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10年という月日が経つと、いま住んでいる部屋も、立場や環境も大きく変わってきます。ただ、たとえ環境が変わっても「これだけはずっと持っていたい」というモノが、ひとつはある……。

そこで、さまざまなジャンルで活躍する方々に「10年後も手放さない」思い入れのあるモノを、31×34.5cmという限りのある『ROOMIE BOX』の中に詰め込んでもらいました。

なぜ、「10年後も持っている」と考えるのか―――。大切に持ち続けるモノについて語る姿から、その人の暮らしが徐々に見えてきます。

漫画家 スケラッコ

名古屋生まれ、京都在住。多摩美術大学グラフィックデザイン学科を卒業し、2013年より漫画、イラストを発表しています。トーチwebにて『平太郎に怖いものはない』、ROOMIE・くらしのカレッジで『602号、木の見える部屋』をそれぞれ連載中。
https://www.sukeracko.com/

10年後も手放さないモノ

集めているスノードーム

スノードームを集めていて。でも、自分では買ってないんですよ。旅行にいく友人や家族に「スノードーム買ってきて」って頼んでるんです。家には他にも、パリ、タイ、インドのもの……全部で10個以上あると思います。

でも集めていると言ったわりには、少ないですね(笑)。

集め始めてから、もう10年くらいになるかな。中でもお気に入りのスノードームを今日は持ってきました。

スノードームは漫画の中で描いたこともあるんです。「部屋のなかに何を置こう?」って考えたときに、スノードームにしようって。

アメリカ土産のサンタクロースのスノードームは、すごく質が良いと思いません? 中の金箔がこんなにたくさん入っていて。なんだか贅沢な作りというか。しかも、サンタクロースが短パンを履いてるんですよ

メキシカンスカルのスノードームは、メキシコのお土産です。

ピクサーの『リメンバー・ミー』って映画を見てから、なんだか、メキシコっていいなぁと思っています。

夢のようなかたちをしたガラスの置物

ガラスの置物は最近買ったものなんですけど、ちょっと自慢したくて持ってきました。

大阪の「エッセンシャルストア」という期間限定でやっているショップで買ったものなんですよ。行くと、とても楽しい気持ちになるお店です。

(この作品自体が)夢のようじゃないですか? ガラス中にある、この変な風景が面白いんです。わけがわからないというか(笑)。

作家さんの作品だと思うんですけど、サインが読めないんですよね……。とても気に入っているので、いつも目に入る窓際のベストポジションに置いてあります

明治時代(?)のねこの置物

「好きそうだと思って」と家族が買ってきてくれたものです。民藝品がすきなんですよ。詳しくはないんですけどね。

これは、アンティークショップで売っていたそうで、明治時代のものだと聞いています。

三毛猫っていうところがいいですよね。

漫画やイラストを描くときに使うペンたち

ほかにもたくさんペンはあるんですけど、よく使う4本です。

ひとつはシャープペンシルで、0.7ミリで濃さは2B。以前は0.9ミリを使っていました。定期的にいろいろなペンを試してみるタイプですが、このバランスがいまはマイブームです。

ほんとによく使うので、持ち歩いているうちになくしちゃうかもしれません。でも、また同じものを買って使うと思います。

ピンクの軸についているのはGペンです。『平太郎に怖いものはない』という漫画で使っています。チタンだったかな? 「いいGペンなんだよ」って聞いたから使っているんですけど、違いはよくわかってません(笑)。

みどりの軸についているのは、『盆の国』という漫画でおもに使っていたサジペンです。掲載媒体が紙かWEBか、漫画の内容によってペンを使い分けています。

わたしの場合、線まではアナログで、そのあとデジタルで塗ったり仕上げたりしていますね。

この中でも一番使っているのは、この『筆ごこち』。いわゆる筆風サインペンなんですけど、なんでもコレ。

原稿はもちろん、名前を書いたりだとかも。

602号、木の見える部屋』でも使っていますよ。

「何度も読みたい」お気に入りの漫画

左から『百日紅』杉浦日向子と『大阪豆ゴハン』サラ・イイネス(現在はサライネス)

もうちょっと漫画を読んだほうがいいとは思っているんです。だけど、何を読んだらいいかわからないくらい漫画ってたくさんありますよね。そのかわり、好きな作品は何度も読むタイプ

百日紅』は名作だと言われ続けている作品ですが、読んだのはわりと最近です。なんというんでしょう……。

ちょっと怖いというか不思議なお話の中に日常があって。でも、語り口が淡々としていて、とてもかっこいいんです。「粋だな」と感じる作品です。

この作品は自分の仕事にも影響しているところがあると思います。筆で描かれていたり内容だったり。

大阪豆ゴハン』も友人に勧められたのが最初だったかな。関西弁の家族のお話で、ひとつのエピソードにつき、6ページくらいの短編。

大阪っぽいノリなのに、絵が日本人離れしていておしゃれなんです。「こういう人いるよね!」って思える漫画です。

漫画は二日酔いのとき、なにもしたくないときに読むことが多いですね。あとはお風呂でゆっくりしているときとか。勉強になることもたくさんありますけど、あまり「勉強」という気持ちでは読んでいません。

漫画家 スケラッコさんの10年後

10年後も変わらず漫画を描きつづけていたいです。

2013年から漫画を描いているんですけど、どうも忙しくはできない性格みたい。

ゆるやかに、今とあまり変わらず、漫画を描いていたいです。

Photographed by Yutaro Yamaguchi

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