上位の批判的レビュー
5つ星のうち3.0優しく誘う自己啓発本
2024年1月17日に日本でレビュー済み
やりたいことを見つけ、そのための行動を起こす方法を指南するビジネス書。本書では、頭の枷を外してなりたい状態を言語化する(ステップ1)、自分のキャラを設定して行動を変える(ステップ2)、設定したキャラに基づく行動リストを作る(ステップ3)、作った理想のキャラのように扱われる環境を作ることで人格を変えていく(ステップ4)、物語を転がすための行動計画を立てる(ステップ5)という5つのステップで、順に章立てで解説していく。
最後のステップ5ではさらに5つの実戦的な方法も紹介される。特に「アイデアを温めない」(大事にしすぎると実行したくなくなる)「判断と決断を区別する」という指摘は、あらゆる企画業務に当てはまること、また出来ているようで出来ていないマネジャーが多いという事実に気づく。
本書は「私はこうして成功した」「このようにすべき」という、著者のマウンティング的な主張ではなく、逆に読者を優しく誘うような論調が終始続く。このユルさは読者の好みが分かれるかもしれない。ちょっと仕事に行き詰まったり、自分探しをしたいと思う20、30代向けの自己啓発本といった感じだ。
個人的には、人の成功を能力や才能ではなく、時代などの環境による役割付与の側面を強調した箇所がなるほどと思った。また「小さいことを、誰よりもうまくやる」ことで実績と信頼を積み仲間を増やすという指摘も、地味ではあるが新しい環境に馴染む良い方法だ。これは異動や転職した時に是非意識したい。