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Stability AIが商用ライセンスを修正、最新モデル「SD3 Medium」が期待外れな品質だったことを認める

非商用利用/個人の商用利用は無料、改善アップデートも予定

Stability AIのリリースページ

 英Stability AIは7月5日(現地時間)、同社提供の画像生成モデル「Stable Diffusion 3」に関連していた商用ライセンスがコミュニティに混乱や懸念を引き起こしたことを認め、「Stability AIコミュニティライセンス」を修正。非商用利用は引き続き無料であること、年間収益が100万米ドルを超えない個人クリエイターや小規模事業者の商用利用は無料であることを明らかにした。モデル自体の品質に関する問題についても、今後改善バージョンをリリースする予定としている。



コミュニティライセンスの修正

 同社は、今回の新しい「Stability AIコミュニティライセンス」の下でリリースされたモデルは、以前のライセンスよりもはるかに広く無料で使用できるとアピールしている。ライセンスの主な修正点は下記の通り。ライセンスの更新が完了次第、FAQに詳細を追加・更新していくという。

  • 非商用利用は無料のまま
    Stability AIのモデルを自分のデバイスにインストール(直接またはそれを含む無料のオープンソースパッケージをインストール)して非商用利用を行なう人や組織は、引き続き無料で使用できる
  • 個人利用や小規模事業者向けの無料商用利用
    個人や小規模事業者が「Stability AIコミュニティライセンス」のもとでStability AIのモデルを使用して派生製品を作成する、または製品やサービスにモデルを統合する場合、年間収益が100万米ドル(または現地通貨相当額)を超えない限り無料
  • 少ない利用制限
    「Stability AIコミュニティライセンス」のもとで作成できるメディアファイルの数に制限はなし。同ライセンスが適用される場合、違法な活動やライセンスに明確に違反しない限り、たとえStability AIに支払いを行なわない場合でも、Stability AIは結果として生じる画像、ファインチューニングやその他の派生製品を削除するように要求することはない
  • 商用ユーザーのみ自己報告が必要
    Stability AIのモデルまたは派生製品を自社の商用製品やサービスに統合し、年間収益が100万米ドル未満の場合、Stability AIに支払いの必要はない。100万米ドルを超えた場合は、別途エンタープライズライセンスの取得が必要となる

「Stable Diffusion 3 Medium」モデル品質の向上

 2024年6月にリリースされた最新モデル「Stable Diffusion 3 Medium」について、リリース前の初期テストでは「SDXL」と比較して、プロンプトの適合性、多様性、詳細、全体的な品質の点で優れたベースモデルであることが示されていた。しかし、その後、コミュニティ内で主に体のポーズやトレーニングセットであまり見られない単語に関連する重大な品質問題が特定された。

 これに対して同社は「皆さまの高い期待に応えられなかったこと」を認め、同モデルは「まだ進行中の作業」と釈明した。今後数週間以内に大幅に改善されたバージョンをリリースする予定で、モデルの最適な使用方法やファインチューニング方法についての学びをコミュニティの他のメンバーと発見・共有していくとしている。