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最近の政治も企業もお上品すぎて闘争心が足りない

 クライアントさんから相談される内容で、以前は「ネットで変な風評を立てられる」とか「抱えているサービスのアンチが増えて困っている」などの話が多く出ていて、これらはたいていネット上でのクレーマー対応をいかがするかとか、炎上対策で何をするかとかそういう話になりやすかったんですよ。

 同じような話として、政治家や政党が、過去にやらかした黒歴史をネガティブキャンペーンで張られて困っているという話が出てきます。やられている当事者からすると、確かに反省しなければならないこととはいえ、そのことだけが候補者の本質ではないのだから、もっと総合的に人柄や実績を見て欲しいって話になるわけですね。

 特に、特定の官公庁や大手企業がネット社会の中の基地外の皆さんから根拠なく罵声を浴びせられ、摩訶不思議な陰謀論の槍玉に挙げられることさえ増えてきています。そこまで悪いことはしていないのに、俺たちの生活がうまくいかないのはこういう悪しき組織がはびこっているからだ、と信じ込んでしまっているから、特に根拠は無くてもそうに違いないということで繰り返し罵声を流しているのでしょう。

 また、SNSの特性として同じような意見を持つ人が繋がって、ひとつのクラスターになってとんでもない群集心理と共にサイバーカスケードのような集団ヒステリーを起こしてしまうことさえもあります。かつては企業の広告ひとつをとっても過剰なポリコレになってみたり、言いがかり的なクレームをつけられたり、そういうことが起きるたび企業の側も広告を取り下げ謝罪に追い込まれる、なんてことも繰り返し発生しています。

 で、結論から言えば、その他大勢が絡んでくるようなネタに関しては、政治モノ以外は「3日無視すれば鎮火する」というのが最大のメソッドになってきます。彼らは文句をつけた先が譲歩したり、謝罪したりしてくることで溜飲を下げることが目的になっているため、相手から無視されると��り上げたこぶしの降ろす場所が無くなって無散するしかなくなっていくのです。

 逆に、政治ネタについてや大手企業・官僚組織に対する陰謀論については、文字通り粘着的に数カ月から数年ずっと同じネタを張り続ける陰謀論者的な基地外クラスターが相手になってきます。しかも、ごく少数ながらネットだけでなく突破してリアルにやってきて罵声を浴びせようとしてくるので、エレガントに対応しようとすると場が滅茶苦茶にされてしまう怖れさえもあるのです。こういうのは無視では効かないんですよね。

 また、反ワクチンもそうですが、クラスターが大きくなった陰謀論は、その主張が荒唐無稽でありすぎて、専門家がアホらしくなって反論しなくなると、次々と根拠をでっち上げたり間違った解釈をしたりして、取り返しがつかなくなるぐらいの大クラスターに化けてしまうことがあります。正直これはヤバいだろと思ったころには大人数でデモを打ったりネットで金儲け始めたり、それはもう酷いことになるのです。

 こういうのは、やはり、クラスターをきちんと特定してソーシャルグラフを作って適法に監視しなければならなくなります。いま、偽情報・ディスインフォメーションの対応分野で問題となるのはこれらの手法に対して有効なアプローチが官民ともにうまく構築できておらず、具体的な対処を行うためのノウハウがまだ溜まってきていないということに尽きます。

 何より、これらの陰謀論を信じる人たちは基本的に低学歴低所得であることは分かっているぶん、おそらくは失うもののない人たちが、暇すぎてせっせとSNSなどで良かれと思って偽情報を作成したり拡散したりしていることに問題があります。

 反ワクチン分野では、さすがに業を煮やした一部の医療関係者が片っ端から名誉棄損で訴えるという行動に出て一定の成果を上げていますが、それでもクラスター全体から見ればわかりやすい一部の人しかターゲットにできていない、というのが現実です。

 また、X(Twitter)やTikTokで出回っている動画に関しては特に、ほとんどガセネタをそのまま流してクラスターが拡散するメカニズムが完全に出来上がってしまっていて、これはさすがに止めないといけません。ただ、SNSというものは仕組み的に物事の善悪に関係なく関連する好まれるコンテンツを選んで掲示する傾向があるため、ダークパターンを超えてどんどん拡散してしまうことが対策を困難にしています。

 この場合、特に官憲はよく理解したうえでこれらのSNS事業者に対して「お前らのやっていることは社会的に害悪である」と言わなければならないのですが、そこまで踏み込んで対応することは日本ではなかなか不可能と言えます。アメリカやカナダ、欧州などでは教育委員会や自治体などがどしどしSNSの害悪に対して具体的な訴訟を起こしたりしていますが、日本の場合はそこまでやっていくのはまだ無理なのかなあといったところです。

 なので、やはり日本型の対処法を考えろと言う話になるわけですが、特定分野においては、やはりソリューションとして「ガセネタの巣になっている人のアカウントを理由つけてSNS事業者にBANさせる」ことが必須になってきます。言論の自由のことを考えると、官憲が「こいつアカンやんけ」と名指しで引っ張り出して民間事業者にBANさせるのはハードル高いというか不可能ですが、なんかうまい方法を考えないと世界的にも最もガセネタに脆弱な日本社会で陰謀論が大流通することになってしまいかねません。

 可能であるならば、当事者がどしどしガセネタを流す人たちを開示請求し、名誉棄損で訴え、法的に処置し続けることも大事なのですが、反ワクチンやクルド人問題のようなヘイトも含めて、おそらく上記手段と併用するしかないのではないかと思います。

 いわゆるガーシー法理のような飛び技をうまく考案して突っ込んでいけばいいんじゃないかとも思うのですが、それ以上に、この状況はネットで流通する言論の健全性を考えたときに根性というか闘争心の問題になるんじゃないかといつも感じます。クライアントに対しても「いや、悪質だからこれはさっさと訴えましょう」というと、逆恨みされたり、さらに炎上したら嫌だという反応になることは多くあります。でも、実際に訴えて本人開示してみたら、そもそもウチの客じゃなかったとか、第三者から聞いた話で本人に特に根拠となる何かがあったわけじゃなかったとか、不定愁訴で入退院を繰り返し仕事もおカネもない人物だったとか、まあだいたいそうい話になるわけですよ。

 こんなしょうもないやつらでも、クラスター全体で見ると2,000人、3,000人と巣になってお互いがお互いに陰謀論投げ合って思い込みを強化していることになりますから、そういうガセネタを流している中心人物をソーシャルグラフでちゃんと絞り込み、チャンネルやアカウントをBANすればかなりの部分が解決する面はあります。

 こういう迷惑な馬鹿の皆さんとの戦いに勝利するには、あるべき社会、必要な情報流通の敵であると同時に、憲法で認めた表現の自由との兼ね合いの中で、どこまで権利を尊重し、何を持ってガセネタだと判定し、どうやってネットから排除するかというアプローチを如何に熱意を持って取り組むかに尽きるんじゃないでしょうかね。

 画像はAIが考えた『馬鹿にも人権はあるけど、うっかり武器を持ってしまったときに対処がむつかしくなる一部始終』です。


神から「お前もそろそろnoteぐらい駄文練習用に使え使え使え使え使え」と言われた気がしたので、のろのろと再始動する感じのアカウント