アマゾンに買収されてから7年… ホールフーズは本当に安くなったのか、実際に比較してみた

筆者

実際に比較してみました。

Alex Bitter/BI

  • ホールフーズ(Whole Foods)の共同創業者ジョン・マッキー(John Mackey)氏は、ホールフーズはも���それほど高くないと語った。
  • ここ数年のホールフーズの変化は、アマゾンとジェフ・ベゾス氏のおかげだとマッキー氏は話している。
  • 筆者はホールフーズと他の食料品店で実際に買い物をして、比較してみた。

ホールフーズは長きにわたり、"食料品を買うには高い店"として知られてきた。

共同創業者のジョン・マッキー氏によると、もうそんなことはない。

アマゾンが2017年に買収して以来、同社は複数回にわたって値下げをしてきた。

これはホールフーズの"高価なイメージ"を狙ったようだ —— かつては「ホール・ペイチェック(whole paycheck:給料全部)」というニックネームが付けられていたほどだ。

「アマゾンが4回、価格を下げさせてくれた」とマッキー氏は6月、Fortuneのインタビューで語った。

「もはや『ホール・ペイチェック』という話はほとんど聞かなくなった。これはアマゾンのおかげだ」

マッキー氏は、"値下げ"はアマゾンのCEOだったジェフ・ベゾス氏の功績だと話した。ベゾス氏のことを「天才」と呼び、ホールフーズの競争力を高める長期的な戦略を自分は信じたと語った。

買収から7年が経ち、買い物客はホールフーズが自らを"お財布にやさしい店"に見せようとしている証拠を見つけることができる。店に入ると、値引き商品を示す黄色いタグや「セール」のサインをあちこちで見かける。

そして、ホールフーズは今年、牡蠣やロティサリーチキンなど、さらに多くの商品を値下げしたとCEOのジェイソン・ブエッチェル(Jason Buechel)氏はFortuneに語っている。

ホールフーズは本当にもう"高く"ないのか、筆者はワシントンD.C.郊外のバージニア州フェアファックスにホールフーズを訪れた。

その後、近くにあるセーフウェイ(Safeway) —— アルバートソンズ(Albertsons)が保有する食料品店 —— と価格を比べてみた。

買い物にはいくつかの条件をつけた。価格の"手頃さ"に注目したので、商品を選ぶ時は主に自社ブランドの商品を探した。また、両方の店で割引を受けるために、ポイント・プログラムを利用した。

牛乳といったよく購入される食料品の価格を比較しつつ、インゲンを添えたスパゲッティの材料を買うことにした。

その結果を紹介しよう。


まずはバージニア州フェアファックスのホールフーズに行ってみた

ホールフーズ

バージニア州フェアファックスにあるホールフーズ。

Alex Bitter/BI

筆者がこの店を訪ねたのは、月曜日のお昼頃だ。店は比較的すいていた。

値段は下がっても、ホールフーズの品質基準は相変わらず大半の食料品店よりも高い

看板

Alex Bitter/BI

ホールフーズには、食肉に対する動物福祉の要件から特定の人工的な原材料の禁止まで、さまざまな品質基準がある。

まずは青果コーナーで、スパゲッティ用のバジルをカゴに

バジル

Alex Bitter/BI

Amazonプライムの割引が適用されて、1.25オンス(約35グラム)のバジルが2.99ドル(約480円)だった。近くにあったインゲンは12オンス(約340グラム)で3.99ドル(約640円)だった。

次に、精肉コーナーで牛ひき肉をチェック

牛ひき肉

Alex Bitter/BI

一番安かったのは、1ポンド(約450グラム)6.99ドル(約1120円)のパック入りの牛ひき肉だった。

チーズも買った

チーズ

Alex Bitter/BI

パルメザンチーズは5オンス(約140グラム)入りで、4.49ドル(約720円)だった。

ホールフーズの自社ブランド商品の多くが、とても安くてびっくりした

スパゲッティ

Alex Bitter/BI

ホールフーズの自社ブランド商品の多くは、筆者が行ったことのある他のスーパーの自社ブランド商品に近い価格だった。例えば、このスパゲッティは1パック1.39ドル(約220円)だった。

また、ホールフーズは年内に自社ブランド商品に特化した小規模店舗をいくつかオープンする予定だ。

パスタソースも買った

パスタソース

Alex Bitter/BI

こちらのマリナーラソースは25オンス(約710グラム)入りで2.69ドル(約430円)だった。オレガノパウダーも2.29ドル(約370円)で買った。どちらもホールフーズの自社ブランド「365」の商品だ。

牛乳やパンといった基本的な食料品は、他の店に比べてやや高いように見えた

牛乳

Alex Bitter/BI

ホールフーズのこちらの牛乳は1ガロン(約3.8リットル)4.59ドル(約740円)で、筆者がワシントンD.C.でよく買い物をする食料品店より1ドルくらい高かった。

多くのスーパーは牛乳のような商品を「ロスリーダー」 —— 安く売る商品、あるいは損失を出す商品 —— として使い、客を引き付け、他の商品を買ってもらおうとしている。ホールフーズはおそらく、プライム会員であることを最大限活用したい客を頼りにしているのだろう。

ハワイのチョコレートといった特産品は、筆者が見た他のどの店よりも安かった

チョコレート

Alex Bitter/BI

こちらのマノア・チョコレートは1枚8.99ドル(約1450円)と、筆者が見た他のどこよりも圧倒的に安かった。ハワイでも通常、約12ドルで売られている。

他の特産品やオーガニック商品も同様に低価格だった。

ホールフーズでは、筆者のスパゲッティの材料は合計で20.62ドル(税込み)だった

筆者

場所によっては、買い物袋は無料。

Alex Bitter/BI

筆者は結局、7つの商品を購入した。牛ひき肉を買っていれば8商品、合計およそ28ドルだった。

次に、ホールフーズの店から5分ほどの場所にあるセーフウェイに向かった

筆者

セーフウェイはワシントンD.C.エリアにいくつも店舗がある。

Alex Bitter/BI

筆者がセーフウェイを選んだのは、ワシントンD.C.エリアではよく知られた中価格帯のチェーン店だからだ。筆者が行ったホールフーズの店から数分の場所にあることも決め手になった。

このチキンのポスターを見て、お買い得商品がありそうだなと感じた

ポスター

Alex Bitter/BI

筆者が店を訪れたのは月曜日だ。フライドチキンは自分の買い物リストにはなかったけれど、セーフウェイが食料インフレの影響を受けている買い物客を取り込もうとしているのは、注目に値すると思った。

バジルなど、ホールフーズと同じ値段の商品もたくさんあった

バジル

Alex Bitter/BI

セーフウェイで買ったバジルは、ホールフーズで買ったのと同じ値段、同じ量だったが、オーガニックのものは1ドル高かった。

その他の材料は、ホールフーズよりも安かった

インゲン

Alex Bitter/BI

インゲンはホールフーズよりも70セント(約110円)くらい安かった。

パスタソースも70セント安かった。

牛ひき肉はホールフーズと同じ値段だった

牛ひき肉

Alex Bitter/BI

セーフウェイの90%赤身の牛ひき肉は1ポンドあたり6.99ドルで、ホールフーズで見たのと同じ値段だった。ただ、セーフウェイでは1ポンド入りのパックは見かけなかったので、この1.5ポンド入りのパックを買って、もう少しお金を払わなければならなさそうだ。

パルメザンチーズはセーフウェイの方が安かったけれど、それはセールだったからだ

チーズ

Alex Bitter/BI

1ドル引きにしてもらうためには、セーフウェイのメンバーズカードを使わなければならなかった。

牛乳はホールフーズより20セントしか安くなかった

牛乳

Alex Bitter/BI

セーフウェイでは、基本的な食料品はホールフーズと同じような値段のものから、かなり安いものまで、いろいろだった。

セール品はホールフーズより安そうだ

桃

Alex Bitter/BI

アメリカの中部大西洋沿岸地域では桃のシーズンなので、どちらの店でも安く買えるのではないかと期待していた。

デジタルクーポンを使うと、セーフウェイではオーガニックでない桃は1ポンドあたり99セント(約160円)だった。ホールフーズの桃はオーガニックで、プライム会員だと1ポンドあたり3.49ドル(約560円)だった。

セーフウェイでは、筆者のスパゲッティの材料は21.10ドル(税込み)だった

カートの中身

セーフウェイで購入したのがこちら。

Alex Bitter/BI

そう、見間違いではない。結局、セーフウェイの方が48セント高かった。

このうち10セントはレジ袋(2枚)にかかった費用だ。ただ、ここまで僅差になるとは思ってもみなかった。

ホールフーズのほとんどの値引きは、プライム会員であることが条件だ —— プライム会員になるには、お金がかかる

ホールフーズの案内板

ホールフーズでは、多くのセール品に3つの価格が付けられていた。

Alex Bitter/BI

ホールフーズではAmazonプライムのアカウントを使って買い物をした。プライム会員は有料だ。セーフウェイでは「Safeway for U」のアカウントを使って、さまざまな割引を受けた。こちらは無料だ。

Amazonプライムのアカウントを手に入れるには、月額14.99ドルまたは年間139ドルを払わなければならない。補助的栄養支援プログラム(SNAP)や低所得者用の公的医療保険制度メディケイドといった、特定の政府からの援助を受けている場合は月額6.99ドルで利用できる。

買い物を主にホールフーズでしていたり、Amazonプライムのその他の特典を利用したりするのであれば、その追加コストは十分に元が取れるだろう。しかし、ほとんどの食料品店では、お得に買い物をするために有料会員になる必要はない。

Amazonプライムの値引きがなければ、ホールフーズでの買い物はセーフウェイよりもやや高くなっていただろう。ただ、その差は1ドルもない。

結果:ホールフーズは以前よりも安くなっている

ホールフーズ

Carlo Allegri/Reuters

Business Insiderが5年前に、よく購入されている食料品の価格を分析した時は、ホールフーズの方が明らかに高かった。ところが、今では多くの商品が他の一般的な食料品店と同じような価格になっているという事実は、アマゾン傘下で実施された値下げが違いを生んでいることを示している。たとえ一番安い価格で買うためにプライム会員という形で入会金を支払わなければならないとしても、だ。

ジョン・マッキー氏の言うことにも一理ある。

Popular

あわせて読みたい