2012年ユニバーサルの配給で公開されました。原題は「Safe House」、予算8千5百万㌦、収入2億8百万㌦だそうです。ジェイソン・ボーン風です。以下、あらすじです。 マット・ウェストン(R.レイノルズ)は、セーフハウス「7-R」の管理人を1年しています。大学病院(Groote Schuur Hospital)の研修医アンナ(N.アルネゼデール)と交際中で、彼女はパリの病院(Hôtel-Dieu)に就職が決まりました。このためバーロウ(B.グリーソン)にパリ勤務の希望を願い出ますが、空席待ちと言われます。やがて家主から「今夜、客が来る」と連絡があり、トビー・フロスト(D.ワシントン)が移送されてきます。以下、背景/トリビアを3点ほど補足します。 1.セーフハウスは治外法権(extraterritoriality)がないため、秘密(secure location)にするそうです。2010年に北欧で、在外公館警備を名目とするSDU(Surveillance Detection Units)の監視拠点が問題になったそうです。冒頭の市街(1’07”)は、テーブルマウンテン(Table Mountain)から見たケープタウンです。風が強いので、スタジアム(Cape Town Stadium)はエアロデザインです。沖合の島はロベン島(Robben Island)です。 2.キーファー(R.パトリック)以下6人は、リンクレイター(V.ファーミガ)の指示でヨハネスブルク(Johannesburg)から急行します。ケープタウンまで1,260kmです。一方、バーロウが副長官ウィットフォード(S.シェパード)に尋問許可を求めた時の「イエメン」(16’02”)は、実際はジブチ/ソマリア/ナイジェリアのいずれかのようです。(Area of responsibility / United States Africa Command) ヴァルガス(F.ファレス)たちは、南アフリカのPMC(Executive Outcomes, 1989~98)がモデルのようで、アサルトライフルは許可制です。(Licence to possess firearm for business purposes / Firearms regulation in South Africa) 閉所戦闘(Close-quarters combat)の暗闇、轟音、跳弾への対策は双方同��なので、キーファー側とヴァルガス側の損耗比は1.3:1になるそうです。少数の方がおよそ15分で全滅です。(Win by outnumber / Lanchester's laws) なお、被拘束者(high profile asset)を7-Rに収容する際の、周辺の安全確認と警戒は描かれていません。 3.移送リスクはフロストの出頭で予想されたはずですが、総領事館の警備統括官(Regional Security Officer: RSO)からフロストを引き取ることが優先されます。タオル拷問(Waterboarding)は、2009年に大統領令(Executive Order 13491)で禁止されたので、米国本土と在外公館を避けます。 偽造屋ヴィラ(R.ブラデス)の家は非白人の集住地区です。アパルトヘイト政策(Apartheid, 1946~94)の負の遺産だそうです。(Township (South Africa)) マイクロチップの情報は、2016年に明るみに出たパナマ文書(Panama Papers)と似た展開です。およそ21万5千人分の租税回避(Offshore financial centre)の明細が、マスコミに暴露されたそうです。