MFAの取り締まりがプレミアムパブリッシャーに不当な影響を与えるのではないかとの懸念が広がっているなか、アダリティクス(Adalytics)のレポートにより、Fobesが4月までバイサイドに知られることなく、意図的にMFAサブドメインを何年も運用していたことを指摘された。
この問題について米DIGIDAYに答えたエージェンシー幹部4人は、「フォーブスのサブドメイン(www3.forbes.com)に表示される広告にクライアントの予算がどれだけ使われたかを特定するには、まだ調査が必要で時期尚早だ」と言う。現時点での調査結果では、広告主1社あたりに占めるフォーブスのインプレッションの4〜5%、またはエージェンシーの全クライアントにおけるフォーブスからのインプレッションの25%が、サブドメインに関連付けられていることが明らかになっている。
しかし結局のところ、エージェンシーにとって、クライアントの予算のうちどの程度がサブドメインに費やされていたかは最大の懸念事項ではない。クライアントの広告が何年ものあいだ、効果測定企業、DSP、SSP、さらにはエージェンシー自体によっても検出されずにこのサブドメインに表示していたという事実こそ最大の脅威であり、ドメインなりすましを検出するための機能とレポート結果に大きなギャップが存在することを明らかにしている。
さらに懸念すべきこともある。この「習慣」がどの程度広まっているのか、誰にもわからないのだ。
プレミアムパブリッシャーがMFAサイトを運営するという矛盾
ウォール・ストリート・ジャーナル(以下WSJ)が最初に報じたアダリティクスのレポートによると、サブドメイン(www3.forbes.com)はメインのフォーブスドメインから記事を再投稿しており、その記事には通常の19倍以上の量の記事が読み込まれていたという。広告枠は記事ごとに通常7または8個であるのに対し、サブドメインの記事は150個だった。
このサブドメインは、ジャウンスメディア(Jounce Media)などの企業が作成したガイドラインに従うと、MFAサイトと見做せる特徴がみられる。しかし、エージェンシー幹部4人によると、本当の問題は「サブドメインの広告在庫を購入しているとは思ってもいなかったこと」だという。
匿名を条件に語ってくれたあるエージェンシー幹部は、同社がフォーブスから購入したインプレッションのうち15~25%はサブドメインからのもので、数千ドルに相当すると推計されている。「それ自体も問題だが、致命的なのはこの事態を見落としていたということ。つまり、問題はより根が深く、他を巻き込んで顕在化するかもしれないということだ」。
また、同じく匿名で語ってくれた別のエージェンシー幹部は、「私が見た入札データに基づくと、フォーブスの広告インプレッションの4〜5%がそのサブドメインから来ていたようだ」と指摘。一方、WSJの報告によると、フォーブスはインプレッションの1%がサブドメインに関連付けられていたと主張している。「我々が見たのは4〜5%という数字だ。実際には何が隠されているか、見当もつかない」。[続きを読む]
MFAの取り締まりがプレミアムパブリッシャーに不当な影響を与えるのではないかとの懸念が広がっているなか、アダリティクス(Adalytics)のレポートにより、Fobesが4月までバイサイドに知られることなく、意図的にMFAサブドメインを何年も運用していたことを指摘された。
この問題について米DIGIDAYの取材に答えたエージェンシー幹部4人は、「フォーブスのサブドメイン(www3.forbes.com)に表示される広告にクライアントの予算がどれだけ使われたかを特定するには、まだ調査が必要で、時期尚早だ」と言う。現時点での調査結果では、広告主1社あたりに占めるフォーブスのインプレッションの4〜5%、またはエージェンシーの全クライアントにおけるフォーブスからのインプレッションの25%が、サブドメインに関連付けられていることが明らかになっている。
しかし結局のところ、エージェンシーにとって、クライアントの予算のうちどの程度がサブドメインに費やされていたかは最大の懸念事項ではない。クライアントの広告が何年ものあいだ、効果測定企業、DSP、SSP、さらにはエージェンシー自体によっても検出されずにこのサブドメインに表示していたという事実こそ最大の脅威であり、ドメインなりすましを検出するための機能とレポート結果に大きなギャップが存在することを明らかにしている。
Advertisement
さらに懸念すべきこともある。この「習慣」がどの程度広まっているのか、誰にもわからないのだ。
プレミアムパブリッシャーがMFAサイトを運営するという矛盾
ウォール・ストリート・ジャーナル(以下WSJ)が最初に報じたアダリティクスのレポートによると、サブドメイン(www3.forbes.com)はメインのフォーブスドメインから記事を再投稿しており、その記事には通常の19倍以上の量の記事が読み込まれていたという。広告枠は記事ごとに通常7または8個であるのに対し、サブドメインの記事は150個だった。
このサブドメインは、ジャウンスメディア(Jounce Media)などの企業が作成したガイドラインに従うと、MFAサイトと見做せる特徴がみられる。しかし、エージェンシー幹部4人によると、本当の問題は「サブドメインの広告在庫を購入しているとは思ってもいなかったこと」だという。
匿名を条件に語ってくれたあるエージェンシー幹部は、同社がフォーブスから購入したインプレッションのうち15~25%はサブドメインからのもので、数千ドルに相当すると推計されている。「それ自体も問題だが、致命的なのはこの事態を見落としていたということ。つまり、問題はより根が深く、他を巻き込んで顕在化するかもしれないということだ」。
また、同じく匿名で語ってくれた別のエージェンシー幹部は、「私が見た入札データに基づくと、フォーブスの広告インプレッションの4〜5%がそのサブドメインから来ていたようだ」と指摘。一方、WSJの報告によると、フォーブスはインプレッションの1%がサブドメインに関連付けられていたと主張している。「我々が見たのは4〜5%という数字だ。実際には何が隠されているか、見当もつかない」。
閉鎖されたサブドメイン
データソリューション企業のイービクイティ(ebiquity)で最高戦略責任者を務めるルーベン・シュルールズ氏は、「初期の調査結果ではフォーブスの在庫に費やされたイービクイティの顧客予算の20%がサブドメインに費やされていたことが示されたが、サブドメインである『www3』の在庫は入札ストリームで正確に把握できておらず、この見積もりには自信が持てない」と言う。
同氏は、「クライアントの経営幹部らもWSJの報道に注目しており、フォーブスのサブドメインにどれだけの資金が流れ込み、どこに使われていたのかを解明すべきだという危機意識が高まっている」と述べている。
「衝撃的だ。フォーブスがここまでやっているとは思わなかった」と匿名を条件に話した別のエージェンシー幹部は言った。
フォーブスは、「このサブドメインは、アダリティクスのレポートが暗示しているような広告アービトラージに使用することを意図したものではない」と主張しており、広報担当者によると、「アダリティクスの調査に基づいたWSJの記事は誤解を招くもので、従来のフォーブスサブドメインの範囲と運営目的を誤って伝えている。このサブドメインは、既存のForbes.comコンテンツを利用するための代替手段として開発され、非常に小規模なユーザーベースを代表するものだ」という。
フォーブスのサブドメインのページビューは、3月時点で約14万7000のみであり、メインドメインのページビューは約3700万だ。ただし、サブドメインへのトラフィックのほぼすべては、アウトブレイン(Outbrain)などのベンダーが提供するものも含め、ディスプレイ広告からのものだった。
フォーブスの広報担当者は、「我々はパートナーとの信頼関係を大切にしており、潜在的な混乱を排除するため、我々のビジネスの重要な部分ではなかったサブドメインを閉鎖した。顧客との1対1のつながりを重視しており、懸念に直接対処した」と付け加えている。
タイムアウト中のフォーブス
取材に答えてくれたエージェンシーの幹部らは全員、自分たちが期待しているものを正確に購入していると確信できるまでは、フォーブスの広告在庫の購入を一時停止するという。
グッドウェイ・グループのジェイ・フリードマンCEOは、「フォーブスを永久に閉鎖すべきだといった主張は、継続的な強力なジャーナリズム活動を支援する必要性に反することになる」と述べつつも、「長期的に見れば、このようなことをするパ��リッシャーはこれが最後ではないだろう」と懸念を示した。
同氏は、このようなサブドメインの存在を一部のベリフィケーションベンダーが検知・報告できていないことを考慮し、従来型のベンダー、つまりダブルベリファイ(DoubleVerify)やIASを使用しないことをクライアントに推奨するとしている。
一方、「今回の規模がどれくらいなのか、そしてフォーブスはどのようにこれを是正するつもりなのかについて、さらなる情報が得られるまで、フォーブスの在庫を利用するつもりはない」と断言した。
市場には不信感が漂う
今回の事態は、ほかのプレミアムパブリッシャーに対するエージェンシー幹部の信頼感にも影響を与えている。
「同じ業界だからという理由ですべてのパブリッシャーを疑うというのは、あまりにも安易だ」と、2人目のエージェンシー幹部は語る。しかし、3人目の幹部は「市場への不信感が増しただけだ。プレミアムパブリッシャーを含むすべてのパブリッシャーに損害を与える」と述べた。なお、3人目の幹部はクライアントのためにオープンエクスチェンジでときどきフォーブスの在庫を購入していただけで、直接の関係はないという。
幹部らによると、最初の調査結果を見るかぎり、このサブドメインの事態は「金銭的な損失はさほどでもない」という。しかし、彼らのクライアントは、ニュースコンテンツに紐づいた広告枠を嫌っており、今回の件がその傾向に拍車をかけるのではないかと危惧している。
「私たちは(オープンエクスチェンジで)0.25ドルのCPMを追いかけたりしなった。なぜなら、プレミアムパブリッシャーの在庫には価格以上の価値があると考えていたからだ。しかし、パブリッシャーによるドメイン偽装が明らかになったいま、我々は安価なCPMを追いかけるべきかもしれない。それはパブリッシャーにとってよいことではないが」。
最大の問題は?
最大の問題は、これがベリフィケーション企業、DSP、SSPによって何年ものあいだ、どのように、そしてなぜ検出されなかったのかを解明することだ。こうした穴をどのように補修するかを考えることが重要になる。なお、2022年にガネット社で同じような事例が発生し、その穴はすでに明らかになっていた。
「広告主に対してフォーブスだけでなく、この問題を把握できなかったDSP、SSP、ベリフィケーション企業らも補償をおこなうべきだ」と最初のエージェンシー幹部は語る。
グッドウェイ・グループのジェイ・フリードマン氏は、「業界のさまざまな関係者にどの程度責任を負わせたいかという話なら、我々は責任を負いたいと考える企業とのみ協力するつもりだ」と述べた。また、イービクイティのシュルール氏はフォーブスに関して、「これがもたらすであろう『風評被害』に(フォーブスが)どのように対処するのか、より重要な問題が待ち構えている」と語った。
Kayleigh Barber(翻訳・編集:島田涼平)
平日午前9時、最新情報をまとめてお届け!
※登録ボタンをクリックすると規約に同意されたものとします