右派という、政治勢力の多極化がみられるということだ。そして、それらの中に競合する動きや政党が存在している。
どの党も議会で主導権を握れないため、中道右派から左派までの新たな連立の形成を目指す長期間の交渉が避けられない状況だ。
連立を組む可能性のある各党がこれまで、互いに嫌悪感を表明し合ってきたことを考えれば、連立がどう組まれるかはまったく見通せない。
ただ、数週間にわたって続いた緊張の後で、マクロン大統領が和解の期間を求めることは間違いないだろう。
好都合なことに、その期間はパリ・オリンピックと夏休みを通して続き、国民に活力を取り戻させるだろう。
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権力の移行
その間、マクロン氏は連立協議を主導し、さまざまな政党に働きかける人物を指名するだろう。左派の誰かだろうか? 中道の人物だろうか? それとも政界とは無関係の人だろうか? それは不明だ。
確実と思われるのは、フランスがより議会制の国へと移行しようとしていることだ。
権力はマクロン大統領から離れ、新政権を率いる人物へと移るだろう。
仮にマクロン氏が中道派の人物を首相に据えることができたとしても(左派が強いことを考えれば決して簡単ではないが)、その人物は議会の支持に基づき、正当に手にした権力を行使することになる。
マクロン氏は2027年大統領選に立候補する見込みはなく、存在感は薄れるだろう。
では、マクロン氏は賭けに負けたのだろうか? 選挙を���いだことを後悔しているだろうか? 後戻りする用意はあるのだろうか?
マクロン氏がそうしたことを考えていないことは確かだ。状況が手に負えなくなったから選挙を求めたのだと、マクロン氏は言うだろう。政治を明快にし、国民連合に広い支持に見合った議席を与えたのだと言うだろう。そして、フランス国民が極右を政権に就けることは絶対にしないという賭けは、正しいものだったと言うだろう。
ともあれ、マクロン氏はまだいなくなったわけではない。その権力は衰えつつあるかもしれない。しかし、彼はまだエリゼ宮(大統領官邸)にいて、自らのチームと協議し、政治家らに働きかけている。そして、政治の時計を操る立場にいる。