ウォーレン・バフェット氏は、「成功する人は何が違うのか?」と尋ねられてこう答えています。
成功する人と、本当に成功する人の違いは、後者はほぼすべての事柄に対して「ノー」と言っていることです。
会議も、人との約束も、電話も、ほとんど断るのだそうです。
バフェット氏は言います。
周囲の人は、あなたの時間を欲しています。時間は唯一、お金で買えないものです。私は、欲しいものはたいてい何でも買えますが、時間は買えません。
バフェット氏の予定表が、電話や会議のスケジュールで埋まっていないのは、そのためなのです。もちろん、埋めようと思えば簡単に埋まります。
けれども、バフェット氏はそうしません。数週間分の予定表に書きこまれている予定は、ほんの数件だけです。
それは、なぜでしょうか。
予定表がどれだけ埋まっているかと成功は関係ない
Microsoftの創業者ビル・ゲイツ氏は、こう説明しています(なお同氏は、ほかの人の車のナンバーをよく覚えていることでも有名です)。
ウォーレンが予定表を見せてくれたときのことを覚えています。私の予定表は分刻みで埋まっていました。うまく仕事をこなすには、そうするしかないと思っていましたから。
(中略)ウォーレンは、自分の時間をとても慎重に使っています。(予定表に)何も書いていない日が何日もあるのです。(中略)
自分の時間は自分で管理すること、普通のCEOよりも、座って思考することにずっと重きを置くべきこと(を学びました)。
普通は、たくさんの要求が来ますし、人々に会って話をする必要があると感じがちなのですが(中略)。予定表を分刻みですべて埋めたからといって、仕事に真剣に取り組んでいるということにはならないのです。
予定表を埋めても、仕事に真剣に取り組んでいることにはならない。意欲があるということにもならないし、能力があるということにもならないのです。
スケジュールを埋めれば、成功が約束されるというわけでもありません。
「効率的な人」と「成果を出す人」
「効率的な人」は、手際よく仕事をする人。ToDoリストの項目を次々と片づけていき、プロジェクトを完了させます。そして、いろいろな仕事を成し遂げます。
「成果を出す人」も手際よく仕事をしますが、ToDoリストの中から適切な項目を見極めて片づけます。一方、成果を出す人は、適切なプロジェクトを見極めて完了させます。適切な仕事を見極め、それを成し遂げる人なのです。
成果を出す人は、会社にとって、そして自分自身にとって大きな効果を生む物事を実行し、アウトプットを出すことができます。
自分の意思で予定を立てる
そして何より重要なのは、彼らがほかの人の意向を自分の予定に反映させない点です。彼らは、自分の意志を自分の時間に反映させます。
達成したいことがあるのに、うまくいかなくて苦労しているなら、一歩下がってみましょう。
本当に重要なことに時間をかける
本当に重要なことを見極めるのです。結果をもたらす原動力となるものは何でしょうか。ほとんどの場合、結果をもたらす原動力となるのは、あなた自身です。
ですから、すべての会議や電話に自分が参加しなければ、と考えるのはやめましょう。
それは、あなたがリーダーであればなおさらです。なぜなら、あなたがそこにいなければ、チームの人たちは、より自由を感じて自律性が強まり、何より責任感が強くなるから。
そして彼らは、もっと創造力を発揮します。より良い判断をします(グループの中で自分が下っ端だと感じると、IQが下がるという研究結果があるのです)。
一方あなたは、もっと考える時間を増やすことができるように。素晴らしいアイデアを思いついたり、素晴らしい決定を下す時間ができるのです。
戦略や計画を立て、また素晴らしいアイデアを思いつき、素晴らしい決定をするのです。
ウィンウィンですね。
予定表は埋めるものではなく、できる限り空けておく
バフェット氏を見習い、カレンダーの空白は埋めなければならないものではなく、チャンスだと考えましょう。
今日から、何も考えずにただ予定表を埋めるのはやめましょう。
設定する約束一つひとつについてよく考え、賢く論理的に、意識的な決定をしましょう。各予定を決めるときは、特に長い目で見た場合に、何がもっとも成功をもたらすかを考えて決めてください。
すべての打ち合わせや約束は断れません(また、断るべきでもありません)。ただし、このことは忘れないでください。
予定がびっしり書き込まれたカレンダーは、成功を意味するものではないということです。
予定が詰まったカレンダーは、実際には、あなたが思い描いている、そしてあなたが手に入れてしかるべき成功から、あなたを遠ざけているのかもしれません。
——2021年3月4日の記事を編集のうえ、再掲しています。
訳:浅野美抄子/ガリレオ
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