- メタはActivityPubプロトコルにThreadsを対応させるテストを開始した。Threadsを相互運用可能にすることで、異なるプラットフォームでの利用が可能になり、ユーザーに選択肢が広がるとされている。
- マーケターは、ソーシャルメディアのプレゼンスとブランドセーフティに慎重になりつつ、フェディバースにおけるThreadsの展開に注目している。
- 現状ではブランドはフェディバース内で広告を出せない可能性があるが、Threadsが参加することで、ブランドがデータやコミュニケーションを自ら所有する機会が増えるかもしれない。
公式発表だ。ついにメタ(Meta)は、マストドン(Mastodon)なども採用しているActivityPub(アクティビティパブ)にThreads(スレッズ)を対応させるテストを開始したと、同社CEOのマーク・ザッカーバーグ氏が12月13日に発表した。
当初のメタの発表どおり、マストドンなどのプラットフォームが採用するオープンソーシャルネットワーキングプロトコルとの互換性をThreadsに持たせる、という約束の実現に向けて、一歩踏み出したというわけだ。
「Threadsを相互運用可能にすることで、インタラクション方法の選択肢も広がり、より多くの人々にコンテンツが届くようになる」と、ザッカーバーグ氏はThreadsへの投稿のなかで述べた。また同氏は、「このことについてはかなり楽観視している」という。本記事のためにメタにコメントを求めたが、期限内に返答はなかった。
次世代インターネットになる可能性
同時にこれは、次世代インターネットになる可能性を秘めたフェディバースが、メインストリームに一歩近づいたことをも意味している。実現すれば、フェディバース上にある未開拓の新規コミュニティと、そこに文化的に適合したいブランド側とを橋渡しすることができる。
イーロン・マスク氏によるTwitter(現X)買収による混乱を考えれば、これはマーケターにとってますます重要になっている。
確認になるがActivityPubとは、フェディバースを利用するために設計されたプロトコルである。フェディバースは、コミュニティが所有する無広告の分散型ソーシャルネットワークの集まりだ(DIGIDAYの記事「フェディバースとは何か?」はこちら)。これまでのところ、タンブラー(Tumblr)、フリップボード(Flipboard)、メディウム(Medium)、モジラ(Mozilla)といったSNSがActivityPubを採用しており、今回メタもこれに連携することになった。
知っておくべきこと
- ザッカーバーグ氏は12月13日の発表のなかで、Threadsをヨーロッパ諸国に開放することに加えて、ActivityPubプロトコルを採用しているマストドンなどその他のSNSでもThreadsからの投稿を閲覧できるようにテストを開始すると述べた。
- メタは2023年7月、オープンな分散型ソーシャルネットワーキングプロトコルであるActivityPubと互換性のあるテキストベースの新しいソーシャルメディアプラットフォームを作ることを約束し、先の見えないXへの答えとしてThreadsをローンチした。今回の発表は、その約束に向けての一歩前進である。
- 2023年12月第2週目以降、マストドンなどActivityPubを採用しているプラットフォーム上でアカウントを持っている人ならば、インスタグラムの責任者であるアダム・モセリ氏とメタのチームメンバー数人をフォローできるようになる。このテストはまだ一般のThreadsユーザーには展開されていないようだ。
フェディバースにおけるThreads
メタのプレスブログによると、これはThreadsの開設以来、同社が少しずつ進めてきた計画だ。
2023年8月、Threadsはマストドンなど他社プラットフォームからThreadsプロフィールへのリンクを認証できる機能を展開し、わずかではあるがゴールに近づいた。この最新の動きにより、事実上、ThreadsユーザーはActivityPubを使用するほかのプラットフォームとのあいだでコンテンツを転送できるようになる。すべて計画通りに進めば、たとえばThreadsへの投稿が、理論上はマストドンでも表示されるようになる。
現状では、ソーシャルメディアプラットフォームは、それぞれが独立したゲーテッドコミュニティとなっている。つまりFacebookで起きたことはFacebook内にとどまり、Xで起きたことはXにとどまる、といった具合だ。主要ソーシャルメディアに限っていえば、最初に行動を起こし、コンテンツがプラットフォームからプラットフォームへと自由に流れる次世代ソーシャルメディアへの扉を切り開いたのは、メタだ。もちろんそれぞれのプラットフォームが完全に切り離されているわけではない。プラットフォーム間で共有できるコンテンツもある。
たとえばTikTokは、ユーザーがインスタグラムのストーリーズで動画を直接共有することを許可している。多くの場合、ユーザー自身が複数のプラットフォームをまたいで活動しており、TikTokをXでシェアしたり、Xの投稿をTikTokにシェアしたりしている。
ローンチ当初、Threadsは飛躍的な成長を遂げ、立ち上げから5日間で1億人を超えるユーザーを獲得した。その後、伸びは次第に衰え、2023年末の米国における月間アクティブユーザー数は2370万人との推測もある。もっとも12月第2週にモセリ氏が述べたところによれば、Threadsの月間アクティブユーザー数は1億人だという。それでもメタが参加することで、これまでニッチなオンラインコミュニティしかなかったフェディバースに、より多くの主要ソーシャルメディアユーザーが興味を寄せるようになるかもしれない。[続きを読む]
- メタはActivityPubプロトコルにThreadsを対応させるテストを開始した。Threadsを相互運用可能にすることで、異なるプラットフォームでの利用が可能になり、ユーザーに選択肢が広がるとされている。
- マーケターは、ソーシャルメディアのプレゼンスとブランドセーフティに慎重になりつつ、フェディバースにおけるThreadsの展開に注目している。
- 現状ではブランドはフェディバース内で広告を出せない可能性があるが、Threadsが参加することで、ブランドがデータやコミュニケーションを自ら所有する機会が増えるかもしれない。
公式発表だ。ついにメタ(Meta)は、マストドン(Mastodon)なども採用しているActivityPub(アクティビティパブ)にThreads(スレッズ)を対応させるテストを開始したと、同社CEOのマーク・ザッカーバーグ氏が12月13日に発表した。
当初のメタの発表どおり、マストドンなどのプラットフォームが採用するオープンソーシャルネットワーキングプロトコルとの互換性をThreadsに持たせる、という��束の実現に向けて、一歩踏み出したというわけだ。
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「Threadsを相互運用可能にすることで、インタラクション方法の選択肢も広がり、より多くの人々にコンテンツが届くようになる」と、ザッカーバーグ氏はThreadsへの投稿のなかで述べた。また同氏は、「このことについてはかなり楽観視している」という。本記事のためにメタにコメントを求めたが、期限内に返答はなかった。
次世代インターネットになる可能性
同時にこれは、次世代インターネットになる可能性を秘めたフェディバースが、メインストリームに一歩近づいたことをも意味している。実現すれば、フェディバース上にある未開拓の新規コミュニティと、そこに文化的に適合したいブランド側とを橋渡しすることができる。
イーロン・マスク氏によるTwitter(現X)買収による混乱を考えれば、これはマーケターにとってますます重要になっている。
確認になるがActivityPubとは、フェディバースを利用するために設計されたプロトコルである。フェディバースは、コミュニティが所有する無広告の分散型ソーシャルネットワークの集まりだ(DIGIDAYの記事「フェディバースとは何か?」はこちら)。これまでのところ、タンブラー(Tumblr)、フリップボード(Flipboard)、メディウム(Medium)、モジラ(Mozilla)といったSNSがActivityPubを採用しており、今回メタもこれに連携することになった。
知っておくべきこと
- ザッカーバーグ氏は12月13日の発表のなかで、Threadsをヨーロッパ諸国に開放することに加えて、ActivityPubプロトコルを採用しているマストドンなどその他のSNSでもThreadsからの投稿を閲覧できるようにテストを開始すると述べた。
- メタは2023年7月、オープンな分散型ソーシャルネットワーキングプロトコルであるActivityPubと互換性のあるテキストベースの新しいソーシャルメディアプラットフォームを作ることを約束し、先の見えないXへの答えとしてThreadsをローンチした。今回の発表は、その約束に向けての一歩前進である。
- 2023年12月第2週目以降、マストドンなどActivityPubを採用しているプラットフォーム上でアカウントを持っている人ならば、インスタグラムの責任者であるアダム・モセリ氏とメタのチームメンバー数人をフォローできるようになる。このテストはまだ一般のThreadsユーザーには展開されていないようだ。
フェディバースにおけるThreads
メタのプレスブログによると、これはThreadsの開設以来、同社が少しずつ進めてきた計画だ。
2023年8月、Threadsはマストドンなど他社プラットフォームからThreadsプロフィールへのリンクを認証できる機能を展開し、わずかではあるがゴールに近づいた。この最新の動きにより、事実上、ThreadsユーザーはActivityPubを使用するほかのプラットフォームとのあいだでコンテンツを転送できるようになる。すべて計画通りに進めば、たとえばThreadsへの投稿が、理論上はマストドンでも表示されるようになる。
現状では、ソーシャルメディアプラットフォームは、それぞれが独立したゲーテッドコミュニティとなっている。つまりFacebookで起きたことはFacebook内にとどまり、Xで起きたことはXにとどまる、といった具合だ。主要ソーシャルメディアに限っていえば、最初に行動を起こし、コンテンツがプラットフォームからプラットフォームへと自由に流れる次世代ソーシャルメディアへの扉を切り開いたのは、メタだ。もちろんそれぞれのプラットフォームが完全に切り離されているわけではない。プラットフォーム間で共有できるコンテンツもある。
たとえばTikTokは、ユーザーがインスタグラムのストーリーズで動画を直接共有することを許可している。多くの場合、ユーザー自身が複数のプラットフォームをまたいで活動しており、TikTokをXでシェアしたり、Xの投稿をTikTokにシェアしたりしている。
ローンチ当初、Threadsは飛躍的な成長を遂げ、立ち上げから5日間で1億人を超えるユーザーを獲得した。その後、伸びは次第に衰え、2023年末の米国における月間アクティブユーザー数は2370万人との推測もある。もっとも12月第2週にモセリ氏が述べたところによれば、Threadsの月間アクティブユーザー数は1億人だという。それでもメタが参加することで、これまでニッチなオンラインコミュニティしかなかったフェディバースに、より多くの主要ソーシャルメディアユーザーが興味を寄せるようになるかもしれない。
「Threadsを初めて使うときは、インスタグラムのプロフィールを使って新規作成すればいいので、実に簡単だ。フェディバース参入に際してあれほどの優位性を発揮できるプラットフォームは、ほかにないだろう」と、広告エージェンシーのグッドバイ・シルバースタイン&パートナーズ(Goodby, Silverstein and Partners)でクリエイティブテクノロジーとAI担当ディレクターを務めるマーティン・パーグ・ルドヴィグセン氏はDIGIDAYポッドキャストのなかで語っている。「フェディバースに存在するユーザープロフィールが大きければ大きいほど、そこにプラットフォームを開設したいと考えるブランドなどにとって魅力的な存在になっていく」。
始まりの小さな波
ザッカーバーグ氏自身は「かなり楽観視している」とはいうものの、ThreadsがActivityPubに対応するという発表はさまざまな反応を呼んだ。確かにメタの巨大インフラは、ActivityPubを採用しフェディバースに参加しているほかのソーシャルネットワークにとっても、ユーザー層の規模を拡大し人気を急上昇させるのに役立つだろう。だがフェディバースのユーザーは、Threadsの参入がより小規模なほかのネットワークの上に暗い影を落とし、約1100万人のユーザーを抱えるフェディバースに余剰な広告とありがたくない転換をもたらすのではないかと心配している。
「メタはフェディバースから収集できるあらゆるデータを、AIを使って処理し売り込みをかけるだろう」と、マストドンのユーザーであるマイケル・ビショップ氏は投稿のなかで述べている。「Threadsやそのほかのビッグテックとのインタラクションをすべてブロックするなんて、はたしてできるのだろうか?」。
2023年初めのブログ投稿のなかでメタは、名目上、同社がフェディバースを推進するのは「相互接続された多様なネットワークの新時代を切り開く先駆者になるためだ」と述べている。だが、ウォールドガーデンとしてのメタの実績をみると、データ収集に関わる透明性が欠如しており、相互接続というユートピア的アイデアは説得力に乏しいと受け止められる場合もあるだろう。
言い換えれば、これは最近のメタのプライバシー問題に対する対抗策だったのかもしれないと、インフルエンサーマーケティング・エージェンシーのビリオンダラー・ボーイ(Billion Dollar Boy)の共同創設者でグループのCEOであるエド・イースト氏はDIGIDAYの過去記事のなかで語っている。
「懐疑的な人ならば、これはメタが自社を『人々のため』のブランドとして再構築するための新たなPR戦略だというかもしれない」とイースト氏は言い、「だが私個人としては、賢いやり方かもしれないと思う。なぜならフェディバースの登場は、のちにWeb3の技術がクリエイターやソーシャルメディアにもたらす大きなうねりとなる、始まりの小さな波だからだ」と続けた。
次世代へとつながるミッシングリンクとしてのThreads
モセリ氏のThreadsへの投稿によれば、フェディバースにおけるメタの活動はまだ日が浅く、同社が当初想定していたよりも展開に時間がかかっているという。「これはごく小さな最初の第一歩に過ぎない。われわれにはもっとたくさんのやるべき仕事がある」と、同氏は投稿のなかで述べている。また、「安全性やコンプライアンスに関してやるべきこと、そして当社に向けられたあらゆる監視の目を考えると、この仕事には想定したよりも長い時間がかかる」と、説明した。
2024年には、ThreadsからActivityPubのほかのサーバーに投稿したり、リプライをそのまま表示したり、最終的にはThreadsからほかのプラットフォームのアカウントをフォローしたりする機能を追加する予定だという。メタがどうにかそれを実現し、そしてマーケターたちのフェディバースに対する理解が深まれば、Threadsは、フェディバースにあるスケーラブルな未開拓コミュニティとブランドとをつなぐミッシングリンクになれるかもしれない。
イーロン・マスク氏がTwitterを乗っ取ったときに起こった混乱を考慮して、マーケターたちはソーシャルメディアのプレゼンスとこれらのプラットフォームにおけるブランドセーフティについて、より慎重になっている。2023年11月に開催されたディールブック(DealBook)カンファレンスの際にマスク氏が広告主に対し中指を立てるような無礼な態度を示したのをうけて、IBM、Apple、ディズニー(Disney)などが、「広告費はほかに回す」と述べている。
理論上、ブランドはフェディバース内で広告を出すことはできないかもしれないが、サードパーティのプラットフォームに頼らずとも、データやコミュニケーションやコンテンツを自ら所有することはできる。何はともあれ、Threadsがフェディバースに参加すれば、インターネットの次なるフェーズにブランドを招き入れることになるだろう。
[原文:The Rundown: Threads finally takes a step toward the fediverse]
Kimeko McCoy(翻訳:SI Japan、編集:島田涼平)
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