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優等生から問題児へ──トミー ヒルフィガーのタフでハードな新プレッピースタイル。【22-23年AW NYコレ速報】

トミー ヒルフィガー(TOMMY HILFIGER)が3年ぶりにニューヨーク・ファッションウィークに復帰。20世紀のアメリカを代表するアーティスト、アンディ・ウォーホルの伝説的なスタジオ「ファクトリー」をインスピレーション源に、ニューヨークのスピリットと反骨心に溢れた2022-23年秋冬コレクション「Tommy Factory」を発表した。
Photo: Daniele Oberrauch / Gorunway.com

ファッションウィークは雨天でも決行する──9月11日(現地時間)、それをはっきりと証明して見せたのが、スカイライン・ドライブイン・ニューヨークで「See Now, Buy Now(今見て、すぐ買う)」形式の2022-23年秋冬コレクションを発表したトミー ヒルフィガー(TOMMY HILFIGER)だ。霧に覆われたショー会場では、ビニールポンチョに身を包んだ観客たちの前でモデルたちが力強くランウェイを闊歩した。一種の演出かとさえ思わせたこの天候は、今シーズンのヒルフィガーのムードを投影したハードなプレッピースタイルと見事にマッチ。クラスの“優等生”から“問題児”への大胆なシフトを見せた。

インパクト大の超ビッグシルエット。

Photo: Daniele Oberrauch / Gorunway.com
Photo: Daniele Oberrauch / Gorunway.com
Photo: Daniele Oberrauch / Gorunway.com

ショーはセンセーショナルなオーバーサイズのアイテムで幕開け。ひざ下まであるロング丈のラガーシャツ、ビッグサイズのバーシティジャケットやバギーチノパンツ、何重にも巻けるほどのスカーフなど、圧倒的なボリューム感がコレクションを決定づけた。

Photo: Daniele Oberrauch / Gorunway.com
Photo: Daniele Oberrauch / Gorunway.com

モノグラムのジャンプスーツを纏ったプラスサイズモデルのプレシャス・リーはムチを華麗に操り、クラウンに高さを出したテンガロンハット、ハーネスを身につけたカウボーイ風のルックが続いて登場。タフな反骨心に満ちたムードを際立たせた。

リチャード・クインとの最新コラボアイテムも。

Photo: Daniele Oberrauch / Gorunway.com
Photo: Daniele Oberrauch / Gorunway.com

80を超えるルックの中には、最近発表されたリチャード クイン(RICHARD QUINN)とのコラボレーションアイテムも。挑発的なスパイクがあしらわれたレザージャケットやブーツ、プレイフルなプリントで彩られたボリューミーなパファーコートなど、圧巻のステートメントピースが次々と展開された。

多様性を極めたキャスティング。

Photo: Daniele Oberrauch / Gorunway.com
Photo: Daniele Oberrauch / Gorunway.com
Photo: Daniele Oberrauch / Gorunway.com

この壮大な演出が目立ったショーで特記すべきは、これまで以上に多様なキャスティングだ。ケイト・モスの娘であるライラ・モス、アクティビストのクアンナ・チェイシングホース、ウィニー・ハーロウパロマ・エルセッサージュリア・フォックスなど、年齢、人種、ジェンダー、体型といった垣根を超えた個性溢れるモデルたちが登場し、エネルギッシュなニューヨークの有り様を映し出した。Netflixドキュメンタリー映画『ホワイト・ホット:アバクロンビー&フィッチの盛衰』(2022)でも取り上げられたように、かつてプレッピーが高貴で排他的なファッションとされてきたなら、ヒルフィガーが打ち出したのは今日にふさわしいインクルーシブなスタイルだ。

Photo: Lexie Moreland/Getty Images

フロントローを飾った多彩なゲストたちにも注目を。ショーン・メンデスケイト・モスコートニー・カーダシアントラヴィス・バーカー、クリス・ジェンナー、コーリー・ギャンブル、さらにはEGOT受賞者(エミー賞グラミー賞アカデミー賞トニー賞のアメリカ4大エンターテイメント賞制覇)のジョン・レジェンドの姿も。

ブランドの真骨頂はフィナーレに。

Photo: Giovanni Giannoni/Getty Images

ショーのフィナーレでは、トラヴィス・バーカーが観客席からステージへ。コートを脱ぎ捨て、ニューヨークの街並みをバックにドラムの生演奏を披露。ドラムを叩くたびに勢いよく水しぶきが上がり、その臨場感溢れる会場の様子はすべてライブ配信された。所々に取り入れられたメタバースファッションも今すぐ購入できるかもしれないといった期待を届け、これが新時代におけるトミー ヒルフィガーだと言わんばかりの堂々たるパフォーマンスとなった。