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質感&カット別。前髪スタイリング術をハリウッドのプロ5人がレクチャー

ロングにショート、カーテンにマイクロ。さまざまなタイプがある前髪は、スタイリング術も髪の質感やカットによって変わってくる。それぞれに合ったベストなアレンジ方法とは?セレブ御用達の人気ヘアスタイリスト5人が解説する。

前髪のスタイリングは、10分あれば完了する

Photo: Franziska Krug/Getty Images

大きなイメージチェンジを図りたいときほど前髪をつくりたくなるが、自分に似合うカットを見つけるのと同じくらい重要なのがそのスタイリング術。「メンテナンスが気がかりな人が多いですが、実際は朝10分くらいで済みます。スタイリングさえすれば、大丈夫です」と主張するのは、ダコタ・ジョンソンのアイコニックなカーテンバングを手がけたヘア・アーティストのマーク・タウンゼント。たしかにブルジット・バルドー風の前髪やボリュームのあるコークスクリューヘアは手がかかるが、そのほかのタイプは、最小限のケアで魅力を最大限に生かせると今回話を聞いたプロの全員が口を揃えて言う。

「前髪はカットの印象をガラリと変え、自分の新たな一面を引き出してくれます」と今年、フランソワーズ・ハーディにインスパイアされたサイドバングをアン・ハサウェイに施した、ヘアスタイリストのマーラ・ロザックは話す。「手軽なイメージチェンジのようで、その人の全体的なスタイルを大きく変えられるんです」

また、最近ではアマンドラ・ステンバーグの超ブラントカットのバングスをつくったことで知られるヘア・アーティストのヴァーノン・フランソワにとって、前髪は無限の可能性があるカットだ。「大胆で主張のある、ドラマティックなものからヘアスタイル全体をさりげなく、ロマンティックなルックに格上げしてくれるものまで、とても万能な髪型なんです」

そして、その豊富なデザインと同じくらいアレンジ術も千差万別。ローラ・ハリアーカーリー・クロスをはじめとしたセレブをクライアントに持つヘアスタイリストのレーシー・レッドウェイは、長さ、質感、カーリーにするかストレートにするかなど、さまざまな要因でアレンジの仕方は変わってくると言う。

「私はいつも、自分の髪を好きなようにスタイリングすることを勧めていますが、メンテナンスがかかる形もあるので、自分の髪質やライフスタイルに一番合ったカットやスタイルを決めるために、スタイリストに相談することをおすすめします」とジェニファー・ロペスも担当するヘアスタイリスト、アンドリュー・フィッツシモンズは加えた。

あらゆるタイプの前髪をつくってきた5人。その豊富な知見に基づき、ドライヤーの使い方から使用すべき製品まで、とっておきのスタイリングヒントを教えてくれた。

ストレートヘアはドライヤーを駆使して

Photo: Marc Piasecki/Getty Images

どんな前髪でもベタつき感は避けたいものだが、ストレートヘアの人は特に注意が必要。「顔にかかっている前髪は肌や髪の自然な油分でペタンとしてしまうので、ヘアプロダクトの使用は避けるのがベストです」とロザックは説明。その代わり、乾かし方を工夫しながら、髪を少し濡らした状態でスタイリングすることがポイントだそう。

タウンゼントによると、平らなブラシを使いながら髪を真っ直ぐ下にブローし、9割乾いたところでラウンドブラシを縦に持って全体を上にハネさせると、しっかりしたボリュームが出るとのこと。逆にあえてざらついた毛束感がある仕上がりを目指している人は、手ぐしだけでざっと乾かすのがコツだとロザック。そして、軽く汗をかいた後など、ベタつきが少し気になるときにはドライシャンプーを吹きかけると、ふんわり感が復活するので手軽だとフランソワは言う。

ウェービーヘアは自然な毛流れを生かして

Photo: Getty Images

「長めのウェーブがかった前髪は、自然乾燥するだけで髪本来の自然な質感を強調する、エフォートレスなルックになります」と話すフランソワは、S字型のウェーブを維持するために主にヘアミストをプライマーやリフレッシャーとして使用する。

同じくタウンゼントもウェーブヘアのクライアントには髪の自然な動きと流れを保つためには、ごく軽くスプレーを吹きかけることと手ぐしでとかすことを勧めている。そして、彼が推すもうひとつのアレンジは70年代風カーテンバング。横持ちしたラウンドブラシかヒートブラシで、前髪を外に向けてさっと流すことで簡単にできるスタイリングだ。

また、一定の形のウェーブに整えたい場合は、スプレーボトルと平らなクリップが活躍するとロザックは伝授。「スプレーボトルで水を数回吹きかけた後、根元が平らになるようにクリップをひとつ、前髪の始まる位置に付けます。そこから好きな方向に髪をうねらせて、最後に毛先をふたつのクリップで留めて、形を定着させます」

カーリーヘアはアレンジを最小限に

Photo: Frazer Harrison/Getty Images

原則として、カールはあまり手を加えない方が崩れないとフランソワ。そのため、乾かすときもドライヤーではなくTシャツやタオルを使うこと。そして、ボリュームを出して、カールの輪郭をはっきりとさせたいときにはヘアディフューザーを低い風温に設定して使用することが理想だ。

タウンゼントのように、ディフューザーを毛束ごとに当てていくと、根元から立ち上がる強いカールが実現する。また、ロザック曰く、指先で毛束を一筋ずつ間隔をあけるようにセットしていくと、カールを強調したボリュームのある前髪になる。

自然乾燥する場合は全体の8割が乾いてから、毛束を少しずつねじっていくのがカーリーバングのポイント。完全に乾いたら指先でセラムを付け、毛束を離していくようにセットすれば、最小限のアレンジでナチュラルな前髪に。

ロングバングはローラーでエアリー感を

Photo: Dominique Charriau/Getty Images

長めの前髪をふんわりと立ち上げるためにレッドウェイがおすすめするのが、ヘアローラーと、ボリュームと弾むような動きをつくり出してくれるムース。使い方としてはまず濡れた髪にムースをつけ、前髪と同じ幅のラウンドブラシを使って全体をとかしながら乾かし、ヘアローラーをセットする。後はローラーを外して、柔らかなホールド力のヘアスプレーでキープすれば、ロングでもエアリーな雰囲気のバングスが完成する。

さらにフィッツシモンズは、カーテンバングのようなルックのつくり方をシェアしてくれた。「前髪の中間あたりからヘアアイロンを使って角度をつければ、カーテンバング特有の顔を縁取る感じになります」

ショートバングは簡単にブラッシング

Photo: Mireya Acierto/Getty Images

短めの前髪は濡れている状態の方が扱いやすいため、乾ききる前にセットすることがコツだとフィッツシモンズは話す。アレンジ方法は至ってシンプルで、スタイリングスプレーを吹きつけ、乾いたら額にかかるようにつくりたい形にブラッシングするだけ。ブロー後にヘアアイロンで毛先を内側に巻けば、動きも出るとのこと。レッドウェイはというと、平らなブラシでそのままストレートに下ろしておくスタイルも推している。

カーテンバングにはレイヤードカットがベスト

Photo: Robin L Marshall/Getty Images

カーテンバングはボリュームがあればあるほどいいと言うフィッツシモンズは、乾いた髪にホットローラーを使ってスタイリングすることをおすすめしている。髪をセンター分けにし、顔の両サイドを縁取るようにローラーを巻いて、30分ほど置いておくだけでセットが完了するローメンテナンスなスタイルだ。

また、ドライヤーを使用したい人は、ローラーの代わりに髪を巻き付けられる大きめのラウンドブラシを使い、角度がついたらヘアスプレーで全体をキープすると、ベストな仕上がりになるとレッドウェイは説明する。「最後に手ぐしで毛先をほぐせば、ドレープされたカーテンのような印象になります。顔周りにレイヤーが入ったカットが、このタイプの前髪に一番向いています」

ブラントバングは乾ききる前にセット

Photo: Steve Granitz/Getty Images

フィッツシモンズによると、切りっぱなしのバングスをスタイリングするベストな方法は、髪をタオルドライしたらすぐに下向きにブローして形をキープすること。さらにバレルブラシを使ってブローするとボリューム感もアップする。また、レッドウェイのようにヘアアイロンを使って仕上げると、よりなめらかでシルクのようなつややかな輝きが生まれる。

伸ばしかけの前髪は、形をキープすることを優先に

Photo: Gareth Cattermole/Getty Images

前髪を伸ばしていると一層悩ましくなるスタイリング。中途半端な長さになることが多いこのときは、完全に伸びきるまで、顔にかからないアレンジを見つけることをフィッツシモンズもレッドウェイも勧めている。

「スタイリング法を探すというより、今の前髪を維持する方が大事ですね。長くなり過ぎたらセンターで分けて、サイドに流してピンで留める。さらに伸びたらカーテンバングやレイヤードカットなど、違うカットにしてしまうのも手です」とフィッツシモンズ。またはレッドウェイが提案するように、伸ばしかけの前髪を三つ編みにして、顔にかからないようにするアレンジ術も、ひと捻りあってイメージが変わる。

Text: Lauren Valenti, Audrey Noble Adaptation: Anzu Kawano
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