仕事に活きる「強み」を見つけるノート術。短所を長所に変換したら “意外な強み” が見つかった

机で仕事をしている3人の手

「仕事にやりがいを感じない」「毎日の仕事が楽しくない……」けれど、転職や社内キャリアチェンジに踏み切る勇気もないから、結局ずっと同じ職場で働いている。そんなモヤモヤを抱えていませんか?

仕事のモチベーションが上がらないのは、あなたが「自分の強み」を知らないからかもしれません。自分の「強み」を理解すると、いまよりもずっと自分らしく働けるはずです。今回は、「自分の強み」の見つけ方を紹介しましょう。

【ライタープロフィール】
高原朋美(たかはら・ともみ)
株式会社インフィニティ 代表取締役。大学卒業後、インテリジェンス(現パーソルキャリア)入社。転職支援キャリアコンサルタントMgr、人事部採用担当、日本最大級のジョブカフェ受託事業責任者の経験を経てフリーランスとして独立(2024年 株式会社インフィニティ設立)。キャリア支援実績延べ1万人、法人/個人向けに年間200回以上のキャリアセミナー・講演・コンサル事業を手掛ける。 社会人向けキャリアコーチングサービス「CAREER STAGE」の監修・キャリアコーチ向けスーパーバイザー担当。

仕事で活躍している人は「自分の強み」を知っている

強みには、「生まれもった強み(才能・資質)」+「後天的に培った強み(技能・知識=スキル・アビリティ・ナレッジ)」があります。そして誰もが自分の「強み」をもっています。ここでは、自分のなかの才能や、強い資質に注目してみましょう。

「弱み」を克服するよりも、「強み」をさらに引き上げるほうが、より大きな成果を上げることができます。しかも、その仕事が好きかどうかに関係なく、成功する確率はぐんと上がります。さらにその「強み」が経験や学習によって磨かれると、より高レベルな能力・知識となるのです。「強み」の例を挙げてみましょう。

【例】探求心がある/深く考えることができる/客観的な視点がある/感情に左右されない/コミュニケーションスキルが高い/細かい作業が得意/切り替え力に優れている/目的達成志向が高い/人の話をしっかり聞ける etc.

また、「自分の強み」を把握している人は、仕事をするうえで以下のようなメリットがあります。

  • 自分の得意な仕事や業務に積極的に挑戦する→→→まわりの人から感謝される、頼られる機会が増える
  • 成果が出るまでの学習のハードルは低く、成長スピードも圧倒的に早い→→→ストレスなく成果が出るので仕事が楽しい!
  • 仕事に対して、時間的余裕、金銭的余裕、体力的余裕、精神的余裕ができる→→→安定したキャリアアップが望める

もしあなたのまわりでキラキラと活躍している人がいるならば、その人はきっと「自分の強み」を把握し、それを活かしていると言えるでしょう。

左側の女性に拍手を送る男性2人

「短所」と「強み」は表裏一体。頑固な性格を「強み」に変換したら?

でも、私には強みがない……そう思い込んでいませんか?

筆者はこれまで、学生や新入社員、会社役員、経営者など、1万人を超えるキャリア支援に携わってきましたが、全員がそれぞれの「強み」をもっていました。しかし残念なことに「私には強みがない」と考えている方のほうが圧倒的に多かったのです。

「自分には特技や得意分野がない」という人でも絶対に「強み」はあります! しかも、自分では「短所」だと思っているけれど、それがじつは「強み」だったということも少なくないのです。

ひとつの例を挙げましょう。初回のキャリアカウンセリングで、「私には『強み』と呼べるようなものはありません……」と、悩んでいたAさんは以下のように話してくれました。

「自分が納得しないと先に進めない、頑固な性格に悩んでいます。それに、世渡り下手なので、社内でうまく立ち回ることができません。得手不得手がはっきりしていて、マルチタスクが苦手です」

この悩みを聞いたとき、筆者は「Aさんも、強みをたくさんもっている人だ」という印象を受けました。なぜならば、「強み」と「短所」は表裏一体。以下のように、「短所」は裏返して「強み」として機能するからです。

  • 頑固な性格・・・自分の信念をもって行動ができて、他人の意見に流されない
  • 世渡り下手・・・物事を率直に表現し、周囲に対して正直なので、仕事で信頼を得やすい
  • 得手不得手がはっきりしている・・・自分の得意分野と苦手分野をしっかり把握しているので、効率的に作業を進められる
  • マルチタスクが苦手・・・1点に対する集中力があるため、質の高い成果を出しやすい

Aさんは、こんなにも多くの「強み」をもっているのです。どれもすばらしいものばかりだと思いませんか? ちなみに専門的な観点で言うと、Aさんのように「自分の価値観を大切にし、ひとつの事柄をまじめにコツコツと探求できる性格の持ち主」は、研究家タイプと分類されます。

その後、何度かのカウンセリングを経て、Aさんは自分の「強み」を活かして「ITエンジニア」から「データアナリスト」へとキャリアチェンジを果たしました。Aさんのように、「短所」を「強み」に変換すれば、新しいキャリアの扉を開くことが可能です。

ビジネスパーソンの影に色がついているイラスト

「自分の強み」を見つけるノート術

「自分の強み」を見つけるためにはどうすればいいのでしょうか。今回は「強み」を見つけるノート術を紹介します。やり方は簡単。1~5に書かれていることを順番に書き出していきます。

1. 自分の性格を言語化する

性格には「才能や資質」が現れるので、性格を言語化することが有効になる。

例:行動力がある/冷静/社交的/決断力がある/臨機応変に対応できる/チャレンジ精神が高い/自己主張が得意/聞き上手/思いやりがある/努力家/ストレスに強い/几帳面/慎重派/整理整頓が得意/スケジュール管理が得意 etc.

2. 1の性格はどんなシーンで発揮されたのかを具体的に書き出す

書き出した性格がどんなシーンで発揮されたか、詳細を書く。その際に上司、同僚、メンバーに言われた言葉などがあれば、それも書き出す。

3. 社会人として身につけたスキル・知識・資格を書き出す

例:分析力/電話応対(主にトラブル対応)/物流業界で使う法律用語/2級FP技能士/乙種第4類危険物取扱者/TOEIC 810点/普通自動車運転免許 etc.

4. 3のスキルはどんなシーンで発揮されたのか具体的に書き出す

どんな会社のどの部署で、どんな成果を残したか。成果を出せた要因は何か、工夫したことは何か、周囲からどう評価されたか、を書き出す。

5. 「強み」を客観的に書き出す

よく頼まれること、長く続けていること、よくほめられること、感謝されたこと、人から自分が「どんな人」と紹介されるか、などを書く。

例:データの整理/書道(毛筆・硬筆)/Webデザイン/「字がきれい」とよくほめられる/電話応対の声が聞き取りやすい/社交的でポジティブ etc.

自分の強みを書いたノート

「強み」をキャリアにつなげる【Can】【Will】【Must】

ノートには「自分の強み」がたくさん書かれていますね? 最後は、その「強み」をキャリアにつなげていきましょう。【Can】【Will】【Must】を使って言語化していきます。

まず「強み」は、あなたが「できること」ですから【Can】、「これからなにをしたいか」「自分はどうありたいか」が【Will】、未来のキャリアに向けて「いまやるべきこと」を【Must】とします。筆者が担当したBさんとCさんの例を参考として紹介します。

Bさん(地方銀行勤務・経営者向けの融資営業)
【Can】営業スキル、傾聴力、交渉力、資料作成スキル、ビジネスマナー、企業分析力、経営者視点
【Will】企業の魅力を最大限に伝えたい、人材のマッチング業務に携わりたい
【Must】企業分析力をアップさせる、金融系以外の業界をリサーチしてみる
→ハイクラス人材紹介エージェントの法人担当として転職。1年目にしてMVPも獲得でき、インセンティブを含めて年収が200万円もアップ。仕事に対する情熱が再燃!
Cさん(損害保険会社勤務・事故受付オペレーター)
【Can】瞬時の判断力、冷静さ、集中力、状況把握力、法律知識、コミュニケーションスキル、データ入力スキル
【Will】オペレーターではない仕事でやりがいを感じたい
【Must】企業内での部署異動、自分の「強み」が活かせる職種のリサーチ
→企業内のプロセス改善チームへの部署異動を実現。事故処理のプロセスを大幅に改善し、顧客満足度を向上させることに成功。社内外で高く評価され、さらにキャリアアップした。

Bさん、Cさんのように、「強み」を認識することで、「強み」を発揮できる仕事でやりがいを得られるのです。そして仕事に対するモチベーションがアップすると、さらなるキャリアアップにつながりますよ。

***
「自分に合った仕事がわからない」「特技も得意分野もない」なんて考えている人こそ、「強み」を見つけるノート術を試してみてください。あなたの「強み」がきっと見つかります。

もし「より深い自己分析」「中長期的なキャリアプラン」を考えたい場合は、専門家に相談してみましょう。「自分の強み」や価値観を徹底的に言語化できるプログラムの活用で、あなた自身もまだ知らない「隠れた強み」が明らかになりますよ。

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