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野菜のビタミンやミネラルが台無し?管理栄養士が正す野菜のダメな食べ方

意外や水菜は栄養豊富な緑黄色野菜、青汁は野菜汁ではなく嗜好飲料ジャンル! 生野菜信者の人もご注意!

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野菜のビタミンやミネラルが台無し?管理栄養士が正す野菜のダメな食べ方
Westend61//Getty Images

健康と美容に欠かせない野菜。意識して食べようとしている人も多いはず。でも実は間違った摂取法のため、身体のためになっていないかも! そんな誤解を訂正し、効果的な野菜の食べ方を管理栄養士が指南。野菜の栄養を最大限に活かすためのポイントをチェックして。女性におすすめの野菜リストや、栄養素が無駄なくとれる簡単レシピも参考に。


1. 「野菜は必要」 わかってはいるけれど…
2. 「野菜オンリーの献立が身体にいちばんよい」 答えはNO!
3. 「生野菜が健康にはいちばん!」 答えはNO!
4. 「野菜といえば緑黄色野菜!淡色野菜は栄養がない」 答えはNO!
5. 「外食で野菜をとるのは難しいから、野菜は夕食だけ」 答えはNO!
6. 「野菜は冷凍するとビタミンが壊れる」 答えはNO!
7. 「青汁を飲めば野菜はなくてもOK」 答えはNO!
8. 女性に不足が目立つビタミン・ミネラルとは?
9. 女性におすすめの野菜リスト
10. 管理栄養士が実践する野菜の食べ方【レシピ付き】

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「野菜は必要」 わかってはいるけれど…

野菜のビタミンやミネラルが台無し?管理栄養士が正す野菜のダメな食べ方
Maria Korneeva//Getty Images

ビタミン・ミネラルを多く含む野菜。なぜ、身体のために野菜は不可欠なのか。それは、エネルギー源となる炭水化物、脂質、たんぱく質が体内で活用(代謝)されるためにはビタミン・ミネラルが欠かせないから。身体機能の維持に欠かせないビタミン・ミネラルは体内でほとんど作ることができないため、食事から摂取する必要がある。

また野菜に豊富な食物繊維は、腸内環境を整え、排便を促し、生活習慣病などの予防も。リコピンなど機能性成分は病気の予防効果が期待され、健康に過ごすために重要だし、歯ごたえのある野菜の咀嚼効果は食べ過ぎ防止だけでなくさまざまな健康効果ももたらしてくれる。

そう、わたしたちには野菜が必要! でも、世の中には間違った認識が多いみたい。管理栄養士の篠原絵里佳さんに正しい方法を教えてもらって、効率的な野菜のとり入れ方を学ぼう!

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「野菜オンリーの献立が身体にいちばんよい」 答えはNO!

野菜のビタミンやミネラルが台無し?管理栄養士が正す野菜のダメな食べ方
SimpleImages//Getty Images

野菜なしで健康になることはできないけれど、野菜だけでも健康にはなれない。

ビタミン・ミネラルは、糖質・脂質・たんぱく質とともに働くため、単独での活躍はでき���い。主食(ごはん、パン、麺)と主菜(肉・魚・卵・大豆製品)と一緒に食べることで、野菜の栄養素(ビタミン・ミネラル)が体内で働くことができる、つまり効率よく利用することができる。

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「生野菜が健康にはいちばん!」 答えはNO!

野菜のビタミンやミネラルが台無し?管理栄養士が正す野菜のダメな食べ方
Jena Ardell//Getty Images

ひとつの野菜に脂溶性の成分も水溶性の成分も混在しているため、野菜はさまざまな調理法で食べるのが正解。

生で食べれば、熱に弱いビタミンCがとりやすいのは事実。でも1日に必要な量の野菜を生野菜で摂取しようとすると、大きなボウル山盛りでも足りないくらい。それを毎日続けるのは無理というもの。茹でたり蒸したりすれば、カサが減って量が食べられるので、食物繊維もしっかりとることができる。ちなみに生野菜(サラダ)は、体を冷やしてしまうため、冷え性の人はなるべく加熱した野菜を食べるように。

ビタミンには、脂溶性(ビタミンA、ビタミンD、ビタミンE、ビタミンK)と、水溶性(ビタミンB群、ビタミンC)がある。それぞれの性質により適した調理法で食べるのがおすすめ。

脂溶性ビタミンなら、油で炒める、揚げる、マヨネーズで和える、胡麻和えにする、チーズをかけて焼く、グラタンやシチューなどのホワイトソースに加えるなど。

水溶性は水に溶ける性質があるため、茹でたり、水にさらすことで、流出による損失がある。蒸し焼きや、レンジ蒸し、またスープごと飲むのもおすすめ。

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「野菜は緑黄色野菜だけでよい」 答えはNO!

「野菜といえば緑黄色野菜!淡色野菜は栄養がない」 答えはno!
alvarez//Getty Images

βカロテンが豊富な緑黄色野菜*、それ以外は淡色野菜に分類される。確かに栄養価が高い緑黄色野菜は、野菜の1日の目標量である350gのうち、全体の60%、120~150g以上の摂取が推奨されている。


しかし野菜の良し悪しはβカロテンのみが基準ではなく、いろいろな栄養素、機能性成分などにも目を向けるべき。食べる部分を意識するとよい。つまり、ほうれん草や白菜のように葉を食べる葉菜類、トマトやトウモロコシのように実や種を食べる果菜類、アスパラガスや玉ねぎなど茎の部分を食べる茎菜類、大根や人参のように根を食べる根菜類。緑黄色野菜だけでは不足しやすいデンプンなどが取り込める。9のおすすめ野菜を参照にして。

*緑黄色野菜とは、「可食部100g当たりβカロテン当量600㎍以上のもの、600㎍未満でも食べる量や食べる頻度が多く、カロテン源になる野菜」のこと。

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「外食で野菜をとるのは難しいから、野菜は夕食だけ」 答えはNO!

「外食で野菜をとるのは難しいから、野菜は夕食だけ」 答えはno!
Petri Oeschger//Getty Images

野菜は1日3食とることが大切。

3食に分けて食べる理由は主に4つ。①水溶性ビタミンは、体内に留まっている時間も短く、またとりすぎた分は尿中に排泄されてしまうため、できるだけこまめにとりたい。②食物繊維は血糖値の急上昇を抑える働きがあるため、できれば毎食。③野菜の咀嚼効果。唾液が分泌され、栄養素の消化吸収がよくなる、虫歯や歯周病予防、脳の血流促進、あごや筋力の発達、満腹感が得られるため、食べ過ぎを予防できるなど。④三大栄養素である糖質や脂質、たんぱく質と一緒になって働くため、毎食野菜は必要。

手のひらに乗る小鉢1皿が約70gとして、1日小鉢5皿が目安。朝1皿、昼2皿、夕2皿を目標にするとよい。サラダはカサがあって小鉢一皿では70gに満たないため、サラダだけに偏らないようにしたい。

外食や中食ではなかなか野菜はとれにくいけれど、こんなアイディアも参考にして。
・カラフルなメニューを選ぶ。つまり野菜が入っていることの目印。
・コンビニでは、和え物、漬物などサラダ以外のアイテムにも注目。海藻やきのこ、豆入りのものも◎
・冷凍野菜も便利なため、常備しておくのも良い。枝豆、ほうれん草、ブロッコリーなどは手軽で便利。

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「野菜は冷凍するとビタミンが壊れる」 答えはNO!

野菜のビタミンやミネラルが台無し?管理栄養士が正す野菜のダメな食べ方
yulka3ice//Getty Images

市販の冷凍野菜は栄養価の高い旬の時期に収穫して、すぐにブランチング(短時間加熱をして冷やす前処理)をして冷凍しているため、栄養価が高い状態を保持している。

また、ほうれん草は旬と旬でないときのビタミンCの含有量は3倍違う。茹でて50%損失したとしても、旬でないときのビタミンCよりも多い。ビタミンCは低温には強いため、冷凍保存もOK。収穫後、時間の経過とともにビタミンCは減るので、できるだけすぐに調理をして食べることが、おいしいことはもちろんのこと、栄養的にも優れている。自宅でも、旬の野菜を購入し、すぐに食べないときや食べきれないときは、冷凍保存がおすすめ。

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「青汁を飲めば野菜はなくてもOK」 答えはNO!

「青汁を飲めば野菜はなくてもok」 答えはno!
kuppa_rock//Getty Images

野菜を食べる≠ジュースを飲む。イコールではない。

青汁は嗜好飲料に分類されるため、野菜ではない。野菜ジュースは野菜汁100%であれば、野菜の位置づけで、200ml飲んで100g食べたと換算されるが、あくまでも代替品であるため、野菜ジュースは1日1杯(200ml)まで。ジュースは、熱に弱い栄養素は失われ、不溶性食物繊維も取り除かれてしまう。また、野菜は噛んで食べる(咀嚼する)ことができるという点も大事なポイントであるため、ジュースのみで野菜の代わりにはならない。

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女性に不足が目立つビタミン・ミネラルとは?

女性に不足が目立つビタミン・ミネラルとは?
Westend61//Getty Images

女性に不足が目立つビタミン…ビタミンA・ビタミンD・ビタミンB1・ビタミンB2・ビタミンB6・葉酸、ビタミンC

女性に不足が目立つミネラル…カルシウム、マグネシウム、カリウム、鉄、亜鉛

これら女性に不足が目立つビタミン・ミネラルのうち、野菜に期待できるもの…ビタミンA・ビタミンB6葉酸・ビタミンC、カルシウム、マグネシウム、カリウム、鉄

ビタミンB6
たんぱく質の代謝に関わる代表的なビタミン。女性ホルモンの代謝にも関わるため、女性は不足しやすい。ストレスにより消耗されやすい。動物性食品に多く含まれている栄養素だが、野菜では、枝豆、カリフラワー、ブロッコリー・豆苗等の緑黄色野菜に豊富に含まれる。

葉酸
造血ビタミンともいわれており、血液を作る際にも必要なため、貧血予防にも欠かせないビタミン。妊娠初期に不足すると胎児の神経管閉鎖障害のリスクが上がるといわれている。妊娠1カ月以上前からしっかりとることが大事。

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女性におすすめの野菜リスト

野菜のビタミンやミネラルが台無し?管理栄養士が正す野菜のダメな食べ方
masa44//Getty Images

目的別とるべき栄養素は?

・抗酸化ビタミン(老化予防、美肌、動脈硬化予防)…ビタミンA・C・E、
・貧血予防…鉄、葉酸、
・美肌…ビタミンA・C・E、ビタミンB6
・骨の健康…カルシウム、マグネシウム、ビタミンK、ビタミンC
・女性ホルモン・月経関連…鉄、葉酸、ビタミンE、ビタミンB6
・代謝を上げる(ダイエット)…ビタミンB1・B6、鉄

おすすめの野菜

ほうれん草…鉄、カルシウム、ビタミンE、ビタミンB1、ビタミンB6、葉酸、ビタミンC
枝豆…たんぱく質、鉄、ビタミンB1、ビタミンB6、葉酸、ビタミンC
かぼちゃ…ビタミンA・C・E、ビタミンB6、葉酸
モロヘイヤ…ビタミンA・C・E、葉酸、ビタミンB1・B2・B6、ビタミンK、カルシウム
トマト…ビタミンC、リコピン
ブロッコリー…ビタミンA・C・E、ビタミンB1・B2・B6、葉酸、食物繊維
トウモロコシ…食物繊維、オリゴ糖、糖質、
ゴーヤ…ビタミンC(ゴーヤのビタミンCは熱に強い)
水菜…鉄、カルシウム、ビタミンA、ビタミンB1・B2・B6、葉酸、ビタミンC
ピーマン…ビタミンC(ピーマンのビタミンCは熱に強い)
赤ピーマン…ビタミンA・C・E、葉酸、
豆苗…ビタミンA・C・E、ビタミンB1・B2・B6、葉酸

(※上記リストは、トウモロコシとゴーヤ以外はすべて緑黄色野菜)

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管理栄養士が実践する野菜の食べ方【レシピ付き】

管理栄養士が実践する野菜の食べ方【レシピ付き】
Yusuke Ide//Getty Images

最後に、忙しい日々に取り入れやすい簡単レシピを5つご紹介。

<なすとエリンギのごまポン酢和え>
材料…なす1本、エリンギ2本、ネギ(小口切)少々、ポン酢・ごま油各小さじ2(お好みで)
作り方…なすはヘタをとって、縦4等分、エリンギも縦4等分に切る。耐熱皿になす、エリンギを盛り、上にネギをのせ、ラップをして電子レンジ(600w)で1分半~2分、加熱する。水気をきり、ごま油とポン酢をかけて、サッと混ぜる。
※抗酸化作用のあるナスニン(ポリフェノールの一種で、なすの皮の色素成分、抗酸化作用)と、野菜には含まれないビタミンDが豊富なエリンギの組み合わせ。ビタミンDは油と一緒に摂ると吸収力UP。ポリフェノールは水溶性のため、レンジ蒸しがおすすめ。

<千切りキャベツとチーズのサラダ>

材料…千切りキャベツ70g、さけるチーズ1本(50g)、オリーブオイル・酢各大さじ1、食塩小さじ1/5
作り方…さけるチーズを割き、半分の長さに切る。キャベツ、チーズ、オリーブオイルを和え、酢・塩を加えて和える。お好みで、こしょうやカレー粉をかけると、味にアクセントが出る。
※キャベツに含まれるビタミンUには、胃腸の粘膜を正常に整え、消化を助ける働きがあるため、夏の疲れた胃腸に優しい成分。キャベツにはビタミンCも含まれるが、ビタミンCもビタミンUも水溶性のため、水にさらさないようにする。キャベツを切るときは、サッと洗ってから切るようにするとよい。不足しているカルシウムが豊富なチーズと一緒に。

<ほうれん草の練りごま和え>

材料…ゆでたほうれん草70g、練りごま・ポン酢各小さじ2
作り方…練りごまとポン酢を混ぜ合わせ、水気を絞ったほうれん草に加えて和える。
※ほうれん草に豊富な鉄は、吸収が悪いため、ビタミンCや酸味のある物と一緒に摂ると吸収が良くなる。ポン酢で酸味を加える。
※ほうれん草は冷凍ほうれん草でもOK。

<ピーマンのレンジ蒸し>

材料…ピーマン2個、鰹節少々、しょうゆ少々
作り方…ピーマンのヘタを取り、縦2等分に切る。皿に乗せ、電子レンジで1~1分半加熱する。鰹節としょうゆをかける。
※ピーマンの種は、食べることができる。

<もずく酢トマト>
材料…もずく酢1カップ、ミニトマト2個(トマトの代わりに、きゅうりや千切りキャベツ等、お好みの野菜でOK)
作り方…もずく酢に、4等分に切ったミニトマトを加える。
※もずく酢をドレッシングのように活用する。

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お話を聞いたのは管理栄養士 篠原絵里佳さん

お話を聞いたのは管理栄養士 篠原絵里佳さん

Profile●日本抗加齢医学会認定指導士、睡眠改善インストラクター、上級睡眠健康指導士、野菜ソムリエプロ。総合病院、腎臓・内科クリニックを経て独立。長年���臨床経験から、体の中から健康に美しくなる生活習慣を見出し、わかりやすく発信することを得意とする。また、働く女性の健康支援に注力し、フィーカレディースクリニックにて、栄養相談・睡眠相談を担当。ericashinohara.com

From: Harper's BAZAAR JP
Headshot of Noriko Saeki
Noriko Saeki
Content Hub General Manager

 男女雇用機会均等法施行の年に新卒で、婦人画報社に入社。婦人画報編集部ではカルチャー担当、わら半紙の原稿用紙に鉛筆で記事を書く時代を経て、アシェット婦人画報社となりエル・オンラインに異動。ビューティ&ウエルネスやグルメを担当、日中はカメラ片手に取材・撮影し、帰社後PCで記事を書きつつHTML言語を打ち込みWEBページを制作。ハースト婦人画報社では、婦人画報デジタルを担当しながら、当社メディアに配信するWEBやビデオコンテンツのチームマネージャーとなる。エディター歴37年、そういえば仕事が趣味かも。
 

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