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俳優ティモシー・シャラメが「ブルー ドゥ シャネル」のアンバサダーに就任! NYで独占インタビューを決行

俳優のティモシー・シャラメシャネル(CHANEL)のメンズフレグランス、「ブルー ドゥ シャネル」のアンバサダーに就任。『デューン 砂の惑星 PART2』や『ウォンカ』、さらにはボブ・ディランの伝記映画に出演と、今年も快進撃を続ける彼にニューヨークで話を訊いた。

ティモシー・シャラメ、「ブルー ドゥ シャネル」の新しい顔に

Photo: Mario Sorrenti / Courtesy of Chanel

小雨が降るニューヨークの春の朝、俳優のティモシー・シャラメナイキNIKETシャツ、ワークパンツクレイグ・グリーンCRAIG GREENのスニーカーという全身黒ずくめの格好で現れた。ブラックレザーのアームチェアに腰かける彼を目の前に、私の視線は思わず彼の美しいカーリーヘアに奪われてしまった。「そのスタイルを作るための秘訣は?」と質問すると、「僕の髪型について聞いてきたのは、あなたが初めて」と困惑を見せる。「秘訣? そんなものはないですよ。朝起きて、あとはもう時の運」。そして彼は私の次の質問を察すると、その髪は父親譲りであることを教えてくれた。

彼の髪はフランス人の父親から受け継がれたものだとすれば、その嗅覚はアメリカ人の祖母から譲りうけたものだ。「祖母が姉に『シャネル N°5』をプレゼントしたときのことを覚えています。確か誕生日に。小さなシャネルのお財布も持っていました」。彼が育ったヘルズキッチンのアパートで95歳まで過ごした祖母について、こう追想する。「本当の意味で、エレガントな女性でした。決して見栄を張るわけではなく、真の気品を携えた人」

彼女は間違いなく、今日彼が身に着けている「ブルー ドゥ シャネル」を高く評価しただろう。シャラメは手首を顔に近づけ、サンダルウッドのアロマを感じ取ると、「控えめで繊細でありながらも、主張があるところが好き」と言い放った。「香水はたまにしか纏いません。僕にとって、香りはその瞬間を演出するためのものです」

マーティン・スコセッシ監督によるショートムービーも

Photo: Mario Sorrenti / Courtesy of Chanel

5月15日(現地時間)、シャラメはシャネル(CHANEL)の「ブルー ドゥ シャネル」の新しい顔として、初の晴れ舞台を迎える。ミッドタウンにあるフォトスタジオの雰囲気は比較的穏やかだが、このキャンペーンへの注目度はすでに高まっている。2004年にバズ・ラーマンが「シャネル N°5」でニコール・キッドマンを撮影して以来、これほどまでに期待されるキャンペーンはなかったのではないだろうか。キッドマンがそうであったように、シャラメはハリウッドとファッション界の双方を夢中にさせることができる稀有な才能の持ち主だ。さらに、彼はシャネルから指名を受けた数少ない男性の一人でもある。

「ハイファッションにあまり興味のない友人もいますが、ニューヨークでマーティン・スコセッシとキャンペーン用の短編映画を撮ると言うと、みんな耳をそばだてるんです」と語るシャラメは、ボブ・ディランとツアーをともにした著名ギタリスト、ロビー・ロバートソンを通じて初めてスコセッシに会ったそうだ。そしてこの映画界の巨匠について、次のように述べた。「彼は映画作りに命をかけています。Zoomで会話をしたときも、かなり熱くなっていました。彼にとって(映画作りは)、終わりのない仕事なのです」

2023年も止まらない快進撃

このところ、長期間にわたって映画撮影が続いていたシャラメ。11月には超大作『デューン 砂の惑星 PART2』、12月には『パディントン』(2014)で知られるポール・キング監督による『ウォンカ』の公開を控えている。後者で多くの人に愛されるショコラティエを演じた彼は、「若い世代向けの作品に携われて、本当に嬉しかった」と話す。「いつも悪いニュースであふれていて、政治的な混乱が続く今、この作品がチョコレートのようにほっと心落ち着けるものになればと思っています」

待望のボブ・ディランの伝記映画はこの夏、ここニューヨークで撮影が始まり、シャラメは役のためにすべての楽曲をレコーディングするそうだ。「もう長い間、ずっと準備してきました」と彼はため息をこぼす。現在はボイスコーチのもと日々練習に励んでいるそうで、彼曰く、学生時代からボイストレーニングのために体を鍛えてきたという。「ニューヨークの公立校以外の人が知っているとは思えないけど、2013年のラガーディア高校のキャバレー公演はYouTubeで見られるんですよ」と誇らしげに教えてくれたが、動画をよく見ると、彼はかなりのダンサーであることもわかる。「ニューヨークタイムズの評論家、ベン・ブラントレーがとてもいいことを書いてくれたのを覚えているので、自慢しておきます」

10代の頃、シャラメはブロードウェイで買い物をすることが多かったが、それはダウンタウンから離れた場所だった。今は閉店してしまったイギリスのハイストリートブランド、トップショップTOPSHOPが好きだったという。「ウィメンズがよかったんですよ。成長期の体にちょうどよかったから」。そして、彼のスタイルは年齢を重ねるごとに進化し続けている。レッドカーペットでは、昨年のヴェネツィア国際映画祭で着用したハイダー アッカーマン(HAIDER ACKERMANN)による真っ赤なバックレスのホルターネックトップやパールのチョーカーのほか、彼が一番のお気に入りに挙げる2021年のメットガラでの白のスウェットパンツとタキシードジャケットを組み合わせたルックなどを披露してきた。

美しいカーリーヘアの仕掛け人?

Photo: Mario Sorrenti / Courtesy of Chanel

この秋のプレスツアーに彼は何を着るのか? それはもうシャネルだと想像つくだろう。「1年半ほど前に、クレイグ・グリーンとクレイジーなフィッティングをしたんです。彼は一種の天才だから、あとはいつ着るかの問題」とシャラメ。ニューヨークでの撮影中に新しい服を買う時間はほとんどないが、Vogue Runwayのアプリをスクロールして気になる服をスクリーンショットするつもりだという。彼にはスタイリストがいないそうで、いたとしても秘密だという。そのことについて問い詰めると、彼は口をつぐんでしまった。

シャラメが撮影に呼び出されたため、取材を終えようとしていたところだった。「ジェイミーが僕の髪の秘密を全部知っていて......」と彼が話し出すと、私はすかさず「ジェイミーって誰?」と尋ねる。「みんな知っている人ですよ」と彼は不敵な笑みを浮かべた。この6年間、彼のヘアスタイリストを務めてきたジェイミー・テイラーについて、私はこの世で一番知らない人間かもしれない。私たちは、彼女のその優れた技術を一言で表すことはできないと同意する。すると彼は声をひそめ、こんなエピソードを明かした。「ジェイ・Z主催のあるパーティーでチャニング・テイタムを見かけたんです。彼は僕よりずっと長くジェイミーと仕事をしているので、お礼を言ったんです。だけど彼は、『いやいや、大丈夫。彼女を横取りしたわけじゃないんだから、心配しないで!』って。そしたら、ある人が......誰とは言いませんが、『本当にヘアスタイリストのことを話しているの?』と聞いてきて」と彼は言う。「『ああ、(ゴシップになると)大変だ』と思ったんですよ」

Text: Chioma Nnadi Adaptation: Motoko Fujita
From VOGUE.COM