6月10日〜12日にマイアミで開催された米Glossyのeコマースサミット(E-Commerce Summit)では、業界エグゼクティブらがeコマースのビジネスコストの上昇について議論を交わした。
あるブランド幹部はタウンホール形式ディスカッションにおいて、「D2Cの場合は配送コスト、物流コスト、人員コストと維持、買収など、挙げればきりがない」と吐露。ブランドはD2C部門が高い利益率を出すことに慣れており、それが卸売利益率の低下を補っていたが、イベント参加者らによるともはやこれは当てはまらなくなっているという。
また、別の幹部は同じディスカッションで次のように語った。「当社の初期、まだ新規で非常に未経験だったころに多くの小売店に参入したが、アプローチされて光栄だった。それから数年経ったいま、D2Cの配送と製造コストが上昇しているため、小売パートナーとの条件を再考すべきか迷っているところだ」。続きを読む
6月10日〜12日にマイアミで開催された米Glossyのeコマースサミット(E-Commerce Summit)では、業界エグゼクティブらがeコマースのビジネスコストの上昇について議論を交わした。
あるブランド幹部はタウンホール形式ディスカッションにおいて、「D2Cの場合は配送コスト、物流コスト、人員コストと維持、買収など、挙げればきりがない」と吐露。ブランドはD2C部門が高い利益率を出すことに慣れており、それが卸売利益率の低下を補っていたが、イベント参加者らによるともはやこれは当てはまらなくなっているという。
また、別の幹部は同じディスカッションで次のように語った。「当社の初期、まだ新規で非常に未経験だったころに多くの小売店に参入したが、アプローチされて光栄だった。それから数年経ったいま、D2Cの配送と製造コストが上昇しているため、小売パートナーとの条件を再考すべきか迷っているところだ」。
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eコマースの高いコストと卸売との比較
一方で、D2Cと比較して「卸売販売の利益率のほうが良い」と述べた企業もあった。ある幹部は「小売業は大規模になるほど利益が上がるが、少しずつ(の小売業の成長では)では利益を出すのは難しくなる」と語り、「オンラインは非常に費用がかかる。実際、当社は自社チャネルよりも卸売で大きな利益を出している。当社は規模を拡大しており、ターゲット(Target)全店で取り扱われているからだ」と話す。
小売チェーンのエスプリ(Esprit)でeコマーステクノロジーイノベーション担当グローバルエグゼクティブバイスプレジデントを務めるスコット・ラックス氏は、登壇した際、eコマースのコストの変遷を分析して、コストの上昇を「D2Cにおける最大の課題のひとつ」と表現し、次のように語った。
5年ほど前までは、D2Cは盛り上がっていた。eコマースチャネルで40%の既存店売上高を達成することは、私や同業者が期待していたことだった。それはコロナ前のことで、投資を受ける小規模ブランドの多くは成長の促進を狙っていた。当時、『資金がなければテクノロジーを拡張できないが、テクノロジーが窮地を救ってくれる。ランウェイとJカーブ成長につながる導火線に火をつけてくれる』という考えが主流だった。しかし、実際には、そのための技術コストが理にかなっているのは30~40%の成長を遂げている場合に限られた。コロナは多くのeコマース需要を推進したが、いまではそのツケが回ってきた感がある。多くのブランドは10%の既存店売上高で満足しなければならないだろう。そして、eコマースの既存店売上高が10%なら、それが40%だったときと同じ考え方で運営するのは難しい。なぜなら、同じ計算は当てはまらないからだ。
ラックス氏は、エスプリと提携する技術パートナーの数をスリム化して、eコマースのコストを抑えることに取り組んでいる。同氏は「D2C、B2B、インフラストラクチャーを統括しているが、ポートフォリオには35社ほどのテクノロジーパートナーがいる。それを15ほどまでに削減するのが私の目標だ」と述べ、「最新のテクノロジー企業がほかにあるのかを検討することが重要だ。まず、リテールやブランド向けに意図的に構築する方法を理解しており、加えてより低いコストと運用効率を提供してくれる企業を求めている」と言い添えた。
[原文:Brands are seeing better margins in wholesale than DTC]
Jill Manoff(翻訳:ぬえよしこ、編集:島田涼平)
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