BEAUTY / TRENDS

モードなあの子も“ミニマルネイル”! 旬なムードをプロの目線で解説

今シーズン、90年代のトレンドの盛り上がりを受けて、ワンカラーやベーシックなフレンチなどシンプルでミニマルなデザインがトレンドイン。より洗練されたムードを爪先に宿す方法をプロが伝授。

ワンカラー&ロングスクエアが今の気分

アクネストゥディオス(ACNE STUDIOS)2024年春夏コレクションより。Photo: Getty Images

昨年からのビッグウェーブ、「Y2K」を経てネイルトレンドに変化の兆しが。マイアミを拠点に活動するEtsuko Shimataniさんは、今のムードをこう読み解く。「アメリカにいて肌で感じるのは、“テイラー・スウィフトブーム”です。角に丸みをもたせたスクエアオフのシェイプに、シアーなミルキーピンクやホワイトなどの、淡めな色味によるシンプルなワンカラー。ギターを弾く彼女らしく、短めに仕上げるのもポイントですね。そんな彼女のファンである〝スウィフティーズ〞やほかのアーティストたちが真似をして、シンプルなデザインが人気になっています」。日本における傾向について、東京ネイルサロンオーナーMANAMIさんに聞いてみると「以前よりもシンプルなデザインが増えましたね。ピンクベージュやベージュといった、少々コンサバに転びやすい色味を、ファッション感度の高いお客様に提案することがあります。ベーシックなデザインに、質感や輝きなど、ちょっとした変化をつけるイメージ。先端が極細のフレンチにしたり、一本だけミラーネイルにするなど質感を変化させることが多いですね」。実際、SNS上でもやや懐かしさのあるフレンチネイルや、キラキラのストーン&クリスタルが復活の兆しを見せている。ただし、フレンチのディテールやキラキラの配置などを、微妙に今っぽく変化させるのがポイント。ベーシックを新たな解釈で楽しむのが旬のようだ。

エルメス(HERMÈS)2024年春夏コレクションより。Photo: Getty Images

目線をランウェイに向けてみると、彼女たちのリアルな分析とリンクする。「コレクションでは90年代風のミニマルな提案が見られ、ネイルはミラー系やシルバーヌーディな色味など、かなりシンプル。その分、シェイプにこだわっている印象がありました。少し長めだったり、スクエアにすることでモード感を出していますね」(MANAMIさん)。数々のショーやキャンペーンを手掛けるShimataniさんもこう語る。「デザイナーのこだわりの強さによって変わりますが、基本的にはシンプルだけど、ファッション要素の高いベーシックカラーの単色使いが多い印象です。むしろ、カラーを使わず、素爪をバッフィングしてナチュラルに輝かせるだけといった、究極にミニマルなネイルを求められることも。形のトレンドは、変化をつける場合はロングスクエアが人気です」

ミュグレー(MUGLER)2024年春夏コレクションより。Photo: Getty Images

季節柄、ペディキュアとのコーディネートも気になるところ。「アメリカでは、ハンドとフットは同色をチョイスして、シンプルなワンカラーで気分に合わせて頻繁にチェンジする人が多いですね。そもそもネイル文化が根付いているので、子どものときからサロンに通う方もいるなど、日本よりもハードルが低く、凝ったデザインを長く楽しむというよりは、単色でしょっちゅう変えて手軽に楽しむ傾向が」(Shimataniさん)。「フットについては、ハンドと無理にリンクさせる必要はなく、自分自身が楽しめる色を、と常々提案しています。トレンドはハンドの傾向と似ていて、シンプルで全体の統一感があるデザインが多いですね。指ごとに異なる柄にするというよりは、ある程度揃えたほうが今っぽさが出ます。特にミラーやストーンのポイント使いはオーダーが多数。ストーンの場合は、爪の端ギリギリに置くなど、配置でもモード感を出すひと工夫をしています(MANAMIさん)。デコラティブなネイルをひととおり体験した今、この春夏はミニマルなデザインが気分。ファッションにしっくりと〝なじむ〞カラーで、モダンなルックを楽しんでみたい。

話を聞いたのは……

ETSUKO SHIMATANI
嶋谷悦子。ネイルアーティスト。2010年に渡米。NYでさまざまな雑誌や広告、ファッションウィークやアワードに参加し、セレブリティのネイルも担当。2022年からは、マイアミに拠点を移して活動中。インスタグラムは「@nailsbyetsuko」。

MANAMI
マナミ。東京・恵比寿のサロン「Latte.」「Lowaly」のオーナー兼ネイリスト。アート心あふれる作風で、モード誌や映画、ドラマ、CM等で活躍。画家の一面もあり、多岐にわたって活躍する姿はインスタグラムでチェック。「@_man_ami_」。

Text: Kiriko Sano Editor: Risa Yamaguchi

※『VOGUE JAPAN』2024年5月号「日常とリンクする、シアーなネイル」転載記事。