リズ・ウィルコックス氏は「サバイバー」シーズン46の出場者でもある。
Courtesy of Liz Wilcox
リズ・ウィルコックス(Liz Wilcox)氏がTV番組の「サバイバー(Survivor)」に出演することが決まったとき、それは1カ月以上ビジネスから離れなければならないことを意味していた。
「ロサンゼルス国際空港に行くと、すぐにスマートフォンを没収されます」と、2024年初頭に初放送されたシーズン46に出演していたウィルコックス氏は語った。
5週間、スマートフォンもノートPCもなく、外部の世界とのつながりは一切ありませんでした。『もしもこの間にビジネスがダメになってしまったら、私の人生も終わってしまう。どうしよう』と思っていましたが、実際にはそんなことはありませんでした。ビジネスは順調そのものだったのです。丸5週間も仕事から離れることができたというのは、ビジネスオーナーとして本当に素晴らしいことだと感じます。
36歳のシングルマザーであるウィルコックス氏は、メー��マーケティングビジネスを運営している。
わかりやすく言えば、「私は企業や中小企業が、一般の人たちにメールを読んでもらうのを手伝っているのです」と、ウィルコックス氏はBusiness Insiderに語った。
「サバイバー」の撮影に出発する直前のウィルコックス氏と彼女の娘。
Courtesy of Liz Wilcox
ウィルコックス氏の主な収入源はサブスクリプションで、コーチングサービスで月額9ドル(約1440円、1ドル=160円換算)をユーザーに請求しているが、アフィリエイトマーケティング、ライブワークショップ、パートナーシップからも収入を得ている。彼女は平均して月に4万ドル(約640万円)を稼ぎ、ブラックフライデーセールがある11月など特に収益の大きくなる月には、収益は6桁ドル(十数万ドル)に達している。Business Insiderはウィルコックス氏のThriveCartのダッシュボードのスクリーンショットで、その月間売上を確認している。
ウィルコックス氏の収入形態は極めて受動的だ。2023年の「サバイバー」の撮影前後の3カ月間(完全にビジネスから離れていた5週間を含む)に彼女は9万9000ドル(約1584万円)を稼いだ。
2024年6月のBusiness Insiderのインタビュー時点で、ウィルコックス氏は「この30日間で10時間しか働いていない」と見積もっていた。しかし、ビジネスを立ち上げでこの状態にするには何年もの努力が必要だったのだ。
ここでは、ウィルコックス氏がこのような受動的な収入源を作り出した3つのステップを紹介しよう。
1. 自分の専門知識を中心にビジネスを構築する
教育リーダーシップの修士の学位を持つウィルコックス氏は、教師としてキャリアをスタートした。そして2016年に彼女はブロガーに転向し、RV(キャンピングカー)旅行のブログを始めることになる。そのとき彼女は、自分には多くの人にメールを読ませる才能があることに気づいたのだ。
私は、自分はメールマーケティングが得意なことはわかっており、メールマーケティングで収入の大部分を稼いでいました。
彼女はメーリングリストを作り、アフィリエイトリンクを組み込んだり、電子書籍などのデジタル製品を販売したりして収益を上げていた。
そこで、そのやり方を他の人に教えるビジネスを始めたのです。
登録者向けのコンテンツやテンプレートを作成するには事前の作業が必要だったが、ウィルコックス氏はその分野の専門家だったことでそのプロセスが加速した。また、プロセスそのものを楽しんでいたこともプラスになったと付け加えた。
私はメールマーケティングが大好きです。これはいつも言っているのですが、私ほどメールに情熱を傾けている人は他にはいないでしょう。
2. サブスクリプションモデルの構築への努力を惜しまない
定期的な収入を生み出すことができるメンバーシップ、またはサブスクリプションモデルは「受動的な収入へのチケット」だとウィルコックス氏は言う。コースやコンテンツの作成には初期段階で多大な労力が必要だが、いったん完成すれば、理論的にはデジタル製品を配布して一生お金を稼ぎ続けることができると言える。
そして他の同じようなビジネスとの差別化を図るため、ウィルコックス氏はターゲットを初心者に絞り、価格を大幅に低く設定したのだった。
ウィルコックス氏はパンデミックの最中にメールマーケティング事業を始めた。
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2021年にサービスを開始した際、「新型コロナウイルス感染症のパンデミックの期間で、オンラインビジネスが本当に急成長した」とウィルコックス氏は話す。その結果、彼女の専門知識に対する需要も急増し、「10または20のモジュール、22時間のコンテンツなど、高額で大規模なオンラインコースが多数」生まれたのだった。
そしてウィルコックス氏はその逆を行くことにした。
私は『毎週これだけのコンテンツしか提供しません。これ以外は何も必要ありません。料金はたった9ドルです』としたのです。
ウィルコックス氏のサブスクリプションには、ニュースレターのテンプレート、ライブQ&A、トレーニングのライブラリなどが含まれている。月ごとのQ&Aを含めて彼女が提供するコンテンツのほとんどはすでに作成されており、必要なのは定期的なメンテナンスのみとなっている。
ウィルコックス氏の低価格モデルと、「一口サイズ」のコンテンツを提供する戦略も、彼女のビジネスの受動性に貢献している。
「いま、受動的な収入は非常に話題になっていますが、多くの場合はコンテンツも料金もどんどん増えていきます。多くの人は『このコンテンツを追加して料金を上げよう。このコンテンツも追加して料金を上げよう』となっていきます。でも私は、決して料金を上げることはしたくないのです」とウィルコックス氏は話す。
私のビジネスは非常に責任の少ないタイプのサブスクリプションビジネスなので、受動的であることに適しているのです。
3. 現在だけでなく、未来もビジネスが利益をもたらす選択を
能動的収入から受動的収入への移行には時間と集中力が必要であり、ウィルコックス氏は長期的な視点でこの課題に取り組んだ。
「私はこの点を非常に意図的に行いました。このメールマーケティングビジネスを始めた当初は、他の人のメールの代筆もしていましたが、そうしたクライアントの仕事から離れるために一生懸命努力して、登録者数を増やしていきました」とウィルコックス氏は話す。
そして戦略の1つは、ポッドキャストに参加するなどの「エバーグリーン・マーケティング」を行うことだったとウィルコックスは語った。
ポッドキャストは永遠に残ります。録音したのは今日だとしても、1年後に誰かが聞いて、登録してくれるかもしれません。
ウィルコックス氏によれば、それは時には短期的な収入を犠牲にすることを意味するという。
ある人が私に5000ドルの仕事をオファーしたとします。『今すぐ必要なのはこの5000ドルなんだから、ポッドキャストは後回しにしよう』と言うのは簡単だったでしょう。でも、私には、数年後にポッドキャストが5000ドル以上の価値になることはわかっていたのです。
そして受動的な収入を得ることは、決して一夜にして起こるものではない。
「上手くいくまでは、決して諦めないでください」とウィルコックス氏は言う。
ほとんどの人は本気でイライラして、「ああ、全然上手くいかない。1年経っても登録者が10人しかいないじゃないか」と考えがちです。
こうした人たちは、来年に登録者数を100人にするにはどうしたらいいかを考えるのではなく、「何か別のものを作ろう」という考えに至ってしまうのです。しかし本当に重要なのは、忍耐と努力を惜しまないことなのです。