バンタム級初防衛戦に臨む中谷潤人の評価は?|日本人ボクサー パウンドフォーパウンド トップ5【2024年TSN夏版】

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New champion, Junjin Nakatani, wins by KO in the WBO World Super Flyweight title match.
時事/JIJI Press

今年2月にWBC世界バンタム級王者に輝き、3階級制覇を果たした中谷潤人を筆頭に今、5月には『モンスター』井上尚弥が『悪童』ルイス・ネリを完全KOするなど、世界のボクシングシーンでもトップクラスを評価を受ける日本人ボクサーたち。本誌スポーティングニュースでは、日本勢に絞ったパウンド・フォー・パウンドも選出している。

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そのトップ5を専門誌『The Ring』(リングマガジン)出身で、アジアのボクシングシーンにも精通する本誌格闘技部門副編集長のトム・グレイが総括する。【2024年7月16日版】

■7.20両国、4団体統一への前哨戦に臨む中谷潤人

今年2月に3階級制覇を果たし、パウンド・フォー・パウンドのランキングでも高い評価を受ける中谷潤人が、7月20日(土)、東京・両国国技館でビンセント・アストロラビオ(フィリピン)を挑戦者に迎え、WBC世界バンタム級王座の初防衛戦に臨む。

このタイトルマッチは、田中恒成vsジョナタン・ロドリゲスのWBO世界スーパーフライ級タイトルマッチ、加納陸vsアンソニー・オラスクアガのWBO世界フライ級王座決定戦の3つの世界戦、さらには那須川天心vsジョナサン・ロドリゲスのバンタム級世界ランカー対決とともに、『Prime Video Presents Live Boxing 9』の一戦としてAmazonプライムビデオで独占ライブ配信される。

中谷(27勝0敗、20KO)は、試合を重ねるごとに進化を遂げ、今やボクシング界屈指のパンチャーとして恐れられている。2月にアレハンドロ・サンティアゴ(メキシコ)を6回TKOで葬った試合は彼の強さを象徴する試合であり、日本生まれのサウスポーはその勢いを緩めるつもりはない。

対するアストロラビオ (19勝4敗、14KO)は、中谷にとっては与し(くみし)易い相手に思われる。だが、その73%のKO率が示す通り、アストロラビオにはパンチ力があり、昨年8月にはナワポーン・ポーチョークチャイ(タイ)を11ラウンドTKOで下し、今回の挑戦権を勝ち取った。

そんな中谷を含め、日本のボクシングシーンは今、世界のボクシング界でも最もホットな戦場となっており、その注目度は増すばかりだ。ここでは、名門誌『The Ring』出身の本誌格闘技部門副編集長のトム・グレイが、日本の誇るPFPファイターTOP5を総括する。

🥊日本が誇るPFPファイター TOP5

第5位 重岡銀次朗(しげおか・ぎんじろう)

  • 年齢:24歳
  • 戦績:11勝0敗(9KO)
  • タイトル:現IBF世界ミニマム級王者

プロキャリアはまだ浅いながら、銀次朗はダニエル・バラダレスを5回TKOで下して早々にIBF世界ミニマム級王座を獲得、今年3月にはジェイク・アンパロ(フィリピン)を下して2度目の防衛を飾っている。

以前のランキングでは、兄・優大もともに5位タイにランクしていたが、優大は3月のWBCミニマム級世界王座の防衛戦でメルビン・ジェルサレムに敗れてタイトルを失ってしまったため、今回は単独でランクインとなった。

銀次朗は7月28日(日)、ペドロ・タドゥラン(フィリピン)を相手に3度目の防衛戦に臨む。

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Kenshiro Teraji
(Naoki Fukuda)

第4位 寺地拳四朗(てらじ・けんしろう)

  • 年齢:32歳
  • 戦績:23勝1敗(14KO)
  • タイトル:元WBA/WBC世界ライトフライ級王者、元『The Ring』誌ライトフライ級王者

ベイビーフェイス(童顔)の寺地はリングに上がった途端、恐ろしい悪魔に変貌する。プロ10戦目にしてWBC世界ライトフライ級王座を獲得してからというもの、『アメージング・ボーイ』はその階級のトップコンテンダーたちと戦うことで急速に成長。現在ではライトフライ級最強ファイターとしての地位を確立している。

2021年、矢吹正道を相手に10回TKO負けを喫し、デビュー以来の連勝はストップしてしまったものの、再戦では3回KOで矢吹に勝利。その実力への疑念を払拭するとともに、初黒星は相手のバッティングや新型コロナウィルス感染の影響が大きかったことを感じさせた。

直近の試合である1月のカルロス・カニサレス戦は、寺地のベストパフォーマンスには程遠かったが、それでもマジョリティ・デシジョンでの勝利を収めた。

7月17日、寺地はライトフライ級の4団体統一戦の実現の見込みが薄いことや、かねてからの減量苦もあるため、WBA/WBC世界ライトフライ級王座を返上。フライ級での2階級制覇と4団体統一を目指し、まずは空位のWBC世界フライ級王座を賭けてフランシスコ・ロドリゲスJr.(メキシコ)と対戦する見込みだ。

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第3位 井岡一翔(いおか・かずと)

  • 年齢:35歳
  • 戦績:31勝2敗1分(16KO)
  • タイトル:元WBA世界スーパーフライ級王者、元WBA/WBC世界ミニマム級王者、元WBA世界ライトフライ級王者、元WBA世界フライ級王者、元WBO世界スーパーフライ級王者

日本人の男子ボクサーとして、史上初の4階級制覇を果たした井岡だが、その偉業は終わりを告げることなく、今もまだ続いている。

35歳の井岡がこれまでに戦った世界戦は24試合、その中にはフェリックス・アルバラード(12回3-0判定)、ファン・カルロス・レベコ(12回2-0判定、11回TKO)、マックウィリアムズ・アローヨ(10回3-0判定)、アストン・パリクテ(10回TKO)、田中恒成(10回TKO)、そしてドニー・ニエテス(12回3-0判定)、ジョシュア・フランコ(12回3-0判定)といったトップクラスのボクサーたちの名前が並んでいる。

7月7日に行われたフェルナンド・マルティネス(アルゼンチン)とのWBA/IBF世界スーパーフライ級王座統一戦に判定で敗れて無冠となったが、井岡は現役続行の意思を見せている。

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第2位 中谷潤人(なかたに・じゅんと)

  • 年齢:26歳
  • 戦績:27勝0敗(20KO)
  • タイトル:現WBC世界バンタム級王者、元WBO世界スーパーフライ級王者、元WBO世界フライ級王者

中谷は、井上尚弥同様、鋭いパンチと優れたボクシングIQを兼ね備えたパワーヒッターだ。加えて、172cmという軽量級では大きなサイズ、サウスポーというアドバンテージも持ち合わせる。

スーパーフライ級に転向する前、中谷はフライ級で2度のタイトル防衛に成功している。そして階級を上げるとともにパワーを増すと、昨年5月にはアンドリュー・モロニー(オーストラリア)に見事なノックアウト・パンチで仕留め、空位だったWBO世界スーパーフライ級の王座を獲得した。

今年2月にはアレハンドロ・サンティアゴを6回TKOで下し、3階級制覇を果たした中谷は、7月20日(土)、ビンセント・アストロラビオを迎え、WBC世界バンタム級王座の初防衛戦に臨む。

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第1位 井上尚弥(いのうえ・なおや)

  • 年齢:31歳
  • 戦績:27勝0敗(24KO)
  • タイトル:現スーパーバンタム級世界主要4団体統一王者、元WBC世界ライトフライ級王者、元世界WBOスーパーフライ級王者、元バンタム級世界主要4団体統一王者

井上が現在、日本人だけでなく総合的なPFPランキングにおいて最高のファイターのひとりであることに異論をはさむ余地はないだろう。井上の座を脅かすのは、井上に先んじて男子初の2階級4団体統一を達成した、ウェルター級4団体統一王者のテレンス・クロフォードくらいだ。現スーパーバンタム級4団体統一王者の『モンスター』は傑出したスピード、パワー、完璧なテクニックを兼ね備える。

2023年、スティーブン・フルトン、マーロン・タパレス相手にKO勝ちを収め、スーパーバンタム級では50年ぶりとなるアンディスピューテッド・チャンピオンとなった。さらに今年5月、ルイス・ネリ(メキシコ)を6回TKOで下した『モンスター』の勢いは止まるところを知らない。

2024年中にスーパーバンタム級でもう2試合(9月と12月)を行うことを示唆している井上の次の標的は当初、IBF&WBO世界ランク1位のサム・グッドマン(オーストラリア)と目されていたが、グッドマンが撤退。9月3日、有明アリーナで元IBF世界スーパーバンタム級王者のテレンス・ジョン・ドヘニー(アイルランド)と対戦することが決まった。


※本記事は国際版記事を翻訳し、日本向けに編集した記事となる。翻訳・編集:石山修二、編集:スポーティングニュース日本版編集部 神宮泰暁

著者
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Tom Gray is a deputy editor covering Combat Sports at The Sporting News.

神宮泰暁 Yasuaki Shingu Photo

日本編集部所属。ボクシング・格闘技担当編集者。

石山修二 Shuji Ishiyama Photo

スポーティングニュース日本版アシスタントエディター