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Photographed by 長嶺輝明

献立を決めるのが本当に苦手、という声をよく聞きます。旬の食材や冷蔵庫の残りものを手がかりにするのは王道ですが、たまには実験のようなワクワク感を優先してみませんか?

いつものマッシュポテトも、料理研究家の若山曜子さんの手にかかれば“めちゃ旨”に変身! 食材の「色」をヒントに新しいおいしさを引き出す、プロのアイディアをご紹介します。

“白い食材”でマッシュポテトが大変身

「カリフラワーとじゃがいも、チーズのサラダ」(本書92ページより)


人気料理研究家の若山曜子さんが、いつも「どうやって料理を考えているのか」を29の言葉で紡いだ本 『おいしいルール Easy & Enjoy Cooking』( ディスカヴァー・トゥエンティワン)。筆者はマッシュポテトが大好きなのですが、この本に出てくる「カリフラワーとじゃがいも、チーズのサラダ」は、ちょっとびっくりするおいしさでした。

味の決め手は、じゃがいも、カリフラワー、ブリーチーズと、“白い食材”を3つ組み合わせていること。

作り方は簡単で、柔らかく蒸し煮にしたじゃがいもとカリフラワーを好みの加減につぶして、生クリームでなめらかにし、塩とナツメグで調味。仕上げにブリ―チーズをちぎってのせるだけです。

最初は意外な取り合わせだと思っていましたが、口に入れるとふわふわのマッシュポテト、ポテトと一体化したカリフラワー、とろけたチーズのハーモニーが絶妙

カリフラワーが入ることで、じゃがいもだけのマッシュポテトよりも全体があっさりと軽やかになり、「どうしてこんなにおいしいの?」と驚きつつもうれしくなってしまう味わいなのです。

フランスで教わった、色と味の不思議な関係

「にんじんとドライマンゴーのキャロットラペ」(本書93ページより)


収穫される季節や土地が同じものは味が合うとは、よく聞く話ですが、
“色が似ている食材は不思議と合う”ということを教わったのは、フランスでお菓子を学んでいたときでした。
(『おいしいルール Easy & Enjoy Cooking』90ページより引用)

本書のなかで、若山さんはそう語っています。

“白”を集めた「じゃがいものサラダ」に対して、「にんじんとドライマンゴーのキャロットラペ」のテーマは“オレンジ”。コリアンダーで香りをつけたキャロットラペに、刻んだドライマンゴーが入っています。

キャロットラペは好きでよく作りますが、ドライマンゴーの投入は初の試み。作ってひと晩なじませると、ヨーグルトに入れたときのようにドライマンゴーに水気が戻り、プルプルの食感に……! シャキシャキしたにんじんとの相性が抜群でした。

若山さんによると、キャロットラペは定番の組み合わせであるレーズンだけでなく、柿などオレンジ色の果物や、柑橘類を加えても美味とのこと。

「おいしい! 中に何が入っているの?」と場が盛り上がるので、おもてなしにもぴったりですね。

“赤”の食材を合わせた「赤パプリカと生ハム」(本書96ページより)


“色のトーン”という視点で食材を見つめ、いつもと違う新しい組み合わせを楽しむ。まるで実験のような料理には、「ワクワクと発見が詰まっている」と若山さん。

冷蔵庫を開けて、あの色とあの色の野菜を組み合わせて……。献立を決めるのがつらいと感じたときは、パレットに絵の具を出すような気分で、シンプルに素材を合わせたひと品を作ってみようと思います。

おいしいルール Easy & Enjoy Cooking

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