上位の批判的レビュー
5つ星のうち3.0タイトルと内容が違う印象があったが、まあ悪くない
2024年7月7日に日本でレビュー済み
タイトルだけだと、ビジネスをする人間にとって読書が人間の精神や行動にどういう影響を及ぼすのか、を考察する内容に思えてしまう。正確に内容だけを述べれば、日本の明治から現代にかけてのベストセラーの読書史というべき内容が大半。これはこれで読めたのだが、時代とベストセラーになった内容のリンクが頷くものがあった。書き方が大学の卒論や修士論文の様な雰囲気を持っている。
私としては、アンデシュ・ハンセン 「スマホ脳」とか、メアリアン・ウルフ「プルーストとイカ―読書は脳をどのように変えるのか?」といった脳科学的な追及の著書を読んでいたせいで、ちょっと的外れではあった。本書のタイトルを付けたのは恐らく集英社側の様な気がするので、これは上手く乗せられたなと思った。まあ内容は悪くはないのだが、騙された感が否めないので★2つ減らした。
読書というものが、実利の伴ったノウハウ本に需要を吸い取られ、働く者の休息すら奪い取ってしまう時代の流れに抗していくことは可能なのか、その為には生活哲学という大げさなものではないが、自らの行動を見つめ直す意味でも、やはり読書をすべきなのだろうと思う。
著者の言う様に、この本は「読書論」である。しかしタイトルで損をしている。私はマンガに関しては電子書籍に切り替えたが、学術書はやはり紙媒体以外は読めない。内容が頭に入ってこないし、思索しながら読んだり、マーキングとかしながらはやはり紙の有利さがあると思える。最後に言えば、ベストセラー史は興味があまりなく、教養を誇示する意味での「文学全集」とか「司馬遼太郎」については、全く興味が湧かないので、早く読めた割に、悪くないと思いつつ絶賛とまで思えなかった。