カスタマーレビュー

2024年7月6日に日本でレビュー済み
南米シューレアリズム文学の傑作と聞いていてた。いちど読んでみたかったので、文庫化を機会に手にとってみた。

いやー、まともに読めたものでは無い。これはななめ読みにするしかない。私も実際そうした。
起承転結が意図的に崩され、話がどんどん違う方向に進む。マコンドの街では、ブタのしっぽのある子供が生まれ、死んだはずの人間がそこら中歩きまわっている。現実と非現実の境目がない。
そして、その行間からただようのは、ラテンアメリカの強烈な土着性だ。南米の「臭い」がぷんぷんする。

この小説を読みながら、マコンドの風景をマチュピチュ遺跡や古代マヤ文明の都市と重ね合わせていたのは、自然なことだろうか。

中南米の遺跡の魅力は、何に使っていたのかさっぱりわからない建物や構造物があること。マチュピチュなんか特にそうだ。
マヤ文明では凄惨な生贄の儀式が行われ、切りおとされた生首がピラミッドの段に並べられていたとされる。
しかし小説を読みながら、かの地ではマコンドのように、現代の我々の想像が追い付かない世界が展開されていたのかもしれない。そう感じた。

マチュピチュでは、豚のしっぽのある人たちが歩き回っていたのかもしれない。不可思議な構造物や建物はその人たちのためのものだったではないか。
マヤ都市では、生贄たちは死んでいなかったのかもしれない。段に並べられた生首たちは、実は生きていて、魂が浄化されピラミッドにいる。マヤの人たちはそう考えていたのかもしれない。

そう思うと、ラテンアメリカの遺跡の神秘のベールの向こう側が、少し覗けたような気がした。
実はまだマチュピチュにもマヤにも行ったことがない。「百年の孤独」を読んで、一度行って見たいという思いを強くした。
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